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「555」はタイでは「ハハハ」、中国のネットでは泣き声だった

「555」はタイでは「ハハハ」、中国のネットでは泣き声だった

読む前に予想してみよう!

タイの人がネットで「555」と書いたら、泣いているという意味だ

研究カード(どんな研究?)
対象
タイと中国のネット言葉の比較論文、各国のネットの笑いの比較論文、英日の辞書
規模
論文2本+辞書3種
研究の種類
例を挙げて特徴をくらべる記述的な研究+辞書が挙げるいちばん古い例
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

タイ語では5を「ハー」と読むので555は「ハハハ」。2012年の論文によると、中国のネットでは555は泣き声の「呜呜呜」。英語の ha ha は1150年より前の昔の英語(古英語)から、日本語の「ほほと笑ふ」は10世紀の物語にある。

ひとことで言うと「555」はタイでは笑い、中国のネットでは泣き声を表していた。同じ数字でも国で意味が逆になることがある!

もくじ
  1. タイの「55」は「ハハ」
  2. 中国語の「ハハハ」は「哈哈哈」
  3. 笑い声「ha ha」は1150年より前の英語にもあった
  4. 日本語の笑い声は「ほほ」から
  5. 英語の ha-ha には「庭の溝」という意味も
  6. どんでん返し:「555=泣き声」は2012年の報告
  7. まとめ
  8. よくある質問

タイの友だちからのメッセージに「555」。中国の友だちからも「555」。

同じ3つの数字なのに、タイの友だちは笑っていて、中国の友だちは泣いているかもしれません。

タイ語では数字の5を「ハー」と読むので、555は「ハハハ」。一方、2012年の論文によると、中国のネットでは555は「呜呜呜(ウーウーウー)」、つまり「えーんえーん」という泣き声でした。数字の読み方がちがうだけで、笑いと涙が入れかわるのです。

01タイの「55」は「ハハ」

タイのプリンスオブソンクラー大学の研究者ルンルアンは、2012年の論文で、タイと中国のネット言葉をくらべました。どちらにも「数字を、その読みと同じ音の言葉の代わりに使う」書き方があります。

数字の読みで言葉を表すのは、日本語の「4649(よろしく)」のような語呂合わせと同じ発想です。

南アフリカ大学の研究者グルンドリング(Grundlingh)が2020年に発表した論文も、タイ語のネットの笑いとして「55555555」を挙げています。タイ語で5は [ha] と発音するので、5555は英語の hahaha と同じだと説明しています。

タイ語では5が「ハー」なので555は笑い。中国のネットでは555が泣き声を表した(Rungruang 2012)
タイ語では5が「ハー」なので555は笑い。中国のネットでは555が泣き声を表した(Rungruang 2012)

02中国語の「ハハハ」は「哈哈哈」

では、中国の人はネットでどう笑うのでしょう。グルンドリングの論文によると、中国語のネットの笑いは 哈哈哈哈哈。発音は「ハハハ」です。

つまり、タイも中国も、笑い声はどちらも「ハ」の音です。ちがうのは数字の5の読み方だけ。

  • タイ語:5は「ハー」 → 555は笑い声
  • 中国語:5は「ウー」 → 555は泣き声「呜呜呜」。笑うときは「哈哈哈」と漢字で書く

数字の読みを音として使う、という発想は同じ。5をどう読むかで、同じ555が笑いにも涙にもなります。

03笑い声「ha ha」は1150年より前の英語にもあった

ネットの笑いは新しくても、笑い声を書く言葉そのものはとても古いものです。

イギリスの『オックスフォード英語大辞典』(OED)によると、英語の笑い声のことば ha ha が最初に確認できるのは古英語の時代(1150年より前)。語源は「笑い声をまねた、または気持ちをそのまま表した言葉」とされています。アメリカのメリアム・ウェブスター辞典も、ha ha は古英語の ha ha から中世の英語(中英語)を経たもので、最初の使用は12世紀より前としています。意味は「おもしろさやあざけりを表す」。英語の ha ha は、笑うだけでなく人をばかにするときにも使われるのです。

  • Ha ha, very funny.(はいはい、おもしろいね)※皮肉で言うこともある
  • He laughed, "Ha ha! I win!"(彼は「ハハ!ぼくの勝ち!」と笑った)

04日本語の笑い声は「ほほ」から

日本語ではどうでしょう。小学館の『日本国語大辞典』で、笑い声の言葉が見つかっているいちばん古い例を引いてみました。

平安時代の物語には、もう「ほほ」と笑う人がいました。一方、今いちばんなじみのある「わはは」「アハハ」のいちばん古い例は江戸時代で、「ほほ」より600年以上あとです。

05英語の ha-ha には「庭の溝」という意味も

英語の ha-ha には、笑い声とはまったく別の名詞もあります。メリアム・ウェブスターによると、意味は sunk fence(沈め垣)。同じ辞典の説明では、土がくずれないよう壁で支えた溝で、景色をそこなわずに土地を区切るためのものです。フランス語の haha から来た言葉で、最初の使用は1749年。ただしOEDでは、この名詞 ha-ha は1712年から確認されていて、辞書によって年がちがいます。

06どんでん返し:「555=泣き声」は2012年の報告

「中国では今も555は泣き声」と言い切ることはできません。

ルンルアンの論文は2012年のもので、例を挙げて両国のネット言葉の特徴をくらべた研究です。それぞれの書き方がどれくらい使われているかを数えたものではありません。中国のネットで今も555が泣き声として通じるかは、今回の資料では確かめられていません。

辞書の年代にも注意が必要です。『日本国語大辞典』の年は、辞書が見つけたいちばん古い例の年で、「これより前には使われていなかった」という保証ではありません。OEDの ha ha の項目も、まだ全面的には改訂されていないと表示されています。

07まとめ

タイ語では5が「ハー」なので555は笑い。2012年の論文によると、中国のネットでは5が泣き声の「ウー」に通じて555は涙でした。同じ発想から、正反対の気持ちが生まれています。

そして、文字で笑うこと自体は昔からありました。英語の ha ha は1150年より前の古英語、日本語の「ほほ」は平安時代。ネットの「555」も「www」も、古くから続く「笑い声を書く」歴史の最新版です。

よくある質問

ネットの「555」はどういう意味ですか?

タイでは「ハハハ」という笑いです。タイ語では数字の5を「ハー」と読むので、555は笑い声に聞こえます。一方、2012年の論文によると、中国のネットでは555は泣き声の「呜呜呜(ウーウーウー)」でした。

タイ語で「555」が笑いになるのはなぜですか?

タイ語で数字の5を「ハー」と読むからです。グルンドリング(Grundlingh)の2020年の論文は、タイ語で5は [ha] と発音するので、5555は英語の hahaha と同じだと説明しています。2012年の論文によると、タイの数字の当て字では55がいちばんよく使われます。

中国で「555」が泣き声になるのはなぜですか?

中国語の5(ウー)が、泣き声の「呜」と似た音だからです。2012年のルンルアン(Rungruang)の論文は、555=呜呜呜を、数字と発音が似た語の例として挙げています。今も同じように通じるかは、今回の資料では確かめられていません。

中国語ではネットでどう笑いますか?

哈哈哈(ハハハ)と漢字で書きます(Grundlingh 2020)。タイも中国も、笑い声はどちらも「ハ」の音で、ちがうのは数字の5の読み方だけです。中国語で「555」と送ると、泣いていると受け取られるかもしれません(2012年の論文の時点の話)。

中国のネットの数字の当て字には、ほかに何がありますか?

555(泣き声)のほかに、88=拜拜(バイバイ)、94=就是(そうそう)、42=是啊(そうだね)などがあります(Rungruang 2012)。数字の当て字は、タイより中国のネット言葉のほうが多いとされています。

英語の ha ha はいつからありますか?

古英語の時代(1150年より前)には、もう確認できます。『オックスフォード英語大辞典』(OED)によると、笑い声をまねた、または気持ちをそのまま表した言葉です。メリアム・ウェブスター辞典は、意味を「おもしろさやあざけりを表す」としています。

日本語の笑い声の言葉は、いつからありますか?

辞典の例では平安時代からです。『日本国語大辞典』によると、「ほほ」は『宇津保物語』(970〜999年ごろ)に「一度十度ほほと笑ふ」とあります。「わはは」は『狂言記』(1660年)、「アハハハハ」は『浮世床』(1813〜23年)が最も古い例です。

Ha ha, very funny. はどういう意味ですか?

「はいはい、おもしろいね」という意味で、皮肉で「全然おもしろくない」の意味になることがあります。メリアム・ウェブスター辞典によると、英語の ha ha はおもしろさだけでなく、あざけりも表します。声の調子や前後の流れで判断します。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIf a Thai friend sends you "555," you can smile. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

If a Thai friend sends you "555," you can smile. In Thai, the number five is pronounced "ha," so the message reads "hahaha." In 2012, Jirameth Rungruang, a lecturer at a university in southern Thailand, compared internet language in Thailand and China. The study found that "55" was the most common number trick in Thai.

In Chinese, however, "555" stood for the sound of crying, and "88" meant "bye-bye." Both languages share the same idea of reading numbers as sounds. With "555," what changes is how people say "five." When Chinese users want to laugh online, they write a Chinese character that sounds like "ha" three or more times.

109 words ・ CEFR B1

和訳を見る

タイの友だちから「555」が届いたら、笑顔になっていい。タイ語では数字の5を「ハー」と発音するので、このメッセージは「ハハハ」と読める。2012年、タイ南部の大学の講師ジラメート・ルンルアンは、タイと中国のネット言葉をくらべた。その研究によると、タイ語では「55」が最もよく使われる数字の当て字だった。

ところが中国語では、「555」は泣き声を表し、「88」は「バイバイ」を意味していた。どちらの言葉も、数字を音として読むという同じ発想を持っている。「555」で変わるのは、「5」の言い方だ。中国の利用者はネットで笑いたいとき、「ハ」と読む漢字を3回以上続けて書く。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. What did "88" mean in Chinese internet language?

Q3. What can be inferred from the passage?

重要単語

  • pronounceB1
    動詞発音するIn Thai, the number five is pronounced "ha." 名詞は pronunciation(つづりの o が消える点に注意)。be pronounced ~「~と発音される」。
  • cryA2
    動詞泣く;さけぶThe baby started to cry. 名詞では「泣き声、さけび声」。a cry for help「助けを求める声」。
  • laughterB1
    名詞笑い、笑い声We heard laughter from the next room. laugh の名詞形。数えられない名詞なので a laughter とは言わない。
  • homophoneC1
    名詞同音異義語"Two" and "too" are homophones. homo-(同じ)+phone(音)。数字の当て字は、数字と言葉が homophone になることを利用している。
  • interjectionC1
    名詞間投詞(感動詞)"Oh" and "wow" are common interjections. ha ha は OED では interjection(間投詞)。inter-(間に)+ject(投げる)。
  • mockeryC1
    名詞あざけり、からかいHis "ha ha" sounded like mockery. 動詞は mock(ばかにする)。ha ha はおもしろさだけでなく、あざけりも表せる。
  • ditchB2
    名詞溝、堀A ditch divided the two fields. 英語の名詞 ha-ha(沈め垣)は、土留めの壁をつけた溝のこと。
「555」はタイでは「ハハハ」、中国のネットでは泣き声だった。タイ語で5は「ハー」なので555=ハハハ。中国語では5(ウー)が泣き声の「呜」と似た音で、555=えーんえーん(2012年の論文)。ちなみに英語の ha ha は古英語(1150年より前)からある。

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出典・参考文献(7件)タップで表示
  1. Rungruang (2012) A Comparative Study of Thai and Chinese Internet Language, Journal of International Studies, Prince of Songkla University 2(2): 33–46so03.tci-thaijo.org
  2. Grundlingh (2020) Laughing online: Investigating written laughter, language identity and their implications for language acquisition, Cogent Education 7(1)doi.org
  3. Oxford English Dictionary「ha ha, int. & n.1」(Factsheet)oed.com
  4. 精選版 日本国語大辞典・デジタル大辞泉「ほほ」(小学館、コトバンク掲載)kotobank.jp
  5. 精選版 日本国語大辞典・デジタル大辞泉「からから」(小学館、コトバンク掲載)kotobank.jp
  6. 精選版 日本国語大辞典・デジタル大辞泉「わはは」(小学館、コトバンク掲載)kotobank.jp
  7. 精選版 日本国語大辞典・デジタル大辞泉「あはは」(小学館、コトバンク掲載)kotobank.jp

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