「枯れ木も山のにぎわい」は“にぎやかでいいね”じゃない。本来の意味を選んだ人は37.6%

読む前に予想してみよう!
「枯れ木も山のにぎわい」の本来の意味は「人が集まればにぎやかになる」だ
辞書では「つまらないものでも無いよりはましであることのたとえ」。文化庁の2014年度調査では、47.2%が「人が集まればにぎやかになる」を選んだ。
- 対象
- 全国の16歳以上の男女
- 規模
- 1,942人(2014年度調査)
- 研究の種類
- 全国世論調査(無作為抽出・個別面接)+辞書の記述
- 確かさ
- ★★★★☆
「枯れ木も山のにぎわい」の本来の意味は「つまらないものでも無いよりはまし」。文化庁の調査では47.2%が「人が集まればにぎやかになる」を選び、本来の意味の37.6%を上回った。
ひとことで言うと「枯れ木も山のにぎわい」は「つまらないものでも、ないよりはまし」という意味。人に向かって言うと、失礼になることもあるんだって!
もくじ
「今日のパーティー、枯れ木も山のにぎわいで、たくさん来てくれてありがとう!」
もしこれを、集まってくれたお客さんに向かって言ったら……。じつは本来の意味だと、「つまらない人たちでも、いないよりはましです」と言っていることになります。
ところが文化庁の調査では、この言葉を「人が集まればにぎやかになる」という意味だと思っている人が47.2%。本来の意味を選んだ37.6%より多かったのです。
01「にぎやかになる」を選んだ人が逆転
「にぎやかになる」を選んだ人は、10年で35.5%から47.2%へ約12ポイント増え、本来の意味を選んだ人を追い抜きました。
02本来の意味は? 枯れた木でも山の景色の足しになる
辞書を引いてみましょう。
小学館の『精選版 日本国語大辞典』は、この言葉を「つまらないものでも無いよりはましであることのたとえ」と説明しています。由来は「枯れた木でも山に趣を添える」ということ。葉のない木でも、何もない山よりは景色の足しになる、というわけです。
古い例も載っています。
- 江戸時代はじめの俳諧の本『毛吹草』(1638年)
- 江戸時代後期の人情本『春色袖之梅』(1837〜41年)。「ほんの枯木も山の賑し(にぎやかし)とやらで」とある
「賑わい」のほかに「賑やかし」「飾り」と言う形もありました。
つまり主役は「枯れ木」です。にぎやかなことをほめる言葉ではなく、値打ちの低いものを「ないよりはまし」と認める言葉なのです。

03本来はどう使う?
本来の意味で使うなら、自分のことをへりくだって言うのが安全です。
- 「私なんかでよければ、枯れ木も山のにぎわいで参加します」
『ことわざを知る辞典』は、「枯れ木」は勢いのないものや老いた者のたとえでもある、と説明しています。使用例として、1984年の小説『てんのじ村』(難波利三)の場面が挙がっています。「私みたいな、お婆ちゃんもやりますんか」と聞かれた人が、「なんでもかめへんがな。枯れ木も山の賑わいや」と答えるのです。自分から「お婆ちゃん」と言い出した相手に、「数の足しになるから大丈夫」と返しているわけです。
反対に、お客さんや目上の人に「枯れ木も山のにぎわいですね」と言うと、相手を「枯れ木」にたとえることになります。ほめたつもりが、相手を「つまらないもの」扱いしかねません。
04英語なら? 「人が集まればにぎやか」は the more the merrier
英語では、この2つの意味を別々の言い方で表します。
- the more the merrier:人や物が多いほど楽しい。オックスフォードの学習辞典の例文は 'Can I bring a friend to your party?' 'Sure—the more the merrier!'(「友だち連れてっていい?」「もちろん、多いほうが楽しいよ!」)
- better than nothing:無いよりはまし。辞典の例文は If you can only exercise once a week, that's better than nothing.(週に1回しか運動できなくても、しないよりはまし)
「人が集まればにぎやかになる」は the more the merrier、本来の「枯れ木も山のにぎわい」は better than nothingに近い、と考えると区別しやすくなります。
05どんでん返し:本来の意味は「減っていない」
数字をもう一度よく見てみましょう。
本来の意味を選んだ人は、10年で38.6%から37.6%へ。ほとんど変わっていません。大きく変わったのは別の答えです。「全く別の意味」は12.1%から3.4%に、「分からない」は9.2%から7.6%に減りました。そして「にぎやかになる」が35.5%から47.2%に増えています。
この調査は同じ人を追いかけたものではないので、だれがどの答えに移ったかまでは分かりません。それでも、本来の意味を選ぶ人が大きく減ったわけではなく、増えたのは「にぎやかになる」の意味を選ぶ人だったことは読み取れます。
また、辞書の説明にも幅があります。『ことわざを知る辞典』は「どんな人間でも数の足しにはなる」「内容は問わず、数さえそろえばにぎやかでよいの意味で用います」と説明しています。人数をそろえる場面で使う言葉だ、という点では、「にぎやかになる」を選んだ人の感覚も、まったく的外れではないのです。
06まとめ
「枯れ木も山のにぎわい」は、枯れた木でも山の景色の足しになる、という意味から「つまらないものでも無いよりはまし」のたとえになった言葉です。
文化庁の調査では「人が集まればにぎやかになる」と思う人が47.2%と多数派に。でも本来の意味では、言われた相手は「枯れ木」です。使うなら自分のことを言うときだけ。人を歓迎したいなら、The more the merrier! のように、そのまま「大勢のほうが楽しい」と言うのがいちばんです。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe Japanese proverb "kareki mo yama no nigiwai" literally says that even dead trees add life to a mountain.
音声
4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
There is a Japanese saying, "kareki mo yama no nigiwai." Word for word, it means "Even dead trees make a mountain lively." Its old meaning is "Something not very good is better than nothing."
But many people now think it means "More people make things more fun." In a 2015 survey, 47.2 percent chose this new meaning. Only 37.6 percent chose the old one. So be careful. Do not use it about your guests!
74 words ・ CEFR A2
和訳を見る
「枯れ木も山のにぎわい」という日本のことわざがあります。直訳すると「枯れた木でも山をにぎやかにする」です。昔からの意味は「よくないものでも、ないよりはまし」です。
でも今では多くの人が「人が多いほど楽しくなる」という意味だと思っています。2015年の調査では、47.2%がこの新しい意味を選びました。昔からの意味を選んだのは37.6%だけでした。だから気をつけましょう。お客さんについてこの言葉を使ってはいけません!
4択リーディングクイズ
Q1. What is the old meaning of the saying?
Its old meaning is "Something not very good is better than nothing." とあるので B。
Q2. What percent of people chose the new meaning in the survey?
47.2 percent chose this new meaning とあるので C。37.6%は昔からの意味を選んだ人。
Q3. What does the writer tell the reader to do?
Do not use it about your guests! とあるので A。
The Japanese proverb "kareki mo yama no nigiwai" literally says that even dead trees add life to a mountain. A leafless tree is not much to look at, but it is better than an empty hillside.
So the traditional meaning is that something of little value is still better than nothing. Many people now read it in a different way. In a national survey carried out in early 2015, 47.2 percent of people said it means "the more people, the livelier."
Only 37.6 percent chose the traditional meaning. This matters at parties. If you thank your guests with this proverb, you may be calling them dead trees. In English, the new meaning is close to "the more the merrier," and the old one to "better than nothing."
127 words ・ CEFR B1
和訳を見る
日本のことわざ「枯れ木も山のにぎわい」は、文字どおりには、枯れた木でも山に活気を添えると言っている。葉のない木はあまり見ばえがしないが、何もない山腹よりはよい。
だから伝統的な意味は、価値の低いものでもやはり無いよりはまし、ということだ。今では多くの人がこれを違う意味で読んでいる。2015年の初めに行われた全国調査では、47.2%の人が「人が多いほどにぎやか」という意味だと答えた。
伝統的な意味を選んだのは37.6%だけだった。これはパーティーで問題になる。このことわざでお客さんにお礼を言うと、相手を枯れ木と呼んでいることになりかねない。英語では、新しい意味は「the more the merrier(多いほど楽しい)」に、古い意味は「better than nothing(無いよりはまし)」に近い。
4択リーディングクイズ
Q1. Why is a dead tree used in this proverb?
A leafless tree is not much to look at, but it is better than an empty hillside. とあるので B。
Q2. What could happen if you thank your guests with this proverb?
you may be calling them dead trees とあるので A。
Q3. Which English phrase is close to the traditional meaning?
the old one (is close) to "better than nothing" とあるので C。
Japanese dictionaries explain the proverb "kareki mo yama no nigiwai" as a comparison: even dead trees give a mountain some charm, so something of little value is better than nothing. The large Nihon Kokugo Daijiten lists a 1638 book on haikai poetry as an early source. A survey by Japan's Agency for Cultural Affairs, carried out in early 2015, asked which meaning people thought was correct.
The traditional sense was chosen by 37.6 percent, while 47.2 percent picked "a crowd makes things lively." Ten years earlier, the figures had been 38.6 and 35.5 percent. The numbers suggest that the traditional reading did not really shrink. What fell was the share of people who chose a completely different meaning or said they did not know, while the newer reading grew.
Because different people were asked each time, the survey cannot show who changed their answer. The safe way to use the proverb is to say it about yourself, as a humble remark when you join a group. Said to guests, it compares them to dead trees. To welcome people warmly, English speakers would simply say, "The more the merrier!"
188 words ・ CEFR B2
和訳を見る
日本の辞書は、ことわざ「枯れ木も山のにぎわい」をたとえとして説明している。枯れた木でも山に趣を添えるのだから、価値の低いものでも無いよりはまし、ということだ。大型の『日本国語大辞典』は、早い時期の出典として1638年の俳諧の本を挙げている。2015年の初めに行われた文化庁の調査は、人々がどちらの意味を正しいと思うかをたずねた。
伝統的な意味を選んだのは37.6%で、47.2%は「人が集まればにぎやかになる」を選んだ。10年前の数字は38.6%と35.5%だった。この数字から、伝統的な読み方は実はほとんど減っていないことがうかがえる。減ったのは、まったく別の意味を選んだ人や分からないと答えた人の割合で、新しい読み方が増えた。毎回ちがう人にたずねているため、この調査からはだれが答えを変えたのかは分からない。このことわざの安全な使い方は、自分について、集まりに加わるときにへりくだって言うことだ。
お客さんに言うと、相手を枯れ木にたとえることになる。人を温かく迎えたいとき、英語を話す人ならただ「The more the merrier!(多いほど楽しい!)」と言うだろう。
4択リーディングクイズ
Q1. According to the passage, how did the traditional reading change in ten years?
the figures had been 38.6 and 35.5 percent / the traditional reading did not really shrink とあるので B。
Q2. What limitation of the survey does the passage mention?
Because different people were asked each time, the survey cannot show who changed their answer. とあるので C。
Q3. Which use of the proverb would the writer probably recommend?
The safe way to use the proverb is to say it about yourself, as a humble remark when you join a group. とあるので A。
重要単語
- proverbB2名詞ことわざMy grandmother often uses old proverbs.
saying もほぼ同じ意味でよく使う。idiom(慣用句)とは少しちがう。 - merryB1形容詞陽気な、楽しいWe had a merry evening with our friends.
Merry Christmas の merry。the more the merrier は「多いほど楽しい」という決まった言い方。 - better than nothingB1熟語無いよりはましA short walk is better than nothing.
「枯れ木も山のにぎわい」の本来の意味に近い。 - livelyB1形容詞にぎやかな、活気のあるThe town gets lively during the summer festival.
-ly で終わるが副詞ではなく形容詞。発音は「ライヴリー」。 - humbleB2形容詞謙虚な、へりくだったShe gave a humble answer when people praised her.
日本語の「謙遜して言う」に近い。humble remark で「へりくだった一言」。 - rudeA2形容詞失礼なIt would be rude to call your guests "dead trees."
反対は polite(礼儀正しい)。 - respondentC1名詞(調査の)回答者Almost half of the respondents chose the new meaning.
respond(答える)+-ent(人)。調査の英文でよく出る。
動画でもっと知る
動画は各チャンネルの公式埋め込みで表示しています(YouTube)。
公式・一次情報をチェック
- 「国語に関する世論調査」の結果(文化庁)bunka.go.jp
- merry(Oxford Learner's Dictionaries)oxfordlearnersdictionaries.com
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「枯れ木も山のにぎわい」は本来「つまらないものでも無いよりはまし」。文化庁の調査では47.2%が「人が集まればにぎやかになる」の意味だと答え、本来の意味の37.6%を上回った。英語でいえば better than nothing(無いよりはまし)を the more the merrier(多いほど楽しい)と取り違えているようなもの。
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出典・参考文献(4件)タップで表示
- 文化庁 (2015) 平成26年度「国語に関する世論調査」の結果の概要(問24)bunka.go.jp
- 精選版 日本国語大辞典・デジタル大辞泉・ことわざを知る辞典「枯れ木も山の賑わい」(コトバンク)kotobank.jp
- merry(Oxford Learner's Dictionaries)oxfordlearnersdictionaries.com
- better(Oxford Learner's Dictionaries)oxfordlearnersdictionaries.com
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。
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