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日本語のマジか!?ホント

「古代史をひもとく」の“ひもとく”、本来は「本を開いて読む」。“真相を明らかにする”と答えた人は69.9%

「古代史をひもとく」の“ひもとく”、本来は「本を開いて読む」。“真相を明らかにする”と答えた人は69.9%

読む前に予想してみよう!

「ひもとく」は、もともと「書物を開いて読む」という意味だ

研究カード(どんな研究?)
対象
全国16歳以上(文化庁「国語に関する世論調査」)
規模
3,777人(2025年度)
研究の種類
全国世論調査(郵送法)+辞書の語義・用例
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

「ひもとく」は、本を包む覆いのひもを解いて本を開く、という意味の言葉。でも文化庁の2025年度調査では69.9%が「真相を明らかにする」の意味だと答え、本来の意味を選んだ人は13.1%だった。

ひとことで言うと「ひもとく」は、もともと「本を開いて読む」こと。でも7割の人が「なぞを明らかにする」意味だと思っているんだって!

もくじ
  1. 本来の意味を選んだのは7人に1人もいない
  2. 「ひもとく」の語源は? 「ひも」はどこのひも?
  3. 平安時代には「つぼみが開く」意味も
  4. 英語の unravel も「糸をほどく」と「なぞを解く」
  5. どんでん返し:「新しい意味」も、すでに辞書に載っている
  6. まとめ

「古代史をひもとく」

この「ひもとく」、どんな意味だと思いますか。「なぞだった古代の真相を明らかにする」と思った人は、多数派です。

でも、辞書などで本来の意味とされてきたのは「関係する本を読む」のほうです。文化庁の2025年度の調査では、本来の意味を選んだ人はわずか13.1%。「真相を明らかにする」を選んだ人は69.9%で、本来の意味を選んだ人の5倍以上でした。

01本来の意味を選んだのは7人に1人もいない

年代別に見ると、すべての年代で、「真相を明らかにする」を選んだ人の割合が、本来の意味を選んだ人の割合を20ポイント以上も上回りました。報告書によると、50代以下では、この差が60ポイント以上あります。

いちばん差が小さかった70歳以上でも、本来の意味は24.8%、「真相を明らかにする」は52.1%。16〜19歳では、本来の意味が5.4%、「真相を明らかにする」が77.7%でした。報告書は、おおむね年齢が低いほど、本来とは異なる意味を選ぶ傾向が強いとまとめています。

02「ひもとく」の語源は? 「ひも」はどこのひも?

では、なぜ「ひも」を「とく」と「本を読む」になるのでしょう。

デジタル大辞泉は、「ひもとく」の1番目の意味を「書物を開く。本を読む」とし、そのもとを「書物の帙(ちつ)のひもを解く意」と説明しています。

「帙」は、今ではあまり見かけない言葉です。辞書によると、本がいたまないように包む覆いのこと。ふつうは厚紙に布をはって作ります。日本国語大辞典には、奈良時代には細い竹を編んだ覆いに裏地とひもを付け、巻物を巻き包む「竹帙」が多かった、とあります。

つまり、昔の本は覆いに包まれ、ひもで結んであった。そのひもを解く=本を開いて読む、というわけです。漢字では「繙く」とも書きます。

昔の本は「帙(ちつ)」という覆いに包まれ、ひもで結ばれていた。そのひもを解くのが「ひもとく」のもと(デジタル大辞泉・日本国語大辞典)
昔の本は「帙(ちつ)」という覆いに包まれ、ひもで結ばれていた。そのひもを解くのが「ひもとく」のもと(デジタル大辞泉・日本国語大辞典)

03平安時代には「つぼみが開く」意味も

日本国語大辞典を引くと、「ひもとく」にはもっと古い使い方も載っています。

  • つぼみが開く:『古今和歌集』(905〜914年)の歌に「ももくさの花のひもとく秋の野を」とあります。花がほころぶ様子を、ひもがほどけることにたとえたのです
  • 書物を開く・本を読む:初めての例として挙がっているのは、鎌倉時代の『玉葉和歌集』(1312年)の歌です
  • 「紐(ひも)解く」の形で、着物のひもを解くという意味もあり、例は『万葉集』(8世紀後半)にさかのぼります

ひもがほどけて、閉じていたものが開く。この感覚が、花にも本にも使われてきたことになります。

04英語の unravel も「糸をほどく」と「なぞを解く」

英語にも、よく似た意味を持つ単語があります。unravel(アンラヴェル)です。

オックスフォードの学習辞典では、unravel には「(よったり編んだりした糸を)ほどく」という意味と、「分かりにくいことやなぞめいたことを説明する」という意味の両方が載っています。

  • She unraveled an old sweater and used the yarn again.(古いセーターをほどいて、毛糸を使い直した)
  • The discovery will help scientists unravel the mystery of the Ice Age.(その発見は、科学者が氷河期のなぞを解き明かす助けになるだろう。辞書の例文)

「糸をほどく」と同じ単語で、「なぞを解く」も言えるのです。ひもや糸をほどくイメージが「明らかにする」につながるのは、日本語だけではないのです。

05どんでん返し:「新しい意味」も、すでに辞書に載っている

では、「真相を明らかにする」は間違いなのでしょうか。じつは、そう言い切ることはできません。

デジタル大辞泉は、「ひもとく」の2番目の意味として「書物などで調べて真実を明らかにする」を載せています。例は「歴史をひもとく」。しかも、1番目の「本を開く」から生まれた意味だと説明しています。

本を開いて読めば調べものになり、調べれば何かが明らかになる。意味の広がり方としては、自然な流れです。

ただし、大辞泉の2番目の意味には「書物などで調べて」が付いています。一方、調査の選択肢「真相を明らかにする」は、本を読むことにふれていません。本とまったく関係のない使い方が、辞書の説明よりも先へ広がっている、とも読めます。

06まとめ

「ひもとく」は、本を包む覆いのひもを解いて、本を開くこと。古くは、つぼみが開くことや、着物のひもを解くことも表しました。

いまは7割の人が「真相を明らかにする」の意味だと答えます。ただ、その意味も「本を読んで調べる」から自然に広がったもので、辞書にも載っています。「ひもとく」と言うときは、本を開く姿を思い浮かべてみてください。言葉の由来が見えてきます。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe Japanese verb "himotoku" comes from untying the cord of a book cover. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

The Japanese verb "himotoku" comes from untying the cord of a book cover. In the past, books were wrapped in covers to protect them, and the covers were tied with cords. Untying the cord meant opening the book, so the word came to mean "to read."

In a survey by Japan's Agency for Cultural Affairs, carried out in early 2026, people were asked about the phrase "kodaishi o himotoku." Only 13.1 percent chose the traditional meaning, "to read books on ancient history." On the other hand, 69.9 percent chose "to uncover the truth about ancient history." In every age group, more people chose the new meaning than the old one.

110 words ・ CEFR B1

和訳を見る

日本語の動詞「ひもとく」は、本の覆いのひもをほどくことから来ている。昔、本は保護のために覆いで包まれ、その覆いはひもで結ばれていた。ひもをほどくことは本を開くことを意味したので、この語は「読む」という意味になった。

2026年初めに行われた日本の文化庁の調査で、人々は「古代史をひもとく」という言い方についてたずねられた。伝統的な意味である「古代史の本を読む」を選んだのは13.1%だけだった。一方、69.9%は「古代史の真相を明らかにする」を選んだ。どの年代でも、古い意味より新しい意味を選んだ人のほうが多かった。

4択リーディングクイズ

Q1. Why were books wrapped in covers?

Q2. Which meaning did most people choose in the survey?

Q3. What does the last sentence tell us?

重要単語

  • unravelC1
    動詞(編んだ糸などを)ほどく;(なぞを)解き明かすScientists are trying to unravel the mystery. unravel the mystery「なぞを解き明かす」は辞書の例文にもある組み合わせ。
  • untieB1
    動詞(ひも・結び目を)ほどくShe untied the cord and opened the box. tie(結ぶ)の反対。untie a knot「結び目をほどく」。
  • cordB2
    名詞ひも、細い綱The old book cover was tied with a cord. string より太く丈夫なひも。電気のコードも cord。
  • uncoverB2
    動詞(秘密・真相を)明らかにする、暴くThe reporter uncovered the truth about the old case. cover(覆う)に「反対の動作」の un- が付いた形。「覆いを取る」から「明らかにする」。
  • traditionalB1
    形容詞伝統的な、昔からのOnly a few people chose the traditional meaning. tradition(伝統)+-al。traditional sense「昔からの意味」。
  • look intoB1
    句動詞調べるI looked into the history of my town. 「中をのぞく」から「詳しく調べる」。investigate より会話向き。
  • surveyB1
    名詞(アンケートなどの)調査About 3,800 people answered the survey. carry out a survey「調査を行う」はよく使うコロケーション。
「古代史をひもとく」の“ひもとく”、本来は「関係する本を読む」。本を包む覆い(帙)のひもを解くところから来た言葉。でも文化庁の2025年度調査では69.9%が「真相を明らかにする」を選び、本来の意味は13.1%だった。英語の unravel にも「糸をほどく」と「なぞを解く」の両方の意味がある。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. 文化庁 (2026) 令和7年度「国語に関する世論調査」の結果の概要(問20)bunka.go.jp
  2. デジタル大辞泉「繙く/紐解く」(小学館、コトバンク掲載)kotobank.jp
  3. 精選版 日本国語大辞典「紐解く」(小学館、コトバンク掲載)kotobank.jp
  4. 精選版 日本国語大辞典・デジタル大辞泉「帙」(小学館、コトバンク掲載)kotobank.jp
  5. unravel(Oxford Learner's Dictionaries)oxfordlearnersdictionaries.com

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