絆創膏の呼び名、北海道は「サビオ」熊本は「リバテープ」が多い。多くは会社の商品名

読む前に予想してみよう!
北海道などで絆創膏を指す「サビオ」は、北海道の会社が作った名前である
阿蘇製薬によると、サビオは元はスウェーデンのセデロース社の絆創膏ブランド。1963年にニチバンを通して日本に入ってきた。
- 対象
- 絆創膏の呼び名(日本の各地域)
- 規模
- 呼び名6種・会社の公式資料4件・国語辞典
- 研究の種類
- 企業のウェブアンケートの集計+会社の沿革・辞書の照合
- 確かさ
- ★★★☆☆
阿蘇製薬がウェブ投票で作った地図では、絆創膏の呼び名はサビオ・リバテープ・カットバン・バンドエイドなど地域で違う。多くはその土地で広まった商品名。サビオは元はスウェーデンの会社のブランドだった。
ひとことで言うと「サビオ」「リバテープ」「カットバン」。絆創膏の呼び名は会社の商品名!
もくじ
「ねえ、サビオ持ってない?」
指を切った友だちにこう聞かれて、すぐに分かりますか。北海道の人なら「はい」と1枚出すかもしれません。でも熊本の人なら「リバテープのこと?」、東北の人なら「カットバンね」と言い直すかもしれません。
全部、同じ絆創膏(ばんそうこう)の話です。しかも「ばんそうこう」以外の呼び名は、ほとんどがもとは会社の商品名。北海道などで使われる「サビオ」は、もとはスウェーデンの会社のブランドでした。
01絆創膏の呼び名、地域でこんなに違う
この呼び名の地図を作っているのが、熊本県の阿蘇製薬です。同社のウェブページ「ばんそうこうの呼び方マップ」は、ウェブで受け付けた読者の投票をもとに、地域ごとに多い呼び名をまとめています。
阿蘇製薬の説明では、「ばんそうこう」以外の呼び名は、どれも商標名(会社が登録した商品の名前)です。その地域でいちばん広まった商品の名前が、やがて絆創膏そのものの呼び名になったのだろう、と同社は見ています。食品用ラップを「サランラップ」と呼ぶのと同じことだろう、とも書いています。
「ばんそうこう」という言葉は古くからあります。『日本国語大辞典』によると、1872年の医学の用語集『医語類聚』にもう載っています。阿蘇製薬の説明では、絆創膏が広く使われるようになったのは1960年代から。そのころ、各メーカーが自分の会社の商品名をさかんに宣伝しました。その商品名が、ふだんの呼び名として根づいていったのです。
02「サビオ」はスウェーデン生まれ
北海道や広島などの「サビオ」は、海の向こうから来た名前です。
阿蘇製薬によると、サビオはもともとスウェーデンのセデロース社の絆創膏ブランドでした。セデロース社は1963年に、日本の会社ニチバンを通して日本で売り始めます。その後、サビオの名前はライオン歯磨(今のライオン)に譲られ、全国で売られました。このころ、中身を作っていたのが阿蘇製薬です。
ところが、サビオの絆創膏は2002年に販売が終わります。それでも北海道などでは、絆創膏のことを「サビオ」と呼ぶ人が残りました。商品が店から消えても、名前だけが生き続けたのです。
そして2020年4月、阿蘇製薬が自分の会社の商品としてサビオを復活させました。その前の2019年3月には、北海道に住む約500人にアンケートをとったそうです。絆創膏を買うときに何を大事にするかを、たずねました。

03「リバテープ」は熊本、「カットバン」は佐賀の会社
九州で強い2つの呼び名は、どちらも九州の会社の商品名です。
リバテープは、熊本県のリバテープ製薬の商品です。同社の歴史のページによると、売り出したのは1956年。ガーゼにリバノール液をつけて、テープに乗せたものです。同社はこれを「国内初の薬液付き救急絆創膏」と書いています。
リバノールは、傷の消毒に使う薬です。『日本国語大辞典』は「アクリノールの商標名」、つまり薬の商品名だと説明しています。阿蘇製薬も、「リバノール」をつけたテープだから「リバテープ」になったようだ、と書いています。
リバテープ製薬によると、発売したころはなかなか売れませんでした。広がるきっかけは配置薬(置き薬)です。薬の会社が、家に薬箱を預けておくしくみのことです。1959年に置き薬としても売るようになりました。そして、日本の経済がぐんぐん伸びた時代(高度経済成長)とともに、九州から全国へ広がっていきました。
カットバンは、佐賀県鹿島市の祐徳薬品工業の商品です。同社の歩みをまとめたページ(沿革)によると、発売は昭和36(1961)年です。阿蘇製薬は、東北地方や中国・四国地方でよく知られている呼び名だと書いています。
阿蘇製薬のページには、こんな例外も載っています。奈良県で「リバテープ」と呼ぶのは、熊本の商品のことではないそうです。奈良の共立薬品工業の「キズリバテープ」という別の商品を、縮めた呼び方だとされています。
04富山の「キズバン」はなぞのまま
富山県の「キズバン」については、阿蘇製薬も、はっきりした理由は分からないと書いています。
説は2つあります。ひとつは、置き薬の商品名から来たという説です。富山を中心に広まった置き薬に、「〇〇キズバン」「キズバン〇〇」という名前の絆創膏があった、という記録があります。もうひとつは、「キズに貼るばんそうこう」を縮めた言い方だという説。どちらとも決まっていません。
リバテープは配置薬をきっかけに広まり、キズバンにも配置薬の商品名だという説があります。どちらの話にも、家に預ける「置き薬」が出てくるのです。
05英語でも「商品名」で呼ぶ
英語にも同じことが起きています。ケンブリッジ英語辞典によると、Band-Aid はアメリカの商標(登録された商品名)で、小さな傷をおおうテープのこと。イギリス英語では plaster(または sticking plaster)と言います。商品名を使わずに言うなら adhesive bandage です。
- Do you have a Band-Aid?(ばんそうこう持ってる?)※アメリカ
- I need a plaster for this cut.(この切り傷にばんそうこうがいるな)※イギリス
アメリカ英語の Band-Aid には、たとえの使い方もあります。American Heritage Dictionary には、新聞から取った例文として Band-Aid solutions(その場しのぎの解決策)が載っています。ケンブリッジの辞書も「短い間しか役に立たないもの」という意味を載せています。「傷にばんそうこうを貼るだけで、根本は治っていない」というイメージです。
06どんでん返し:マップを作ったのは「サビオの会社」
この記事の地図は、阿蘇製薬のページにもとづいています。ただし阿蘇製薬は、いまサビオを売っている会社です。どの会社にも肩入れしない立場で呼び名を調べた、研究機関ではありません。
しかも地図のもとは、ウェブで受け付けている読者の投票です。何人が答えたのか、どの年代が多いのかは、ページには書かれていません。同社自身も、こう断っています。地図は「その地域ではそう呼ぶ人が比較的多い」という意味で、全員がそう呼ぶわけではない、と。実際、東京都は「バンドエイド」と「ばんそうこう」の両方の地域に入っています。
年にも食い違いがあります。リバテープの発売の年を、リバテープ製薬の歴史のページは1956年、阿蘇製薬のマップは1960年としています。この記事では、売った会社自身の記録である1956年のほうを使いました。
07まとめ
サビオ、バンドエイド、カットバン、リバテープ、キズバン。絆創膏の呼び名の多くは、その土地でよく広まった商品の名前だと考えられています。スウェーデンのブランドは、北海道に名前だけを残しました。熊本のリバテープは、置き薬に乗って九州から全国へ広がりました。
次に「サビオある?」と聞かれたら、「どこの出身?」と聞き返してみてください。1枚の絆創膏から、その人の育った町が見えてきます。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerAsk people in different parts of Japan what they call a small bandage, and you will get several answers.
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
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In Japan, people use different words for a small bandage. In Hokkaido, many people say "Sabio." In Kumamoto, people often say "Libatape." In Tohoku, the word is often "Cutban." All of these are brand names.
Sabio first came from a company in Sweden, and it came to Japan in 1963. Sales stopped in 2002, but people in Hokkaido kept using the name. In 2020, a Japanese company brought it back.
70 words ・ CEFR A2
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日本では、小さなばんそうこうを呼ぶ言葉が人によって違います。北海道では多くの人が「サビオ」と言います。熊本ではよく「リバテープ」と言います。東北では「カットバン」ということが多いです。これらはすべて商品名です。
サビオはもともとスウェーデンの会社から来たもので、1963年に日本に入ってきました。2002年に販売は終わりましたが、北海道の人たちはその名前を使い続けました。2020年、日本の会社がそれを復活させました。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
地域によって「サビオ」「リバテープ」「カットバン」と呼び名が違う話なので B。
Q2. When did Sabio sales stop?
Sales stopped in 2002 とあるので C。1963年は日本に来た年、2020年は復活した年。
Q3. In the passage, what does "brought it back" mean?
販売が終わったサビオを2020年に bring back した(復活させた)ので、「また売り出した」の A。
Ask people in different parts of Japan what they call a small bandage, and you will get several answers. A map by Aso Pharmaceutical, a company in Kumamoto, shows "Sabio" in places like Hokkaido and Hiroshima, "Libatape" in Kumamoto and Okinawa, and "Cutban" in Tohoku. Apart from the general word "bansoko," all of them started as brand names.
Sabio was first a brand of Cederroth, a Swedish company that entered the Japanese market in 1963. Sales ended in 2002, but people in Hokkaido went on using the name, and Aso brought the brand back in 2020. English works the same way. Many Americans say "Band-Aid," which is also a brand name.
111 words ・ CEFR B1
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日本のいろいろな地域の人に、小さなばんそうこうを何と呼ぶかたずねると、いくつもの答えが返ってくる。熊本の会社、阿蘇製薬の地図では、北海道や広島などは「サビオ」、熊本や沖縄は「リバテープ」、東北は「カットバン」となっている。一般の言葉である「ばんそうこう」を除けば、どれも商品名として始まったものだ。
サビオはもともと、1963年に日本の市場に入ってきたスウェーデンの会社セデロースのブランドだった。2002年に販売は終わったが、北海道の人たちはその名前を使い続け、阿蘇製薬が2020年にブランドを復活させた。英語でも同じことが起きる。多くのアメリカ人は「Band-Aid」と言うが、これも商品名だ。
4択リーディングクイズ
Q1. According to the passage, what do most of these words have in common?
Apart from the general word "bansoko," all of them started as brand names とあるので B。
Q2. Which word is shown for Tohoku on the map?
"Cutban" in Tohoku とあるので C。
Q3. What can we infer about the name "Sabio" in Hokkaido?
Sales ended in 2002, but people in Hokkaido went on using the name から、商品がない間も名前は使われ続けたと分かるので C。
If someone in Hokkaido asks you for a "Sabio," they want a small bandage. Japan has several words for the same thing, and most of them began as brand names. According to a map published by Aso Pharmaceutical in Kumamoto, "Sabio" is common in Hokkaido, Wakayama and Hiroshima, "Libatape" in Kumamoto and Okinawa, "Cutban" in Tohoku, and "Kizuban" in Toyama.
Sabio started as a brand of the Swedish firm Cederroth, which entered Japan in 1963. The product left the shelves in 2002, yet the word survived, and Aso relaunched the brand in 2020. Libatape, made by a Kumamoto company since 1956, spread across the country partly through boxes of medicine left in people's homes. Readers should know where the map comes from.
Aso now sells Sabio itself, and the map is based on votes sent in through its website, with no details on how many people took part. Even the company says that not everyone in a region uses the same word. The two companies also give different launch years for Libatape, 1956 and 1960, and Aso admits it does not know why people in Toyama say "Kizuban."
188 words ・ CEFR B2
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北海道で誰かに「サビオある?」と聞かれたら、その人は小さなばんそうこうがほしいのだ。日本には同じ物を指す言葉がいくつもあり、その多くは商品名として始まった。
熊本の阿蘇製薬が公開している地図によると、「サビオ」は北海道・和歌山・広島、「リバテープ」は熊本・沖縄、「カットバン」は東北、「キズバン」は富山で多い。サビオは、1963年に日本に進出したスウェーデンの会社セデロースのブランドとして始まった。2002年に商品は店から消えたが、言葉は生き残り、阿蘇製薬が2020年にブランドを復活させた。1956年から熊本の会社が作っているリバテープは、家庭に置かれる薬箱(配置薬)などを通じて全国に広まった。
読む側は、この地図の出どころを知っておくべきだ。阿蘇製薬は今サビオを自ら売っている会社であり、地図はウェブサイトから寄せられた投票をもとにしていて、何人が参加したかは示されていない。会社自身も、地域の全員が同じ言葉を使うわけではないと述べている。また、2社はリバテープの発売年を1956年と1960年で違えて書いており、富山の人がなぜ「キズバン」と言うのかは、阿蘇製薬自身も分からないと認めている。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main point of the passage?
Japan has several words for the same thing, and most of them began as brand names が主旨なので B。
Q2. Why should readers be careful about the map?
Aso now sells Sabio itself, and the map is based on votes sent in through its website とあるので C。
Q3. What does the passage suggest about how Libatape became known nationwide?
spread across the country partly through boxes of medicine left in people's homes とあるので A。
重要単語
- adhesive bandageB2名詞ばんそうこう(商品名を使わない言い方)Do you have an adhesive bandage? I cut my finger.
adhesive は「くっつく、粘着性の」。アメリカでもイギリスでも通じる一般的な言い方。 - Band-AidB1名詞(アメリカ英語・商標)ばんそうこうShe put a Band-Aid on her knee.
もとは商品名。a Band-Aid solution で「その場しのぎの解決策」という意味にもなる。 - plasterB1名詞(イギリス英語で)ばんそうこう;しっくいI need a plaster for this cut.
イギリスでは sticking plaster とも言う。壁に塗る「しっくい」の意味もある。 - brand nameB1名詞商品名、銘柄Some brand names become everyday words.
brand だけでも「銘柄」。trademark(商標)とセットで覚えるとよい。 - trademarkB2名詞商標"Band-Aid" is a trademark in the United States.
trade(商売)+ mark(しるし)。登録された商標は registered trademark。 - regionB1名詞地域、地方People in this region use a different word.
形容詞は regional(地域の)。regional dialect で「地方の方言」。 - relaunchC1動詞(商品を)再発売するThe company relaunched the old brand in 2020.
re-(再び)+ launch(売り出す、打ち上げる)。bring back でも言える。 - temporaryB1形容詞一時的なThe new rule was only a temporary fix.
反対語は permanent(永久の)。a Band-Aid solution は a temporary solution とほぼ同じ意味。
公式・一次情報をチェック
- Band-Aid(Cambridge Dictionary)dictionary.cambridge.org
- Band-Aid(American Heritage Dictionary)ahdictionary.com
- リバノール(デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典、コトバンク)kotobank.jp
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絆創膏の呼び名は地域ごとに別の商品名(阿蘇製薬のウェブ投票の地図より)。北海道などの「サビオ」は元はスウェーデンの会社のブランド。熊本などの「リバテープ」は熊本の会社、東北などの「カットバン」は佐賀の会社の商品。富山の「キズバン」は由来がなぞ。
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出典・参考文献(6件)タップで表示
- 阿蘇製薬「ばんそうこうの呼び方マップ」aso-pharm.co.jp
- 阿蘇製薬「復活!サビオばんそうこう」aso-pharm.co.jp
- リバテープ製薬「歴史」libatape.jp
- 祐徳薬品工業「沿革・開発の流れ」yutokuyakuhin.co.jp
- デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典「絆創膏」(小学館、コトバンク掲載)kotobank.jp
- デジタル大辞泉「バンドエイド」(小学館、コトバンク掲載)kotobank.jp
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。
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