まずはこの3つ
- 変えてよいのは品詞・主語の立て方・語順・文の切り方
- 変えてはいけないのは情報量・因果・時制・否定・程度
- 迷ったら直訳を残す。意訳しすぎより減点が小さい
意訳で変えてよい所・いけない所
英語と日本語は「好む言い方」が違う。英語は名詞・物の主語・受け身・代名詞が好き。日本語は動詞・人の主語・自動詞・省略が好き。だから言い方は日本語に合わせて変えてよい。一方、情報の量・論理(因果・逆接)・時制・否定・程度を変えると、それはもう別の文=誤訳。採点では「英文の内容が過不足なく日本語にあるか」が見られることが多い。
直訳調のサイン→変換表
| 直訳調のサイン | 変換のしかた | 例 |
|---|---|---|
| 「〜の〜の〜」が続く | 名詞を動詞に戻す | 彼の到着の遅れ→彼が遅れて着いた |
| 物が主語で「〜させた」 | 人を主語に、物は原因に | 雨が私たちを家にいさせた→雨で家にいた |
| 「〜によって〜された」 | 自動詞・能動にする | 窓が風によって割られた→風で窓が割れた |
| 「彼の」「それは」が多い | 所有格・代名詞を消す | 彼は彼の手を彼のポケットに→ポケットに手を |
| 「〜することができる」 | 「〜できる」と短く | 見ることができる→見える |
| カタカナ語の連発 | 日本語の語に置き換える | インパクトを与えた→影響を与えた |
| 1文が長すぎる | 先行詞・接続詞で切る | 〜した〜する〜の人→ある人に会った。その人は〜 |
1品詞を変える4
- 1名詞→動詞出来事を表す名詞は「〜が…すること」と動詞に戻す。詳しくは「名詞構文・無生物主語の自然な和訳30」。Her quick recovery surprised the doctors.直訳:彼女の速い回復が医者たちを驚かせた →意訳:彼女の回復が早かったので、医者たちは驚いた。
- 2形容詞→副詞・述語名詞が動詞になれば形容詞は副詞に。a brief explanation=簡単に説明する、a heavy smoker=たばこをたくさん吸う。She gave a brief explanation of the rules.直訳:彼女はルールの短い説明をした →意訳:彼女はルールを簡単に説明した。
- 3評価の副詞→述語動詞の前の wisely・kindly・foolishly は話し手の評価。「〜したのは賢明だった」「親切にも〜した」と。※He spoke kindly. は「優しい口調で」(様子)。He wisely kept silent.賢明にも彼は黙っていた(=彼が黙っていたのは賢明だった)。
- 4前置詞→動詞日本語は前置詞を動詞で言う。across=〜にかかる、with=〜を持った・〜のある、against=〜に反対して。the bridge across the river/a girl with long hair川にかかる橋/髪の長い少女
2主語・態を変える4
- 1受け身→自動詞日本語は「割れた・閉まった・決まった」と自動詞で言うのが自然。by の行為者が物なら「〜で」に。The window was broken by the strong wind.直訳:窓が強い風によって割られた →意訳:強い風で窓が割れた。
- 2have・there is の主語を消すWe have a lot of rain in June. の we は「この地域の人」。訳さず「6月は雨が多い」。have は「ある・いる」。We have a lot of rain in June.6月は雨が多い。
- 3can see・can hear→見える・聞こえる総称の you・we+can see は「〜が見える」。「あなたは〜を見ることができる」と訳すとぎこちない。You can see Mt. Fuji from this window.この窓から富士山が見える。
- 4物の主語→人の主語物が主語で人が目的語なら、人を主語に立て、物を原因・条件に。enable・prevent・make・remind が定番。The heavy rain kept us indoors all day.大雨のせいで、私たちは一日中家にいた。
3代名詞・所有格・数を消す3
- 1所有格は訳さない体の部分・持ち物の his・her・my は、日本語では言わなくてもわかる。ただし「誰の」が大事な時は残す。He put his hands in his pockets.彼はポケットに手を入れた。
- 2代名詞は消すか名詞に戻すit・they を毎回「それは」「彼らは」と訳すとくどい。主語が続くなら省き、指すものが遠ければ名詞に戻す。When the dog saw its owner, it wagged its tail.犬は飼い主を見ると、しっぽを振った。
- 3複数形・冠詞は訳さない総称の複数(Dogs are 〜)を「犬たち」とは訳さない。a・the も普通は訳さない。the を訳すのは「その」と特定したい時だけ。Dogs are loyal animals.犬は忠実な動物だ。
4語順と文の切り方3
- 1長い修飾は2文に切る関係詞節が長い時(節の中に動詞が2つ以上ある時など)は、先行詞で切って「その人は〜」と訳し下ろす。修飾関係が変わらなければよい。I met a woman who had lived in five countries and spoke six languages.ある女性に会った。彼女は5か国に住んだことがあり、6か国語を話せた。
- 2was about to V when は前からS was about to V when 〜 は「〜しようとしていたら…」と前から。後ろから訳すと出来事の順が逆になり、話の流れが見えにくい。I was about to leave when the phone rang.出かけようとしていたら、電話が鳴った。
- 3感情の動詞の主語は「〜ことに」That 節が主語で、述語が surprise・please など感情の動詞なら「〜ことに[で]」と副詞的に訳すと自然。That he passed the exam surprised everyone.彼が試験に受かったことに、皆が驚いた。
5語を選ぶ・削る4
- 1冗長な語尾を削る「〜することができる」→「〜できる」、「〜ということである」→「〜のだ」。It is possible for 人 to V=人は V できる(出来事なら「〜する可能性がある」)。It is possible for us to reduce waste.直訳:私たちがごみを減らすことは可能だ →意訳:私たちはごみを減らせる。
- 2カタカナ語に逃げないimpact=影響、issue=問題、approach=取り組み方。カタカナで書くと「訳語を選べていない」と見られやすい。The new law had a big impact on small businesses.新しい法律は中小企業に大きな影響を与えた。
- 3比喩・慣用句は意味で日本語に同じ意味の慣用句があれば使ってよい。なければ意味を平易に。無理に四字熟語やことわざにしない。The news spread like wildfire.その知らせはあっという間に広まった。
- 4現在完了の継続は「〜している」have lived for ten years は「10年住んでいる」。「住んできた」は経緯を強調したい時だけ。I have lived in this town for ten years.この町には10年住んでいる。
やりすぎ意訳:ここで減点5
ng=意訳しすぎ、ok=自然で過不足のない訳
- ✕人生は甘くない(Life is not always easy.)○人生はいつも楽とは限らない部分否定が消えると内容が変わる
- ✕65歳以上の人(people over 65)○65歳を超える人over は厳密には「超える」。数字の境目も正確に
- ✕彼はきっと来る(He may come.)○彼は来るかもしれないmay の確信度を勝手に強めない
- ✕彼は努力して合格した(He passed the exam.)○彼は試験に合格した原文にない情報(努力)を足さない
- ✕雨が降ったので試合は中止(The game was held despite the rain.)○雨にもかかわらず試合は行われた論理関係(逆接)を変えるのは致命的
直訳→仕上げの3段階3
- 1構造どおりに直訳S・V・修飾を1対1で対応させる。ここで構文の取り違えを防ぐ
- 2言い方を日本語に品詞・主語・態・語順を変換表で直す。情報は足さない・削らない
- 3原文と照合時制・否定・助動詞・比較・数字が残っているか、1語ずつ確認
確認テスト:最も自然で正確な訳は?
- 1The door was closed by the wind.正解は 風でドアが閉まった。受け身→自動詞、行為者は「〜で」
- 2We have little snow in this area.正解は この地域は雪がほとんど降らない。we を訳さず、little=ほとんどない
- 3She kindly showed me the way.正解は 彼女は親切にも道を教えてくれた。評価の副詞→「〜にも」
- 4He lost his wallet on his way home.正解は 彼は帰宅途中に財布をなくした。所有格は訳さない
- 5You can hear birds singing in the morning.正解は 朝には鳥のさえずりが聞こえる。総称の you+can hear=聞こえる
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