
ダイドーの嘆き
パーセル・by 1689
「わたしを覚えていて」。くり返す低音にのせた、胸をうつ別れの歌。
歌劇「ダイドーとエネアス」より「ダイドーの嘆き」のページへ
Piano · D. 899 No. 3 (Op. 90 No. 3) · 1827
フランツ・シューベルト(1797–1828)
終わらない歌のように、メロディーがどこまでも流れていく。A melody that flows on and on, like a song without end.
PUBLIC DOMAIN RECORDING
CC BY 3.0 無料でダウンロードOKWATCH ON YOUTUBE
Khatia Buniatishvili - Schubert: Impromptu No. 3 in G-Flat Major, Op. 90, D. 899
KhatiaBuniatishVEVO(YouTube) YouTube で開く ↗
Grigory Sokolov – Schubert: Impromptus D'899, Nr. 2 in Es major
Deutsche Grammophon - DG(YouTube) YouTube で開く ↗
左の音源は権利が切れた録音なのでダウンロードできます。右の動画は YouTube の公式の埋め込みで見るもので、ダウンロードはできません(動画の権利は各チャンネルにあります)。
Eric Lu plays Schubert Impromptu No. 3 in G-Flat Major
Warner Classics(YouTube) YouTube で開く ↗
Schubert: 4 Impromptus, D. 899 (Op. 90): No. 3 in G-Flat Major. Andante
Krystian Zimerman - Topic(YouTube) YouTube で開く ↗
Schubert: Impromptu in G flat Op. 90 No. 3
Boris Bizjak(YouTube) YouTube で開く ↗
SCHUBERT - Impromptu n°3 (Horowitz)
Pianhoro(YouTube) YouTube で開く ↗

ホー!この曲、昔は「ト長調」に書きかえられて売られていたんだよ。
シューベルトが1827年に書いた「4つの即興曲 作品90」の第3曲です。右手がゆったりと長いメロディーを歌い、そのまわりを細かい音がさざ波のように流れつづけます。歌曲の名人シューベルトらしく、ピアノだけで歌を聴いているような曲です。静かな夜にぴったりの一曲です。This is the third of Schubert's Four Impromptus, Op. 90, written in 1827. The right hand sings a long, calm melody, while soft notes ripple around it like small waves. Schubert was a master of songs, and here the piano itself seems to sing. It is perfect for a quiet evening.
「即興曲」とは、思いつくままに自由にひいたような曲という意味です。この題は出版社が付けたと言われています。1827年は、シューベルトが歌曲集『冬の旅』を書き、尊敬するベートーヴェンが亡くなった年でもあります。シューベルトは体調をくずしながらも、すばらしいピアノ曲を次々に書きました。An impromptu is a piece that sounds as if it were made up on the spot. The title is said to have come from the publisher. In 1827, Schubert also wrote his song cycle Winterreise, and Beethoven, whom he admired, died. Though his health was poor, Schubert kept writing wonderful piano music.
4曲のうち、第1・2曲は1827年に出版されましたが、この第3曲と第4曲が出たのはシューベルトの死後の1857年でした。そのとき第3曲は、もとの変ト長調ではなく、ト長調に書きかえられていました。今では、シューベルトが書いた通りの変ト長調でひくのがふつうです。The first two impromptus were published in 1827, but Nos. 3 and 4 did not appear until 1857, long after Schubert's death. When No. 3 was printed, it had been moved from G-flat major to G major. Today pianists usually play it in G-flat, as Schubert wrote it.
This is a quiet piano piece by Schubert. The melody is long and sings like a voice. Soft notes move under it like water. A publisher once changed its key. Now pianists play it the way Schubert wrote it.これはシューベルトの静かなピアノ曲です。メロディーは長く、人の声のように歌います。その下で、やわらかい音が水のように動きます。出版社がむかし、この曲の調を変えてしまいました。今ではピアニストは、シューベルトが書いた通りにひきます。
タップすると答えが開きます
1857年の初版では、変ト長調(♭が6つ)がト長調(♯が1つ)に書きかえられました。アマチュアには♭が多すぎてむずかしいと出版社が考えたため、と言われています。でも実際は、変ト長調は手になじみやすい調だという意見もあります。
In the first edition of 1857, the key was changed from G-flat major, with six flats, to G major, with one sharp. It is said the publisher thought six flats would scare amateur players. Yet some pianists say G-flat actually fits the hand very comfortably.
シューベルトは1828年に31歳で亡くなりました。この第3曲が世に出たのは1857年で、亡くなってから30年近くもたっていました。シューベルトの作品には、このように死後に見つかったり出版されたりした名曲がとても多いのです。
Schubert died in 1828 at the age of 31. This impromptu was not published until 1857, almost 30 years after his death. Many of Schubert's masterpieces were found or published only after he died.
この曲が書かれた1827年、ベートーヴェンが亡くなりました。ウィーンで行われた大きな葬儀で、シューベルトはたいまつを持つ係の一人として参列しています。その翌年、シューベルト自身も世を去りました。
Beethoven died in 1827, the year this piece was written. At his large funeral in Vienna, Schubert was one of the torchbearers. Just one year later, Schubert himself died.
「即興曲」と聞くと、その場で思いつきでひいた曲のようですが、実際はていねいに書きこまれた作品です。メロディー・伴奏・低音の3つの層が、一つの手の中で同時に動くように作られていて、ピアニストには音のバランスが腕の見せどころです。
The word impromptu suggests music made up on the spot, but this piece is carefully composed. Melody, accompaniment and bass all move at the same time, sometimes within one hand. Balancing these layers is a real test for pianists.
ENGLISH × MASTERPIECE
MORE MASTERPIECES

パーセル・by 1689
「わたしを覚えていて」。くり返す低音にのせた、胸をうつ別れの歌。
歌劇「ダイドーとエネアス」より「ダイドーの嘆き」のページへ
パッヘルベル・c. 1680–1706
同じ8つの音が28回!なのに聴くたび胸がいっぱいになる曲。
カノンとジーグ ニ長調 より「カノン」のページへ
バッハ・c. 1703–1707 (?)
音楽の授業でおなじみ!4つの声が同じテーマで追いかけっこ。
小フーガ ト短調のページへ
ヘンデル・1711
「泣かせてください」と歌う、深い悲しみに満ちた名アリア。
私を泣かせてください(歌劇『リナルド』より)のページへ
バッハ・1713
2本のリコーダーがやさしく鳴る、のどかな牧場の歌。
カンタータ第208番より「羊は安らかに草を食み」のページへ
コレッリ・published 1714
聖なる夜のために。最後に羊飼いの笛のようなパストラーレが流れます。
合奏協奏曲 ト短調「クリスマス協奏曲」のページへ
クープラン・published 1717
題名の意味はだれも知らない!やわらかく波打つ、なぞの名曲。
神秘的なバリケードのページへ
マルチェッロ・published c. 1717
胸にしみるアダージョ!バッハも編曲したオーボエの名曲。
オーボエ協奏曲 ニ短調のページへ