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MOON MYTHS & LEGENDS

満月の夜は眠れない? 睡眠の研究で分かってきたこと

「満月の夜は、なんだか寝つけない」――そう感じたことはありませんか。じつはこれ、科学者たちが本気で調べてきたテーマです。「関係がある」という研究も、「関係はない」という研究もあり、いまも議論が続いています。分かっていることと、まだ分からないことを分けて見ていきましょう。

まずは結論

研究中:はっきりしない

2013年、スイスの研究で「満月のころは深い眠りが減る」という結果が出て話題になりました。一方、もっと多くの人を調べた2014年の研究では、関係は見つかりませんでした。2021年には「満月の数日前は寝る時刻が遅く、睡眠が短くなる」という研究も。まだ結論は出ていません。

このページは、言い伝えを大切にしている人を否定するためのものではありません。どうして生まれたのか、研究で何が分かっているのかを紹介します。最後に判断するのは、あなたです。

言い伝えの中身

「満月の夜は眠りが浅い」「目がさえて寝つけない」「変な夢を見る」――月と眠りにまつわる話は、世界中にあります。

ヨーロッパの言い伝えでは、月の光をあびて眠ると心が落ち着かなくなる、といわれたこともありました。

どうして生まれた?

電気のない時代、夜の明かりは月の光だけでした。満月の夜は外が明るく、人びとは夜おそくまで働いたり、集まったりすることができました。

明るい夜は目がさえて寝つきにくい――そんな毎日の経験から、「満月の夜は眠れない」と言われるようになったと考えられます。この考えは、あとで紹介する2021年の研究の考え方にもつながっています。

世界ではどう?

日本には、仲間で集まって夜おそくまで月の出を待つ「月待ち」の行事が各地にありました。月の夜は、眠るよりも起きて過ごす特別な夜でもあったのです。

アルゼンチンの先住民トバ/コムの人びとの暮らしを調べた研究では、月明かりのある夜には、人びとが夜おそくまで活動していることが観察されました。

科学で分かっていること

Waking up in a crew sleeping quarter
画像:NASA

2013年、スイス・バーゼル大学のカヨッヘン(Cajochen)さんたちは、もともと別の目的で行った睡眠実験のデータを、あとから月の満ち欠けに合わせて調べ直しました。参加者は33人。時計も外の光も見えない実験室で眠っていたのに、満月のころは、深い眠りを表す脳波が約30%減り、寝つくまでの時間が約5分長く、眠った時間が約20分短くなっていました。眠りを助けるホルモン(メラトニン)も少なめでした。

この結果は大きな話題になりました。でも2014年、ドイツやスイスの研究者たちが、1265人・2097晩分という、より多くの睡眠データで同じことを調べると、月の満ち欠けとの関係は見つかりませんでした。研究者たちは、「関係がない」という結果は発表されにくく、引き出しにしまわれがち(file drawer problem)なことにも注意をよびかけています。

2021年、アメリカ・ワシントン大学のカシラギ(Casiraghi)さんたちは、アルゼンチンの先住民トバ/コムの人びと(電気のない村、電気の少ない村、町で暮らす人の約100人)と、アメリカ・シアトルの大学生464人の手首に、眠りを記録する機械をつけてもらいました。すると、どのグループでも満月の数日前の夜には、寝る時刻が遅くなり、睡眠時間が短くなる傾向が見られました。

満月の数日前は、日が暮れたあとの早い時間に月が明るく出ています。研究者たちは、昔は月明かりが夜の活動をうながし、眠りを遅らせていたのではないか、と考えています。ただし、町で暮らす人にも同じリズムが見られた理由は、まだよく分かっていません。

まとめると、「満月で眠りが変わる」という研究も「変わらない」という研究もあり、まだ結論は出ていません。ただ、「夜の明るい光は眠りを遅らせる」ことは、たくさんの研究で分かっています。眠れない夜は、カーテンを閉めて部屋を暗くし、寝る前のスマートフォンをひかえてみてください。

参考にした研究・資料

Cajochen C ほか(2013)Current Biology 23巻

33人・64晩を実験室で記録したデータを、あとから月の時期で分析。満月のころ、深い眠りの脳波が約30%減少、寝つきが約5分遅く、睡眠が約20分短い。

論文・資料を見る ↗
Cordi M ほか(2014)Current Biology 24巻

1265人・2097晩のデータで調べ直したところ、月の時期と睡眠の関係は見られず。

論文・資料を見る ↗
Casiraghi L ほか(2021)Science Advances 7巻

トバ/コムの人びと約100人とシアトルの大学生464人を手首の機械で記録。満月の数日前の夜は、寝る時刻が遅く睡眠が短い傾向。一人ひとりの睡眠時間の変化の幅は、月のサイクルの中で平均46〜58分。

論文・資料を見る ↗

英語では?

light sleeper

眠りが浅い人(物音などですぐ目がさめる人)

I'm a light sleeper, so I need a quiet room.私は眠りが浅いので、静かな部屋が必要です。

toss and turn

(眠れなくて)何度も寝返りをうつ

I tossed and turned all night.一晩中、寝返りばかりうっていた。

moonlight

月の光

The room was filled with moonlight.部屋は月の光でいっぱいだった。

sleep like a log

ぐっすり眠る(丸太のように)

After hiking, I slept like a log.ハイキングのあと、ぐっすり眠った。

よくある質問

満月の夜に眠れないのは、科学的に本当?

2013年のスイスの研究や2021年のアメリカの研究では「満月のころ、眠りが浅くなったり短くなったりする」という結果が出ましたが、もっと多くの人を調べた2014年の研究では関係が見つかりませんでした。まだ結論は出ていない「研究中」のテーマです。

満月の数日前に眠りが短くなるのはなぜ?

2021年の研究者たちは、満月の数日前は日暮れのあとの早い時間に明るい月が出ているため、昔の人は月明かりの下で夜おそくまで活動していたのではないか、と考えています。くわしいしくみはまだ分かっていません。

満月の夜によく眠るにはどうしたらいい?

夜の明るい光は眠りを遅らせることが分かっています。カーテンを閉めて部屋を暗くし、寝る前のスマートフォンやパソコンの画面をひかえるのがおすすめです。眠れない日が続くときは、お医者さんに相談してください。

参考にした資料

研究の数字は、それぞれの論文の要旨・公式資料にもとづいています。新しい研究で分かることが変わる場合もあります。

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