関西の「マクド」は海外にも仲間がいた。フランスとフィリピンでは会社も「McDo」

読む前に予想してみよう!
日本マクドナルドの調べでは、「マクド」と呼ぶ地域は全国の半分以上ある
2016年の社内調べで、「マクド」を愛称とする地域は関西圏を中心とする11府県だけ。会社の発表は「マクド」と呼ぶ側を“少数派”と呼んでいる。
- 対象
- 日本・アメリカ・オーストラリア・フランス・フィリピンの呼び名
- 規模
- 辞書(日・英)・論文1本・米国の商標記録・各国の公式サイトと発表
- 研究の種類
- 辞書の記述・会社の社内調査(2016年、方法は非公開)
- 確かさ
- ★★★☆☆
マクドナルドを「マクド」と呼ぶのは関西中心の11府県だけ(会社の調べ)。でもフランスとフィリピンでは会社自身が同じ切り方の「McDo」を使う。米国は Mickey D's、豪州は Macca's。
ひとことで言うと「マクド」の仲間は海外にもいた!フランスでは「McDo」なんだって。
もくじ
「マック行こか」「いや、マクドやろ」
マクドナルドの呼び方は、関西では「マクド」、ほかの多くの地域では「マック」。日本ではよく知られた“論争”です。でも、呼び方が分かれるのは日本の中だけではありません。海外にも、それぞれの呼び名があります。
アメリカの俗語では Mickey D's、オーストラリアでは Macca's。そしてフランスとフィリピンでは、マクドナルドの公式サイトや公式SNSが McDo を使っています。McDo は、名前の頭だけを残した形。並べてみると、関西の「マクド」と同じところで切れています。
01マックとマクド、どこで分かれる?「マクド」は11府県だけ
日本マクドナルドは2017年8月、「マックなのか?マクドなのか?おいしさ対決!」というキャンペーンを行いました。会社の発表によると、愛称をかけた対決は公式としては初めてでした。
辞書でも確かめてみましょう。小学館の『デジタル大辞泉プラス』は、「マック」も「マクド」もマクドナルドの俗称として載せています。「マクド」のほうには「主に関西方面で用いられるとされる」とあります。
「とされる」という書き方に注目です。辞書も、どこから先がマクドなのか、はっきりした線は引いていません。
02アメリカでの呼び方は?俗語の Mickey D's
英語の俗語を集めた『Green's Dictionary of Slang』(ジョナサン・グリーン編)には、Mickey D's が「マクドナルドの店、またはそこで売るハンバーガー」として載っています。
- McDonald の頭の Mc と D から作った呼び名だと説明している
- ラベルは「US black/campus」。アメリカの黒人の英語や、大学生の俗語として記録されている
- 辞典が挙げるいちばん古い例は、1977年の米紙ワシントン・ポスト。ファストフード好きのあいだで親しみをこめてこう呼ばれている、という内容
- 米国特許商標庁の記録も引かれている。それによると、マクドナルド社は1982年に「MICKEY DS」を商標として出願し、1984年に登録された。あだ名を、会社自身が商標にしていたのです
辞典には Maccy D's などのつづりも載っています。使うならこんな感じです。
Let's grab a burger at Mickey D's.(マックでハンバーガーでも食べようよ)
03オーストラリアでは、会社も Macca's を名乗る
同じ辞典は Macca's も「マクドナルドの店」として載せ、オーストラリアの言葉だとしています。Mc の部分から作った語だという説明です。辞典が挙げる例は、2005年の小説や、2013年の「オーストラリア・デー」に合わせたマクドナルドの広告などです。
しかも、会社がこの呼び名を正式に使っています。マクドナルド・オーストラリアの公式サイトでは、会社の歩みを紹介するページの見出しが Macca's® Story。登録商標のマーク ® までついています。アプリの名前も MyMacca's です。会社の歩みのページによると、オーストラリアの1号店は1971年、シドニー郊外のヤグーナに開きました。
じつはオーストラリア英語では、言葉を縮めた呼び名がよく作られます。ニュージーランド辞書センターのダイアン・バーズリーさんとシドニー大学のジェーン・シンプソンさんは、2009年の論文(学術書の1章)でこうまとめています。
- オーストラリアとニュージーランドでは、多くは1音節にした語に、-ie や -o などをつけて呼び名を作る
- 2つの国の使い方は似ているが、-o で終わる形はオーストラリアのほうが多い。とくに職業や釣りの言葉で目立つ
- まったく新しい語は、新しい物をすばやく指すために作られる。一方、今ある語の呼び名が作られるのは、仲間の話し方に合わせたいという気持ちも理由の一つ
オックスフォードの学習辞典にも、そんな言葉が載っています。arvo は afternoon(午後)を縮めて -o をつけた語。barbie は barbecue(バーベキュー)のこと。どちらもオーストラリア・ニュージーランド英語のくだけた言い方です。
Let's have a barbie this arvo.(今日の午後、バーベキューしようよ)

04海外の略し方:フランスとフィリピンは McDo
フランスのマクドナルドの公式サイトを見ると、アプリの名前は McDo+。求人の呼びかけは「Rejoignez les équipes McDo」(McDo のチームに加わろう)です。会社が自分のことを McDo と呼んでいるわけです。
フィリピンでも、公式サイトの案内に McDo Party(パーティーのサービス)という項目があり、公式の Facebook と X のアカウントの ID も McDo.ph、McDo_PH です。
McDonald's から McDo。マクドナルドからマクド。頭の部分を残して、あとを切る。言語はちがっても、並べてみると切り方は同じです。
05英語のあだ名は「切る」と「足す」でできている
ここまでの呼び名を、英語学習の目で整理してみましょう。
the doctor's の使い方は、ケンブリッジ大学出版局の英文法の解説にも載っています。話し手と聞き手がよく知っている場所なら、's のあとの名詞(salon や surgery)を言わないことがある、という説明です。
06どんでん返し:「11府県」は会社の社内調べ
ここで少し立ち止まりましょう。「マクドは11府県だけ」という数字は、日本マクドナルドが2016年に自分で調べた結果です。発表には、何人に、どうやって聞いたのかは書かれていません。
しかも数え方は府県ごとです。発表資料の内訳では、11府県のうち6県は「マック」と「マクド」の混合とされています。11府県の人がみんな「マクド」と呼んでいるわけではありません。2017年の対決も、勝ち負けを決めたのはツイートの数です。何人がマクドと呼んでいるかを数えたわけではありません。
なぜ関西では「マクド」なのか。関西のアクセントと関係がある、という説明を見かけることがあります。ただ、今回はそれを確かめた論文や辞書の記述を見つけられませんでした。理由はまだ「説」の段階だと考えておくのが安全です。
Green's に載っている年も、「辞典が見つけたいちばん古い例」です。Mickey D's が1977年に生まれた、という意味ではありません。
07まとめ
日本の「マック」と「マクド」。じつは同じような呼び名の分かれ方が、海外でも起きていました。アメリカは Mickey D's、オーストラリアは Macca's、フランスとフィリピンは McDo。
長い名前を短くするのは、日本語でも英語でもフランス語でも同じです。ただ、どこで切って、何を足すかに、その土地の言葉のくせが出ます。旅行先で地元の人の呼び方をまねしてみると、ちょっとだけ仲間に入れるかもしれません。
この研究を英語で読もう原田英語の English CornerIn the summer of 2017, McDonald's Japan held a contest between two teams called "Makku" and "Makudo." Each…
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4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く
原田英語の English Corner
この研究を英語で読もう
People in Japan have two short names for McDonald's. In most of the country, they call it "Makku." But in Kansai and the areas around it, people say "Makudo." Other countries have nicknames too.
In American slang, it is "Mickey D's." In Australia, people say "Macca's," and the company uses this name on its own website. In France and the Philippines, the company's websites use "McDo." It looks a lot like "Makudo"!
72 words ・ CEFR A2
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日本の人はマクドナルドを2つの短い名前で呼びます。国のほとんどの地域では「マック」と呼びます。でも、関西とそのまわりの地域では「マクド」と言います。ほかの国にもあだ名があります。
アメリカの俗語では「Mickey D's」です。オーストラリアでは「Macca's」と言い、会社も自分のウェブサイトでこの名前を使っています。フランスとフィリピンでは、会社のウェブサイトが「McDo」を使っています。「マクド」によく似ていますね!
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
日本の「マック」「マクド」と、ほかの国の呼び名(Mickey D's、Macca's、McDo)を紹介しているので B。
Q2. What do people in Australia call McDonald's?
In Australia, people say "Macca's" とあるので D。Mickey D's はアメリカの俗語。
Q3. In the passage, what is a "nickname"?
Makku や Macca's のような、短く親しみのある呼び名のことなので A。
In the summer of 2017, McDonald's Japan held a contest between two teams called "Makku" and "Makudo." Each team had its own burger, and the winner was decided by the number of tweets and retweets. According to the company's own research from 2016, the name "Makudo" was used in only 11 prefectures, mostly around Kansai.
Even so, the Makudo team won. Other countries have their own nicknames for the chain. Green's Dictionary of Slang lists "Mickey D's" as American slang, and its oldest example comes from a 1977 newspaper.
The same dictionary lists "Macca's" as Australian, and McDonald's Australia uses that name on its website. In France and the Philippines, the company uses "McDo." Like "Makudo," it keeps the start of the name and drops the rest.
127 words ・ CEFR B1
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2017年の夏、日本マクドナルドは「マック」と「マクド」という2つのチームの対決を行った。それぞれのチームに代表のバーガーがあり、勝ち負けはツイートとリツイートの数で決まった。会社自身の2016年の調査によると、「マクド」という名前を使っていたのは、関西を中心とする11府県だけだった。
それでも、マクドのチームが勝った。ほかの国にも、このチェーンの独自の呼び名がある。『Green's Dictionary of Slang』は「Mickey D's」をアメリカの俗語として載せており、いちばん古い例は1977年の新聞のものだ。
同じ辞典は「Macca's」をオーストラリアの言葉として載せていて、マクドナルド・オーストラリアはその名前をウェブサイトで使っている。フランスとフィリピンでは、会社が「McDo」を使っている。「マクド」と同じように、名前の頭を残してあとを切った形だ。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the passage mainly about?
日本の「マック」「マクド」の対決から始まり、アメリカ・オーストラリア・フランス・フィリピンの呼び名を紹介しているので C。
Q2. How was the winner of the 2017 contest decided?
the winner was decided by the number of tweets and retweets とあるので B。2016年の調査は「マクド」の地域を数えたもので、勝敗とは別。
Q3. What does the writer suggest about "McDo" and "Makudo"?
Like "Makudo," it keeps the start of the name and drops the rest とあり、同じ切り方で作られたと言っているので A。
Long names tend to get shortened, and McDonald's offers a good set of examples. In Japan the chain is "Makku" in most places but "Makudo" in 11 prefectures centered on Kansai, according to a 2016 survey by the company itself. That figure needs a second look.
The company did not say how many people it asked or how, and it counted prefectures, not speakers. In six of the 11, its own list shows both names. English speakers use other tricks. "Mickey D's" turns the "Mc" in "McDonald" into "Mickey" and keeps the "D."
Green's Dictionary of Slang labels it American and gives a 1977 newspaper as its oldest example. Australians say "Macca's," and McDonald's Australia has put the name on its website. Linguists Dianne Bardsley and Jane Simpson point out that Australians and New Zealanders often cut a word to one syllable and add an ending like "-ie" or "-o."
That is how "barbecue" became "barbie" and "afternoon" became "arvo." They argue that people use these forms partly to sound like the group they belong to. Both "Mickey D's" and "Macca's" keep the final "'s," the same ending you hear in "the doctor's."
193 words ・ CEFR B2
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長い名前は短くされがちで、マクドナルドはそのよい例をいくつも見せてくれる。日本では、このチェーンはほとんどの場所で「マック」だが、関西を中心とする11府県では「マクド」だ。これは会社自身による2016年の調査による。
この数字はもう一度よく見る必要がある。会社は何人に、どうやって聞いたのかを明らかにしておらず、数えたのは話し手ではなく府県だ。11府県のうち6県では、会社自身の一覧に両方の呼び名が載っている。英語の話し手は別の工夫を使う。「Mickey D's」は「McDonald」の「Mc」を「Mickey」に変え、「D」を残した形だ。
『Green's Dictionary of Slang』はこれをアメリカの言葉とし、いちばん古い例として1977年の新聞を挙げている。オーストラリアの人は「Macca's」と言い、マクドナルド・オーストラリアはこの名前を自社のウェブサイトに載せている。言語学者のダイアン・バーズリーとジェーン・シンプソンは、オーストラリアとニュージーランドの人々がよく、語を1音節に縮めて「-ie」や「-o」のような語尾をつけることを指摘している。そうして「barbecue」は「barbie」に、「afternoon」は「arvo」になった。
2人は、人々がこうした形を使う理由の一つは、自分の属する集団らしい話し方をするためだと論じている。「Mickey D's」も「Macca's」も、最後の「's」を残している。「the doctor's(お医者さんのところ)」で耳にするのと同じ語尾だ。
4択リーディングクイズ
Q1. What is the main point of the passage?
日本の「マック」「マクド」、Mickey D's、Macca's、豪・NZ英語の -ie / -o など、同じ名前を土地ごとにちがう方法で短くする話なので B。
Q2. Why does the writer say the 11-prefecture figure "needs a second look"?
The company did not say how many people it asked or how, and it counted prefectures, not speakers とあるので C。
Q3. According to Bardsley and Simpson, why might an Australian say "arvo"?
They argue that people use these forms partly to sound like the group they belong to とあるので D。
重要単語
- nicknameB1名詞あだ名、愛称Macca's is the Australian nickname for McDonald's.
動詞でも使う。They nicknamed him "Mac."(彼にマックというあだ名をつけた)。the nickname for ~「~の呼び名」。 - shortenB1動詞短くするPeople often shorten long names when they talk.
short(短い)+-en(~にする)。同じ作りの語に widen(広げる)、brighten(明るくする)。 - slangB2名詞俗語、くだけた言葉"Arvo" is Australian slang for "afternoon."
数えられない名詞なので a slang とは言わない。1語なら a slang word / a slang term。 - informalB1形容詞くだけた、改まっていない"Arvo" is fine with friends, but it's too informal for a job interview.
反対は formal。辞書の (informal) のラベルは「友だち同士ならOK、作文では避ける」の目印。 - suffixC1名詞接尾辞(語の後ろにつける部分)Add the suffix "-ie," and "barbecue" becomes "barbie."
前につくのは prefix(接頭辞)。-ness、-ful、-ie、-o などが suffix。 - regionalB2形容詞地域の、地方の"Makudo" is a regional word in Japan.
region(地域)+-al。regional accent「地方のなまり」はよく使う組み合わせ。 - abbreviationB2名詞略語、短縮形"BBQ" is an abbreviation for "barbecue."
動詞は abbreviate(略す)。短くした語全般を指す。
公式・一次情報をチェック
- Macca's Story(McDonald's Australia 公式サイト)mcdonalds.com
- McDonald's France 公式サイトmcdonalds.fr
- McDonald's Philippines 公式サイトmcdonalds.com.ph
- デジタル大辞泉プラス「マック」(小学館、コトバンク)kotobank.jp
- arvo(Oxford Learner's Dictionaries)oxfordlearnersdictionaries.com
- barbie(Oxford Learner's Dictionaries)oxfordlearnersdictionaries.com
- Possession: John's car, a friend of mine(Cambridge Dictionary, English Grammar Today)dictionary.cambridge.org
- 商標「MICKEY DS」登録第1292557号(米国特許商標庁 TSDR)tsdr.uspto.gov
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マクドナルドを「マクド」と呼ぶのは関西中心の11府県だけ(会社の調べ)。でも海外に仲間がいた。フランスとフィリピンでは会社自身が同じ切り方の「McDo」を使う。アメリカの俗語は Mickey D's、豪州は Macca's。
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出典・参考文献(6件)タップで表示
- 日本マクドナルド (2017) ニュースリリース「マックなのか?マクドなのか?おいしさ対決!」結果のお知らせ(2017年8月21日)digitalpr.jp
- 日本マクドナルド (2017) ニュースリリース「マックなのか?マクドなのか?おいしさ対決!」対決商品のお知らせ(2017年8月7日)digitalpr.jp
- デジタル大辞泉プラス「マクド」「マック」(小学館、コトバンク掲載)kotobank.jp
- Green's Dictionary of Slang「Mickey D's (Rainbow Steakhouse), n.」(Jonathon Green)greensdictofslang.com
- Green's Dictionary of Slang「Macca's, n.」(Jonathon Green)greensdictofslang.com
- Bardsley, D. & Simpson, J. (2009) Hypocoristics in New Zealand and Australian English. In Comparative Studies in Australian and New Zealand English (John Benjamins), 49–70doi.org
※本記事は上記の研究・公開資料をもとに、原田英語が独自の言葉で解説したものです。引用は著作権法第32条の範囲で行い、出典を明記しています。画像はすべてオリジナルのイメージです。研究結果には限界や個人差があります。誤りのご指摘は原田英語のお問い合わせフォームから。
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