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日本語のマジか!?ホント

「小春日和」は春ではなく冬の言葉。16〜19歳の66.1%は「春先の天気」と答えていた

「小春日和」は春ではなく冬の言葉。16〜19歳の66.1%は「春先の天気」と答えていた

読む前に予想してみよう!

「小春日和」は、春先のぽかぽかした天気のことだ

研究カード(どんな研究?)
対象
全国の16歳以上の男女
規模
1,942人(2014年度)
研究の種類
全国世論調査(無作為抽出・面接)+辞書・百科事典
確かさ
★★★★☆
3秒でわかる

「小春日和」は初冬(いまの11月〜12月上旬ごろ)の暖かい晴れの日。文化庁の調査では全体の41.7%、16〜19歳の66.1%が「春先」と答えた。英語では Indian summer が近い。

ひとことで言うと「小春日和」は春じゃなくて、冬のはじめのぽかぽか天気のことなんだって!

もくじ
  1. 4割が「春先」を選んだ
  2. 「小春」は旧暦10月のこと
  3. どんな天気のこと?
  4. 英語では Indian summer
  5. どんでん返し:「若者の勘違い」だけでは片づかない
  6. まとめ

「今日は小春日和ですね」

この言葉、何月ごろに使いますか? 3月の、桜を待つころでしょうか。

じつは「小春日和」は冬の言葉です。デジタル大辞泉の説明は「初冬のいかにも小春らしい穏やかで暖かい日和」。俳句では冬の季語です。ところが文化庁の調査では、16〜19歳の66.1%が「春先の天気」と答えていました。

014割が「春先」を選んだ

全体では、本来の意味「初冬」を選んだ人のほうが、「春先」を選んだ人より10ポイントほど多くなっています。でも、20代以下では「春先」のほうが多く、逆転しています。16〜19歳では「初冬」と答えた人は27.1%しかいませんでした。

デジタル大辞泉は、「小春日和」の項目の補足に、この調査結果を載せています。

02「小春」は旧暦10月のこと

なぜ冬なのに「春」なのでしょう。

カギは「小春」という言葉にあります。『日本国語大辞典』(小学館)によると、「小春」はもともと冬の初めの、春に似た暖かい気候のこと。そこから陰暦(旧暦)10月の別名にもなりました。

古い例として、鎌倉時代の終わりごろ(1331年ごろ)の『徒然草』第155段が挙げられています。

「十月は小春の天気、草も青くなり、梅もつぼみぬ」(『徒然草』。日本国語大辞典の用例による)

旧暦の10月なのに、草が青くなり、梅がつぼみをつける。まるで春が来たような日がある、というわけです。

ここで大事なのは、旧暦と今のカレンダーのずれです。『日本大百科全書(ニッポニカ)』によると、旧暦の10月は今の暦ではほぼ11月から12月上旬。つまり小春日和は、秋の終わりから冬の入り口にかけての言葉なのです。

ちなみに、「小春日和」というひとかたまりの言葉について、『日本国語大辞典』が最初の例として挙げているのは、島崎藤村の『千曲川のスケッチ』(1912年)です。秋から冬に変わるころの小春日和は、この地方でいちばん心地よい時期の一つだ、という内容の一節です。

「小春」は旧暦10月の別名。今の暦ではほぼ11月から12月上旬にあたる(日本大百科全書)
「小春」は旧暦10月の別名。今の暦ではほぼ11月から12月上旬にあたる(日本大百科全書)

03どんな天気のこと?

ニッポニカは、気象のしくみも説明しています。

冬が近づくと、低気圧が通りすぎたあと、大陸から高気圧が張り出して、冷たい北風が強めに吹きます。その翌日、高気圧が移動していくと風が弱まり、穏やかな晴れの日になります。これが小春日和です。

ただし、暖かいのは日なただけ。日陰はひんやりしていて、夜は冷え込みます。

季節がさらに進むと、暖かい晴れの日は「冬暖(ふゆあたたか)」「冬日和」などと呼ばれるそうです。

04英語では Indian summer

英語にも、よく似た言い方があります。Indian summer(インディアン・サマー)です。

オックスフォードの学習辞典では、意味は「秋の、乾いて暖かい天気が続く時期」。「冬なのに春」の日本語に対して、英語は「秋なのに夏」と表すわけです。

  • We're having an Indian summer.(季節はずれの暖かい日が続いているね)
  • It's mild for November.(11月にしては暖かいね)

『世界大百科事典』(平凡社)によると、Indian summer は北アメリカ東部のニューイングランド地方で特によく使われ、いまは英語を話す国々に広まっていて、日本の小春日和に「ほぼ相当」します。使われた記録は1778年までさかのぼれますが、名前の由来は分かっていません。

『ブリタニカ国際大百科事典』は、小春日和の英語として Indian summer のほかに St. Martin's summer(聖マルティヌスの夏)も挙げています。同じ事典によると、欧米には、冬を前にしたこの時期の穏やかな晴天を「老婦人の夏」などと呼ぶ言葉もあります。冬を前にした穏やかな晴れの日に名前をつけたのは、日本だけではないのです。

Indian summer には、天気以外の意味もあります。オックスフォードの辞典には、「(特に人生の後半に訪れる)成功や好調の時期」という意味も載っています。

  • As a player, he's experiencing something of an Indian summer.(選手として、彼は遅咲きの好調期を迎えている。辞典の例文)

05どんでん返し:「若者の勘違い」だけでは片づかない

ここまで読むと、「若い人が間違えているだけ」と思うかもしれません。でも、集計表を細かく見ると、そう単純ではありません。

まず、70歳以上でも42.0%が「春先」を選んでいます。これは40代(41.4%)や50代(35.4%)より高い数字です。

地域でも差があります。東北(春先49.0%・初冬42.7%)と九州(春先46.7%・初冬44.9%)では、「春先」のほうが多くなっていました。町村に住む人でも、春先48.7%・初冬43.2%と逆転しています。ただし九州の差は2ポイントほどで、答えた人数(225人)を考えると、はっきりした差とは言えません。なぜこうした差が出るのか、調査報告書には理由は書かれていません。

それに、名前に「春」が入っているのですから、春の言葉だと思うのは自然なことでもあります。『徒然草』の「小春」も、「冬の初めなのに春のような日がある」という意味でした。その「春のよう」の部分だけが、今の人の耳に残ったとも考えられます。ただし、これは推測で、調査で確かめられたことではありません。

06まとめ

「小春日和」は、冬の入り口にふと訪れる、春のような暖かい晴れの日です。旧暦10月の別名「小春」から来ていて、今の暦ならほぼ11月から12月上旬。文化庁の調査では、全体の41.7%、16〜19歳では66.1%が「春先」と答えていました。

英語にも、秋の暖かい日を表す Indian summer があります。今年の11月、風のない晴れた日に「今日は小春日和ですね」と使ってみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe Japanese phrase "koharu-biyori" has the character for spring in it, so many people think it means a… 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

The Japanese phrase "koharu-biyori" has the character for spring in it, so many people think it means a warm day in early spring. It actually means calm, sunny weather in early winter. "Koharu" was another name for the tenth month of the old calendar.

Today, that is roughly November to early December. In early 2015, the Agency for Cultural Affairs asked people across Japan to choose between two meanings. Just over half, 51.7 percent, chose early winter.

But 41.7 percent chose early spring. Young people picked spring most often, and 66.1 percent of those aged 16 to 19 did so. English has its own name for this kind of weather. A warm, dry spell in the fall is called an "Indian summer."

122 words ・ CEFR B1

和訳を見る

日本語の「小春日和」には「春」の字が入っているので、多くの人が春先の暖かい日のことだと思っている。実際には、冬のはじめの穏やかで晴れた天気のことだ。「小春」は旧暦の10月の別名だった。

今の暦では、それはおよそ11月から12月上旬にあたる。2015年の初めに、文化庁は全国の人々に2つの意味のどちらかを選んでもらった。半数をわずかに超える51.7%が「初冬」を選んだ。

しかし41.7%は「春先」を選んだ。「春」を選んだのは若い人に最も多く、16〜19歳では66.1%がそうだった。英語にも、この種の天気を表す独自の名前がある。秋に暖かく乾いた天気が続く時期は「Indian summer」と呼ばれる。

4択リーディングクイズ

Q1. Why do many people think "koharu-biyori" is about early spring?

Q2. What was "koharu" in the old calendar?

Q3. What can we learn from the survey?

重要単語

  • Indian summerC1
    名詞秋の、乾いた暖かい晴天の時期We had an Indian summer this year, so I wore a T-shirt in October. 辞書には「人生の後半に訪れる好調期」という比ゆの意味もある。名前の由来は分かっていない。
  • mildB1
    形容詞(気候が)穏やかな、暖かいIt's pretty mild for November. a mild winter「暖冬」。カレーの mild(辛くない)と同じ語。
  • lunar calendarB2
    名詞太陰暦(旧暦)Some holidays still follow the lunar calendar. lunar は「月の」。solar calendar は「太陽暦」。日本の旧暦は、正確には月と太陽の両方を使う「太陰太陽暦」(lunisolar calendar)。
  • misunderstandB1
    動詞誤解するSorry, I misunderstood your question. mis-(誤って)+understand。過去形は misunderstood。
  • respondentC1
    名詞(調査の)回答者About half of the respondents chose the winter meaning. respond(答える)+-ent(人)。調査の英文でよく出る。
  • spellB2
    名詞(天気などが続く)ひと続きの期間We had a cold spell last week. a dry spell「日照り続き」。「つづる」の spell とは別の語。
  • surveyB1
    名詞(アンケートなどの)調査The survey asked people to choose between two meanings. carry out a survey「調査を行う」。動詞では「見渡す」。
「小春日和」は春の言葉ではなく、冬の季語。旧暦10月(いまの11月〜12月上旬ごろ)の暖かい晴れの日のこと。なのに文化庁の調査では、16〜19歳の66.1%が「春先の天気」と答えていた。英語の Indian summer も秋の言葉。

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出典・参考文献(5件)タップで表示
  1. 文化庁 (2015) 平成26年度「国語に関する世論調査」の結果の概要bunka.go.jp
  2. 文化庁 (2015) 平成26年度「国語に関する世論調査」報告書(図15・Q24集計表)bunka.go.jp
  3. デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典・日本大百科全書(ニッポニカ)・ブリタニカ国際大百科事典「小春日和」(コトバンク掲載)kotobank.jp
  4. 精選版 日本国語大辞典・デジタル大辞泉「小春」(小学館、コトバンク掲載)kotobank.jp
  5. Oxford Advanced Learner's Dictionary, "Indian summer"(Oxford University Press)oxfordlearnersdictionaries.com

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