ネコの4割は「とってこい」をする。8千匹分の飼い主アンケートで分かった

ネコ8224匹分の飼い主アンケートで、約41%のネコが投げたおもちゃを持ってきていた。犬は約78%。ネコでは、よく遊ぶ活発なネコほどしやすかった。

No.157 7分で読めるえっ度 論文 2024年
明るい部屋のフローリングの上で、茶トラのネコが小さな毛糸のボールを口にくわえ、こちらに向かって歩いてくる。

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  1. ネコの約41%、犬の約78%が「とってこい」をしていた
  2. ネコでは、よく遊ぶ活発なネコほど「とってこい」をしやすかった
  3. 年をとる・病気がある・犬と暮らすと、ネコも犬もしにくくなった

人に話すなら

ネコって、投げたおもちゃを持ってくる「とってこい」をするんだって。8千匹以上のアンケートで、4割くらいのネコがしてたらしいよ。しかも教えてないのに始めることが多いんだって。

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投げたおもちゃを持ってくる「とってこい」をするネコは、ほとんどいない

ボールを投げると、走って取りに行き、口にくわえて戻ってくる。「とってこい」は、犬の遊びの代表です。ネコを飼っている人の中には、「うちの子もやる」と言う人がいます。でも、それは珍しいネコなのでしょうか。

アメリカの研究チームが、ネコ8224匹分の飼い主アンケートを調べました。すると、約41%のネコが「とってこい」をしていました。犬では、7万3724匹分のうち約78%でした。

以前、動物病院の待合室で、ネコができる芸を飼い主に書いてもらった調査がありました。そこで「とってこい」をすると分かったネコは16.5%でした。犬は、人の狩りを手伝う中で、獲物を運ぶ性質が選ばれてきたと考えられています。けれども、ネコにはそうした歴史がはっきりしません。なぜネコが「とってこい」をするのかは、ほとんど調べられてこなかったのです。

01ネコ8224匹と犬7万3724匹の飼い主が答えた

研究をしたのは、アメリカのパデュー大学のミケル・デルガド(Mikel Delgado)さんたちです。使ったのは、ペンシルベニア大学が公開している2つの行動アンケートです。1つはネコ用、もう1つは犬用で、どちらもインターネットで飼い主が答えます。

アンケートには、行動が100個ほど並んでいます。飼い主は、それぞれの行動を「まったくしない」「めったにしない」「ときどきする」「たいていする」「いつもする」の5段階で答えます。ネコ用には「とってこいをする。投げた物やおもちゃを取りに行くのが好き」という質問があります。犬用には「棒やボールなどを取ってこようとする」という質問があります。研究チームは、「ときどき」以上と答えたネコや犬を「とってこいをする」と数えました。

ネコのデータは2015年9月から2023年9月に集まった8224匹分です。半分以上はアメリカの飼い主で、ほかに87の国からの回答がありました。いちばん多い入手先は保護施設で、約3分の1でした。ネコの平均年齢は5.5歳で、半分以上は完全に室内で飼われていました。

02ネコの41%がおもちゃを持ってきた

ネコの「とってこい」は、ほかの遊び方と強く結びついていました。最もつながりが強かったのは、「おもちゃを持ってきて、人を遊びにさそう」という行動でした。次が「小さな物をくわえて運ぶ」という行動です。走り回る、空中にジャンプするといった、活発さの項目ともつながっていました。

一方で、狩りの行動とのつながりは弱いものでした。人とのつきあいを好むかどうかとも、ほとんど関係がありませんでした。研究チームは、ネコの「とってこい」は狩りよりも遊びに近い行動だと考えています。

ネコの種類による違いもありました。シャム、バーミーズ、トンキニーズ、ベンガルは、ほかより「とってこい」をしやすいネコでした。長毛の雑種は、しにくい傾向がありました。

部屋の中で、人の手が小さなおもちゃを投げている。ネコがそれを追って走り、別の場面でおもちゃをくわえて人の足もとに置いている。人は手元だけが見える。

03年をとる・病気・犬との同居で、ネコも犬もしにくくなった

どんなネコが「とってこい」をしやすいかも調べました。完全に室内で飼われているネコは、しやすい傾向がありました。外に出られるネコは、外で走り回ったり狩りをしたりできるからかもしれません。

反対に、しにくくなる条件もありました。年をとっていること、病気があること、メスであること、そして犬と一緒に暮らしていることです。犬についても、ほぼ同じ結果でした。年をとる、病気がある、メスである、ほかの犬と暮らしている、という条件で「とってこい」が減りました。犬では、去勢や避妊の手術をしていることも、しにくさとつながっていました。

犬と同居するとネコが「とってこい」をしにくくなる理由は、まだ分かりません。犬がおもちゃを追いかけてしまうのかもしれません。飼い主の遊び方が変わるのかもしれません。研究チームは、いくつかの可能性を挙げるにとどめています。

04犬の「とってこい」はしつけやすさの点数と結びついて見えたが、注意もいる

犬で「とってこい」とつながっていたのは、「しつけやすさ」の点数でした。呼ばれたらすぐ戻る、合図に従う、といった項目をまとめた点数です。一方、ネコの「とってこい」は、しつけやすさとのつながりが弱めでした。

ただし、犬用のアンケートでは、「とってこい」の質問そのものが、しつけやすさの項目の1つに入っていました。ほかの1つ1つの項目とのつながりは、犬でも弱いものでした。研究チームは、しつけやすさとのつながりは、ネコでも犬でも同じくらい弱いのかもしれないと書いています。

犬の種類による違いは、はっきりしていました。ラブラドール・レトリバー、ゴールデン・レトリバー、ボーダー・コリーなどは、よく「とってこい」をしました。シベリアン・ハスキー、チワワ、グレーハウンドなどは、あまりしませんでした。顔の短い犬種や、ネコのペルシャは、物を運んだり取ってきたりしにくい傾向でした。

ネコが「とってこい」を覚える方法については、別の調査があります。イギリスのサセックス大学のジェマ・フォーマン(Jemma Forman)さんたちは、「とってこい」をするネコ1154匹の飼い主924人に答えてもらいました。94.4%のネコは、教えられないまま自分で始めていました。遊びを始めるのは、飼い主よりネコのほうが多く、終わらせるのもネコが多かったのです。

DEEP DIVE

もっと深く

なぜそうなったのか。研究の歴史と、まだ決着していない議論まで。

「とってこい」は狩りの一部から生まれたのかもしれない

肉を食べる動物の狩りは、いくつかの動きのつながりでできています。獲物を見つける、じっと見る、忍び寄る、追いかける、かみついてつかまえる、とどめを刺す、という流れです。犬の研究者の中には、こう考える人がいます。レトリバーのような犬種では、「つかまえて口にくわえる」までが強く、とどめを刺す動きが弱くなった。そのため、くわえたまま持ち帰る行動が残ったのではないか、という考えです。ネコも、しとめた獲物を別の場所へ運ぶことがあります。論文は、ネコにも犬にも「とってこい」のもとになる動きがそなわっていると考えています。

研究者が挙げた4つの説明

論文は、ネコと犬が「とってこい」をする理由として、4つの説明を挙げています。1つ目は、物を使った遊びの一種だという説明です。2つ目は、人に飼われる歴史の中で選ばれてきたという説明です。3つ目は、人と一緒にする遊びだという説明です。4つ目は、ほめられたり遊んでもらえたりして身についたという説明です。研究チームは、4つのうちどれか1つだけが正しいとはかぎらない、と書いています。

2つ目の説明には、手がかりになりそうな事実があります。シャム、バーミーズ、トンキニーズは、どれもアジアの東の地域にルーツを持つネコです。この地域のネコは、ほかの地域から長く切り離されていたため、遺伝的に違いがあると考えられています。論文は、昔のエジプトの墓の壁画にも触れています。紀元前1450年ごろの絵に、鳥を狩る人にネコがついて行く姿がかかれているのです。ネコが獲物を取ってくる役目をしていた可能性もある、と論文は書いています。ただし、これは今のところ想像の段階です。

オオカミの子も、ボールを取ってきた

犬の「とってこい」は、人が犬を飼い始めてから生まれたのでしょうか。スウェーデンのストックホルム大学の研究チームは、人に育てられたオオカミの子13頭を、生後8週間で調べました。初めて会う人がテニスボールを投げ、取ってくるように声をかけます。すると3頭が、少なくとも2回、ボールを人のところまで持ってきました。一方で、8頭はボールにまったく興味を示しませんでした。持ってくる性質は、犬になる前のオオカミの中にも、ばらつきとしてあったのかもしれません。

アンケート研究の限界

この研究は、自分から答えた飼い主のデータです。すべての飼いネコを代表しているとはかぎりません。ネコ用と犬用のアンケートは質問が違うので、まったく同じ形で比べることもできませんでした。また、年齢や性別の影響は、はっきりあったものの、大きさとしては小さめでした。

05まとめ

ネコ8224匹分と犬7万3724匹分の飼い主アンケートを調べると、「とってこい」をするのはネコの約41%、犬の約78%でした。ネコでは、よく遊ぶ活発なネコほどしやすく、年をとる・病気がある・犬と暮らすと減りました。

ネコがなぜ「とってこい」をするのかは、まだはっきりしません。ただ、多くのネコは教えられないまま始め、自分から遊びをさそっていました。ネコが小さなおもちゃをくわえて足もとに置いたら、一度投げてみてください。

RESEARCH FILE

研究カルテ

アメリカ・インディアナ州

研究チーム
アメリカのパデュー大学とペンシルベニア大学のチーム(第一著者ミケル・デルガド)
調べた場所
インターネットのアンケート。ネコは88か国の飼い主、犬は151か国の飼い主が答えた
調べた動物
飼いネコ(学名 Felis catus)8224匹と飼い犬7万3724匹
調べ方
行動のアンケートで「とってこい」をどれくらいするかを答えてもらい、年齢や性別などとの関係を調べた
分かったこと
ネコの約41%、犬の約78%がした。ネコでは遊び好きで活発なほど多かった
まだ分からないこと
なぜネコが「とってこい」をするのか。始まりのきっかけは何なのか
論文
PLOS ONE(2024年)
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Many Cats Play Fetch

Many people think fetch is a game for dogs. You throw a ball, and the dog brings it back. But do cats play fetch too?

Scientists in the United States studied answers from cat and dog owners. The owners answered questions about 8,224 cats and 73,724 dogs. The owners lived in many countries around the world. About 41 percent of the cats played fetch. For dogs, it was about 78 percent.

Active cats that liked to play fetched more often. Cats that lived only inside the house also fetched more. Older cats and cats with health problems fetched less. Cats that lived with dogs also fetched less.

Another study found that most fetching cats were never trained. Cats started the game more often than their owners did. Scientists still do not know why cats fetch.

覚えたい単語

英語でクイズ

Q1. About what percent of the cats played fetch?ネコの約何%が「とってこい」をしましたか。

Q2. Which cats fetched less?どんなネコが「とってこい」をあまりしませんでしたか。

Q3. What did another study find about fetching cats?別の研究は、「とってこい」をするネコについて何を見つけましたか。

出典(ウラ取りに使った資料)

  1. 1Delgado, M. M. et al. (2024) Making fetch happen: Prevalence and characteristics of fetching behavior in owned domestic cats (Felis catus) and dogs (Canis familiaris). PLOS ONE 論文確認済みdoi:10.1371/journal.pone.0309068
  2. 2Forman, J. et al. (2023) Fetching felines: a survey of cat owners on the diversity of cat (Felis catus) fetching behaviour. Scientific Reports 論文確認済みdoi:10.1038/s41598-023-47409-w
  3. 3Hansen Wheat, C. & Temrin, H. (2020) Intrinsic Ball Retrieving in Wolf Puppies Suggests Standing Ancestral Variation for Human-Directed Play Behavior. iScience 論文確認済みdoi:10.1016/j.isci.2019.100811

論文は Crossref(論文の公式データベース)で、実在すること・題名・発表年を確認しています。内容は論文や研究機関の発表で確かめています。ウラ取りの方法

こっちも、こっそりすごい