メタ分析・2023年

読む・聞く・聞きながら読むで覚えられる未知語は、およそ1〜2割

Webb, S., Uchihara, T., & Yanagisawa, A. (2023). How effective is second language incidental vocabulary learning? A meta-analysis. Language Teaching, 56(2), 161–180 doi:10.1017/s0261444822000507

語彙聞き読みリスニング

ひとことで言うと:たくさんの研究をまとめると、意味を楽しむ読書や聞く活動で、知らない単語の1〜2割ほどが身につくことがわかった。

対象:24研究・29の効果量、合計2,771名(実験群1,517名・統制群1,254名)

なぜこの研究?

読書や聞く活動の中で自然に単語を覚える「偶発的学習」の研究は多いが、研究によって覚えた量の結果がばらばらで、結局どれくらい覚えられるのかがわかりにくかった。そこで、意味を理解することが目的の活動(読む・聞く・聞きながら読む・映像を見る)で、目標語のどれくらいの割合が身につくのかを、メタ分析で明らかにしようとした。

どうやって調べた?

メタ分析とは、複数の研究結果を統計的にまとめて全体の傾向を出す方法である。この研究では、意味を中心にした英語のインプット(読む、聞く、聞きながら読む、視聴する)を受ける群と、受けない統制群(比較のための群)を比べた24の研究から、29の効果量を集めた。参加者は合計2,771名。直後のテストと、時間をおいた遅延テストで、目標語のうち何%を覚えたかを計算し、学習者の英語力や教材、活動の種類などで結果がどう変わるかも調べた。

何がわかった?

意味を楽しむインプットによる単語学習の効果は、直後・遅延テストのどちらでも大きかった。目標語のうち覚えた割合の平均は、直後で9〜18%、遅延で6〜17%だった。インプットの種類別では、読む(直後17%・遅延15%)、聞く(15%・13%)、聞きながら読む(13%・17%)でほぼ同じくらいだった。これに対して、映像を見る場合は7%・5%と小さかった。覚える量は、学習者の英語力や学年、教材の種類や対象読者、時間をあけた学習かどうか、インプットの形式、研究の方法などによって変わっていた。1〜2割という数字は小さく見えるが、読む量が増えれば出会う未知語の数も増えるので、積み重ねると大きな語彙の伸びになりうる。

  • 意味を楽しむ読書や聞く活動で、単語の学習効果は大きかった
  • 覚えられる割合は、目標語のおよそ1〜2割程度だった
  • 読む・聞く・聞きながら読むの間で、覚える割合はあまり変わらなかった
  • 映像を見る場合は、覚える割合が小さかった

主な数字

  • 24研究・29効果量・合計2,771名
  • 覚えた割合(直後):9〜18%、(遅延):6〜17%
  • 読む 17%・15%、聞く 15%・13%、聞きながら読む 13%・17%(直後・遅延)
  • 映像を見る:7%・5%

読むときの注意(研究の限界)

集められた研究の多くは短い文章を使った実験で、何か月も続ける多読の効果を直接表すものではない。「覚えた」と判定する基準やテストの形式は研究によって違う。また、1〜2割という数字は平均で、学習者の力や教材によって大きく変わる。

多読をする人・教える人へ

1冊読んだだけでは、知らない単語の多くはまだ身につかない。逆に言えば、たくさん読めば読むほど少しずつ確実に増えていく。読む・聞く・聞きながら読むはどれも同じくらい役立つので、気分や場面に合わせて組み合わせ、インプットの量を増やすことが一番大切である。1冊ごとの成果を気にしすぎず、長い期間続けることを優先したい。

今日からできること

  • 「1冊で全部覚える」ではなく「たくさん読んで少しずつ増やす」と考えて量を重ねる
  • 通学中は音声、家では本、と読む・聞くを組み合わせてインプットの時間を増やす

確認方法:Crossref(書誌)+OpenAlexの抄録+本文(オープンアクセス)で確認。数字は論文の抄録・本文で確認できたものだけを載せています。

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