実験・2020年

同じドキュメンタリーを「読む」「聞く」「見る」で、覚える単語の量は変わらなかった

Feng, Y., & Webb, S. (2020). Learning vocabulary through reading, listening, and viewing: Which mode of input is most effective?. Studies in Second Language Acquisition, 42(3), 499–523 doi:10.1017/s0272263119000494

語彙リスニング大学生

ひとことで言うと:同じ内容を文字で読んでも、音で聞いても、映像で見ても、覚える単語の量はほぼ同じだった。

対象:中国の大学生(英語学習者)76名

なぜこの研究?

読書だけでなく、聞くことや動画を見ることでも単語は自然に覚えられると言われる。しかし、同じ内容を文字で読む場合、音声で聞く場合、映像つきで見る場合を、同じ条件でくらべて、どれが単語の学習に最も効果的かを確かめた研究は少なかった。同じ内容を使えば、入り口の違いだけを比べることができる。そこで、1本のドキュメンタリー番組を、読む・聞く・見るの3つの形で与えて比べた。

どうやって調べた?

中国の大学生76名を、ランダムに4つの群に分けた。3つの群には同じテレビのドキュメンタリー番組を、①台本を印刷したものを読む、②音声だけを聞く、③映像つきで見る、という違う形で与えた。4つ目の群は何もしない統制群(比較のための群)とした。事前テスト、直後テスト、1週間後のテストで、目標語の知識をチェックリスト形式と多肢選択形式で測った。同じ内容を使うことで、内容の難しさの違いではなく、インプットの形の違いだけを比べられるようにした。

何がわかった?

読む・聞く・見るのどの形でも、単語の偶発的な学習が起き、1週間後もその知識は保たれていた。一方で、3つの形の間には直後・1週間後とも意味のある差はなく、どれも同じくらいの量の単語学習と記憶につながっていた。また、もともと語彙を多く知っている学習者ほど多く覚えるという関係があったが、番組の中で単語が出てくる回数と学習の量の間には関係が見られなかった。著者らは、英語のテレビ番組も語学学習に使えることを支持する結果だとしている。この研究は、どの入り口からでも単語は学べることを示しており、学習者が好みや場面に合わせてインプットの形を選んでよいことを裏づけている。

  • 読む・聞く・見るのどれでも単語は自然に身につき、1週間後も残っていた
  • 3つの形の間で、覚えた量に意味のある差はなかった
  • もともとの語彙力が高いほど、多く覚えた
  • この研究では、出てくる回数と学習の量の関係は見られなかった

主な数字

  • 参加者:76名を4群にランダムに分ける
  • テスト:事前・直後・1週間後

読むときの注意(研究の限界)

使った素材は1本のドキュメンタリー番組だけで、物語の本を何冊も読む多読とは条件が違う。1週間後までしか調べておらず、長期的な記憶はわからない。各群の人数は20名前後と多くない。また、単語のテストは見てわかるかどうかを測るもので、使えるかどうかは測っていない。

多読をする人・教える人へ

単語を増やすためのインプットは、本を読むことだけに限らない。音声や映像も同じくらい役立つので、読む・聞く・見るを組み合わせてインプットの総量を増やすのがよい。ただし、もともとの語彙力が学習を助けるので、レベルに合った素材を選ぶことが大切である。多読が続かないときに、聞く・見るに切りかえても学びは止まらない。

今日からできること

  • 読書に疲れた日は、字幕つきの易しい英語の動画やドキュメンタリーでインプットを続ける
  • 授業では、同じテーマの文章・音声・映像を組み合わせて、単語に違う形で何度も出会わせる

確認方法:Crossref(書誌)+OpenAlexの抄録で確認。数字は論文の抄録・本文で確認できたものだけを載せています。

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