実験・2013年

Graded Readerを聞きながら読むと、決まった言い回し(コロケーション)も自然に身につく

Webb, S., Newton, J., & Chang, A. (2013). Incidental Learning of Collocation. Language Learning, 63(1), 91–120 doi:10.1111/j.1467-9922.2012.00729.x

語彙聞き読みGraded Readers大学生

ひとことで言うと:物語を聞きながら読むと、「単語と単語の決まった組み合わせ」も覚えられ、15回出会うとかなり身についた。

対象:台湾の大学生(英語学習者)

なぜこの研究?

英語には make a decision のように、よく一緒に使われる単語の組み合わせ(コロケーション)がたくさんあり、自然な英語を使うには欠かせない。単語1語1語が読書で身につくことはわかってきたが、こうした組み合わせも読書の中で自然に覚えられるのか、何回出会えばよいのかは、あまり調べられていなかった。

どうやって調べた?

台湾の大学生が、Graded Readerを書きかえた4つのバージョンのうち1つを、音声を聞きながら読んだ。4つのバージョンでは、18個の目標コロケーションに出会う回数が1回・5回・10回・15回と違っていた。読んだあと、予告なしの単語テストを行った。テストは、コロケーションの形を見てわかるか、自分で書けるか、形と意味を結びつけられるかなど、4種類の知識を測るものだった。出会う回数だけが違う4つのバージョンを用意することで、回数の効果だけを取り出して比べられるようにしている。

何がわかった?

Graded Readerを聞きながら読むだけで、コロケーションは偶発的に(意図して覚えようとしなくても)学ばれていた。また、出会う回数が多いほど学習量は多くなり、回数には明らかなプラスの効果があった。著者らは、Graded Readerの中で同じコロケーションに15回出会えば、かなり大きな学習が起こりうると述べている。この研究は、偶発的学習の対象を単語1語から「語と語の組み合わせ」にまで広げた点で重要である。自然な英語を使うには、個々の単語だけでなく、こうした組み合わせの知識が欠かせない。多読や聞き読みで同じ言い回しにくり返し出会うことは、そうした知識を育てる道の一つになると考えられる。

  • 聞きながら読むことで、コロケーションも自然に身についた
  • 出会う回数(1・5・10・15回)が多いほど、学習量が増えた
  • 15回出会うと、かなり大きな学習が見られた

主な数字

  • 目標コロケーション:18個
  • 出会う回数の条件:1回・5回・10回・15回

読むときの注意(研究の限界)

抄録で確認できる範囲では、参加者の人数や具体的な正答率は確かめていない。Graded Readerは目標のコロケーションが何度も出るように書きかえたもので、ふつうの本でここまで同じ組み合わせが出てくるとは限らない。読んだ直後のテストで、長期的な定着は別に確かめる必要がある。

多読をする人・教える人へ

多読・聞き読みは、単語だけでなく「よく一緒に使われる言い回し」を身につける場にもなる。自然な英語の表現を増やしたいなら、同じような言い回しが何度も出てくる易しい本をたくさん、音声も使って読むとよい。気づいた言い回しを書き留めておくのも効果的である。とくに15回という目安は、同じ言い回しが何度も出てくるシリーズものの本を読む価値を示している。

今日からできること

  • 聞き読みをしながら、何度も出てくる「単語の組み合わせ」に気づいたらメモする
  • 授業では、読んだ本からよく出る言い回しを集め、それを使って短い文を作る活動を加える

確認方法:Crossref(書誌)+OpenAlexの抄録で確認。数字は論文の抄録・本文で確認できたものだけを載せています。

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