音声つきの「繰り返し読み」は、多読と同じくらい読む速さを伸ばす
Taguchi, E., Takayasu-Maass, M., & Gorsuch, G. J. (2004). Developing reading fluency in EFL: How assisted repeated reading and extensive reading affect fluency development. Reading in a Foreign Language, 16(2), 70–96 doi:10.64152/10125/66783
ひとことで言うと:同じ文章を、音声を聞きながら何度も読む練習は、多読と同じくらい黙読のスピードを上げた。
対象:日本の大学生20名(繰り返し読み群10名・多読群10名)、17週間
なぜこの研究?
英文をすらすら読むには、単語や語句を一瞬で正確に見分ける「流暢さ(フルーエンシー)」が欠かせない。多読はその流暢さを育てると言われてきたが、もう一つの方法として、同じ文章を何回も読む「繰り返し読み(RR)」がある。とくに、音声のお手本を聞きながら読む「音声つき(アシスト付き)RR」が外国語として英語を学ぶ人にも効くのか、多読と比べるとどうなのかは、まだよくわかっていなかった。
どうやって調べた?
29名のクラスから、TOEFLの点数がそろうように20名を選び、10名ずつ2つの群に分けた。RR群は音声テープ付きのGraded Readers 2冊を334〜608語ずつに区切り、42回のセッションで「前回の部分を読み直す→新しい部分を時間を計って黙読→テープを聞きながら2回読む→さらに2回黙読して時間を計る→内容について書く」という手順をくり返した。多読群は同じ時間、83冊のGraded Readersから好きな本を易しいものから選び、授業中に読んだ。期間は17週間で、授業時間の3分の1〜半分を使った。前後のテストでは、初めて読む文章を5回続けて読ませて、1分あたりに読める語数(WPM)と内容理解の点数を測り、学習者の感想も集めた。
何がわかった?
RR群では、各セッションで新しい部分を最初に読むときの速さが回を追うごとに上がり、最初の4回の平均(約84語/分)と最後の4回の平均(約107語/分)を比べると約23語/分速くなっていた。この伸びは統計的に意味のある差(偶然では説明しにくい差)だった。一方、事後テストでRR群と多読群を比べると、読む速さにも内容理解にも意味のある差はなく、「音声つきRRは多読と同じくらい効果がある」という結果になった。両群とも、同じ文章を読み返すたびに理解の点数が上がった。感想では、RR群の学習者は音声を聞くことと繰り返すことが理解を助けたと感じていた。著者らは、音声つきRRは読むのが苦手な学習者にとっての「足場」になり、自分で読める読み手に育てる方法になりうると述べている。
- 音声つきの繰り返し読みは、多読と同じくらい黙読の速さを伸ばした
- RR群は、セッションを重ねるにつれて初見の部分を読む速さが少しずつ上がった
- 事後テストの読む速さ・理解度では、RR群と多読群の間に意味のある差はなかった
- 学習者は「音声を聞く」「何度も読む」ことが理解の助けになったと感じていた
主な数字
- 参加者:20名(各群10名)、17週間・42セッション
- RR群の初見部分の読む速さ:最初の4回 平均約84語/分 → 最後の4回 平均約107語/分(約23語/分アップ)
- 多読群の本棚:Graded Readers 83冊
読むときの注意(研究の限界)
1群10名ととても少人数で、結果がほかの学習者にもあてはまるかは慎重に考える必要がある。RR群の伸びは同じ本の続きを読むセッションの中で測ったもので、まったく別の文章への伸び(転移)は、多読群との差としてははっきり示されていない。また、ほかの英語授業の影響も取り除けていない。
多読をする人・教える人へ
多読がなかなか進まない人や、まだ読むのが遅い初級者には、音声つきの本で「聞きながら読む→黙読で読み直す」をくり返す方法が、多読の代わり・入口として使える。どちらも読む速さを伸ばすので、多読と組み合わせて、気分や時間に合わせて使い分けるとよい。教える側にとっては、全員が同じ本を使えるRRは授業で管理しやすく、多読の本がまだ十分にそろっていない学校でも始めやすい方法と言える。
今日からできること
- 音声つきのGraded Readersを1ページ分選び、時間を計って黙読→音声を聞きながら2回読む→もう一度黙読して時間を比べてみる
- 授業では、1回10分ほどの「音声つき繰り返し読み」を帯活動にし、読む時間の記録表をつけさせると伸びが見える
確認方法:Crossref(書誌)+OpenAlexの抄録+本文(オープンアクセス)で確認。数字は論文の抄録・本文で確認できたものだけを載せています。
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