実験・2012年

時間を計って速読する練習と、音読の繰り返しでは、速読練習のほうが読む速さを伸ばした

Chang, A. C.-S. (2012). Improving reading rate activities for EFL students: Timed reading and repeated oral reading. Reading in a Foreign Language, 24(1), 56–83 doi:10.64152/10125/66667

読む速さ教室での実践

ひとことで言うと:時間を計ってたくさん速読した人は約5割速くなり、音読をくり返した人も約3割速くなった。

対象:台湾の社会人学生35名(22〜48歳、タイムド・リーディング群18名・音読の繰り返し群17名)、13週間

なぜこの研究?

外国語の学習者は、長い文章を時間内に読み切れないことが大きな悩みになる。読む速さを上げる授業活動として、時間を計って文章を読む「タイムド・リーディング(TR)」と、同じ文章を声に出して何度も読む「音読の繰り返し(RR)」がよく使われるが、どちらがどれだけ効くのか、効果が長続きするのかを比べた研究は少なかった。

どうやって調べた?

台湾の大学の社会人向けクラス2つ(週1回60分)を、TR群18名とRR群17名に分けた。どちらも語彙の易しい速読用教材(Reading for Speed and Fluency)を使い、13週間でTR群は52本、RR群は26本の文章を読んだ。TR群は時間を計って黙読し、内容問題に答えた。RR群は文章を声に出してくり返し読んだ。読む速さ(1分あたりの語数)と内容理解を、練習前・直後・練習をやめて6週間後の3回測り、学習者の感想も集めた。

何がわかった?

TR群は読む速さが平均50語/分(約49%)上がり、RR群は23語/分(約27%)上がった。どちらも練習前より速くなったが、TR群の伸びのほうがはっきり大きかった。練習をやめて6週間後も、伸びはわずかに下がっただけ(TR群5語/分、RR群4語/分)で、ほとんど保たれていた。内容理解は、TR群が53%→67%→63%と上がり、RR群は53%→60%→53%で意味のある変化はなかった。つまり、読む量を増やしたTR群は速さも理解も伸び、RR群も速くなったことで理解が下がることはなかった。感想では、TR群は「速く読めるようになった」「要点をつかむのが早くなった」と感じ、RR群は「音読がなめらかになった」「発音がよくなった」と感じていた。

  • 時間を計る速読練習(TR)で、読む速さが約49%上がった
  • 音読の繰り返し(RR)でも約27%上がったが、TRより伸びは小さかった
  • 練習をやめて6週間後も、速さの伸びはほとんど残っていた
  • 内容理解はTR群で上がり、RR群では変わらなかった(下がりもしなかった)

主な数字

  • TR群:+50語/分(約49%)、52本の文章を読む
  • RR群:+23語/分(約27%)、26本の文章を読む
  • 6週間後の下がり幅:TR群5語/分、RR群4語/分
  • 理解度(前→直後→6週後):TR群 53%→67%→63%、RR群 53%→60%→53%

読むときの注意(研究の限界)

各群20名弱の小さな研究で、参加者は台湾の社会人学生に限られる。TR群はRR群の2倍の数の文章を読んでいるため、「方法の違い」と「読んだ量の違い」を分けて考えることはできない。速さを測った文章は練習用教材と同じタイプで、ふだんの本を読む速さにどれだけつながるかは別に確かめる必要がある。

多読をする人・教える人へ

読む速さを上げたいなら、易しい文章を時間を計ってたくさん読む練習が効率的である。多読と同じく「易しい英語を量多く」が鍵だと言える。音読の繰り返しは発音やなめらかさの面で役立つが、黙読の速さを上げる目的なら、TRを中心に置くほうがよい。また、伸びは練習をやめても6週間ほとんど残っていたので、学期の一時期に集中して速読練習を行い、その後は多読で速さを使い続ける、という組み立ても考えられる。

今日からできること

  • 易しい400語程度の文章を、ストップウォッチで時間を計って読み、語数÷分で速さをグラフにする
  • 授業では、週に数本の速読用文章を帯活動にし、理解問題で7割以上取れているか確認しながら進める

確認方法:Crossref(書誌)+OpenAlexの抄録+本文(オープンアクセス)で確認。数字は論文の抄録・本文で確認できたものだけを載せています。

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