実験・2013年

同じ文章を5回読む練習で、初見の文章も速く・よくわかるようになった

Chang, A. C.-S., & Millett, S. (2013). Improving reading rates and comprehension through timed repeated reading. Reading in a Foreign Language, 25(2), 126–148 doi:10.64152/10125/66864

読む速さ読解教室での実践

ひとことで言うと:時間を計りながら同じ文章を5回読む練習をすると、初めて読む文章でも速く読め、理解も上がった。

対象:台湾の英語学習者26名(繰り返し読み群13名・比較群13名)、13週間

なぜこの研究?

同じ文章を何度も読む「繰り返し読み」は読む速さを上げると言われるが、練習した文章だけが速くなるのか、初めて読む文章にも効果が移る(転移する)のかははっきりしていなかった。また、速く読めるようになった代わりに理解が落ちないかも気になる点だった。そこで、時間を計りながら読む繰り返し読みの効果を、速さと理解の両方で調べた。

どうやって調べた?

13名の繰り返し読み群は、13週間で26本の文章を、1本につき5回ずつ時間を計って読み、1回目と5回目のあとに内容問題に答えた。比較群13名は同じ26本を1回ずつだけ読み、内容問題にも1回だけ答えた。練習の前後で、練習した文章2本と、練習していない文章(Graded Readersの短い物語)1本を読ませ、読む速さ(1分あたりの語数)と理解度を測った。5回読む群が、毎回の時間を記録して「前の回より速く」を意識できるようにした点が、この研究の練習の特徴である。

何がわかった?

繰り返し読み群は、練習した文章で47語/分、練習していない文章でも45語/分速くなった。比較群の伸びは13語/分と7語/分にとどまった。練習前は2群の速さはほぼ同じだったが、練習後は繰り返し読み群のほうが30〜36語/分速く読めた。理解度も、繰り返し読み群は練習した文章で19%、練習していない文章で17%上がったのに対し、比較群は5%と3%の伸びだった。つまり、繰り返し読みで身についた速さと理解は、初めて読む文章にも移っていた。著者らは、これまでの研究より大きな伸びが出た理由として、毎回時間を計ったことや、易しい文章を使ったことなどを挙げている。

  • 同じ文章を5回読む練習で、練習していない文章も約45語/分速く読めるようになった
  • 1回ずつ読むだけの比較群より、速さも理解もはるかに伸びた
  • 速くなっても理解は下がらず、むしろ上がった
  • 練習の効果は初見の文章にも移った(転移した)

主な数字

  • 参加者:各群13名、13週間で26本の文章
  • 繰り返し読み群:練習した文章 +47語/分、練習していない文章 +45語/分
  • 比較群:+13語/分、+7語/分
  • 理解度の伸び:繰り返し読み群 19%・17%、比較群 5%・3%

読むときの注意(研究の限界)

各群13名と少人数で、参加者も1つの環境の学習者に限られる。繰り返し読み群は5倍の回数を読んでいるため、「くり返したこと」と「読んだ総量が多いこと」のどちらが効いたのかは区別できない。効果が長く続くかどうかは、この研究では測っていない。

多読をする人・教える人へ

多読だけでなかなか速くならない人には、短く易しい文章を時間を計って何回か読み直す練習が近道になる。同じ文章でも、毎回時間を記録して「前より速く」を意識することで、初めての本を読むときの速さにもつながる。理解を確かめながら行うのがポイント。教室では、文章を配って時間を計るだけで始められ、特別な機材もいらない。多読の時間の一部をこうした練習に使うことで、速さの伸びを実感させ、やる気につなげることもできる。

今日からできること

  • 読み終えたGraded Readersの1章を、ストップウォッチで時間を計って3〜5回読み直し、毎回の時間を記録する
  • 授業では、短い文章の「5回読み」をペアで計時し合い、1回目と5回目の速さの差を実感させる

確認方法:Crossref(書誌)+OpenAlexの抄録+本文(オープンアクセス)で確認。数字は論文の抄録・本文で確認できたものだけを載せています。

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