メタ分析・2025年

73研究の最新メタ分析:多読は読解・語彙だけでなく、書く力・話す力にも小〜中程度の効果

Sangers, N. L., van der Sande, L., Welie, C., Dobber, M., & van Steensel, R. (2025). Learning a Language Through Reading: A Meta-analysis of Studies on the Effects of Extensive Reading on Second and Foreign Language Learning. Educational Psychology Review, 37(4), Article 96 doi:10.1007/s10648-025-10068-6

読解ライティングスピーキング教室での実践

ひとことで言うと:最新のまとめでは、多読は読解・語彙・書く力・話す力などすべての面にプラスの効果があった。

対象:第二言語・外国語学習者を対象とした多読の効果研究73本(82の介入)。大学生が中心(46介入)、小学生7介入・中高生19介入

なぜこの研究?

多読が第二言語・外国語の学習に役立つことは多くの研究で示されてきたが、多読のどの要素が効果を生んでいるのかははっきりしていなかった。実際の多読プログラムは、本を自由に選ばせるか、読んだ確認(アカウンタビリティ)をするか、報酬を与えるかなど、やり方がさまざまだ。この研究は、多読の効果を言語のいろいろな面について改めて評価し、どのような要素や追加の工夫が効果を高めるかを調べた。

どうやって調べた?

メタ分析(多くの研究の結果を統計的にまとめる方法)で、多読をした群としなかった群を比べた73の研究(82の介入)を分析した。効果を測った領域は、読解、語彙、文字を読む力・流暢さ、読書の動機づけ、書く力、話す力(聞く・話す・文法をまとめた「口頭能力」)、総合的な言語能力である。さらに、学習者の特徴(学校段階、母語が同じか)、介入の特徴(本の選択の制限、選書の手助け、読んだことの確認、読後の交流、報酬、デジタル教材、家での読書、GRの使用など)、研究の特徴によって効果が変わるかを分析した。

何がわかった?

全体として、多読には小さいが有意なプラスの効果があった(効果量d = 0.41。直後の効果に限るとd = 0.38)。領域別に見ても、読解、語彙、流暢さ、動機づけ、書く力、口頭能力、総合的な言語能力のすべてで小〜中程度の有意な効果が見られた。効果の大きさのばらつきに関係していたのは、本の選択がある程度制限されていた場合と、何らかの形で読んだことを確認する仕組みがあった場合で、どちらも効果が大きかった。また、学習者の母語がさまざまなグループで効果が大きかった。一方、対象研究の多くは大学生で、小中高生の研究は少なかった。著者らは、多読は第二言語教育で十分に活用されていないとし、その利用を広げることを勧めている。

  • 多読は、読解・語彙・流暢さ・動機づけ・書く力・口頭能力・総合力のすべてに小〜中程度のプラスの効果があった
  • 本の選択をある程度しぼった場合のほうが、効果が大きかった
  • 読んだことを確認する仕組みがある場合のほうが、効果が大きかった
  • 研究の多くは大学生対象で、子どもや中高生、長期的な効果の研究はまだ少ない

主な数字

  • 対象:73研究・82介入(介入数の内訳:大学46、中等教育19、初等教育7)
  • 全体の効果量:d = 0.41(直後の効果に限ると d = 0.38)
  • 領域別の効果量:語彙 0.50、口頭能力 0.42、流暢さ 0.38、動機づけ 0.34、読解 0.31、書く力 0.31、総合的な言語能力 0.53
  • 母語がさまざまなグループ d = 1.03、母語が同じグループ d = 0.33

読むときの注意(研究の限界)

対象研究の多くはアジアで行われた外国語としての英語の研究で、大学生が中心だった。研究の質の指標は平均して中くらいで、多くの研究が「多読が計画どおり実施されたか」を報告していなかった。書く力・口頭能力の研究数はそれぞれ十数本と少なく、その結果は今後の研究で変わる可能性がある。

多読をする人・教える人へ

多読の効果は読む力だけにとどまらず、書く力や話す力にまで及ぶことが、最新の大規模なまとめで確かめられた。また「完全に自由に読ませる」より、レベルに合った本をある程度しぼって示し、読んだことを確認する仕組み(記録やクイズなど)を入れたほうが効果が大きかった。授業で多読を行うときは、自由さと仕組みのバランスを考えるとよい。

今日からできること

  • 自分のレベルに合う本の棚(レベル)を決めて、その中から自由に選んで読む
  • 授業では読書記録や簡単なクイズなど、読んだことを確認する軽い仕組みを入れる

確認方法:Crossref(書誌)+OpenAlexの抄録+本文(Springer、オープンアクセス)で確認。数字は論文の抄録・本文で確認できたものだけを載せています。

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