実験・1999年

読書中に未知語に6回出会うと、2回・4回より明らかに多く覚えた

Rott, S. (1999). The effect of exposure frequency on intermediate language learners' incidental vocabulary acquisition and retention through reading. Studies in Second Language Acquisition, 21(4), 589–619 doi:10.1017/s0272263199004039

語彙

ひとことで言うと:読みながら知らない単語に2回出会うだけでも少し覚え、6回出会うとぐっと多く覚えた。

対象:中級の外国語学習者(大学レベル)

なぜこの研究?

読書は語彙を増やす大事な入り口だと考えられているが、中級の学習者が読書の中で未知語を自然に覚え、それを忘れずにいられるのか、そして未知語に何回出会うかが学習にどう影響するのかは、まだはっきりしていなかった。そこで、文章の中で同じ未知語に出会う回数を変えて、覚える量と記憶の残り方を調べた。出会う回数の目安は、どれだけ読めばよいかを考える手がかりになる。

どうやって調べた?

中級の学習者に、知らない単語が2回、4回、または6回出てくる文章を読ませた。読書のあと、単語の意味を見てわかるか(受容的な知識)と、自分で思い出して使えるか(産出的な知識)の両方をテストし、さらに4週間後にも同じようにテストして、どれだけ記憶が残っているかを調べた。受容的な知識(見て意味がわかる)と産出的な知識(自分で思い出して使える)を分けて測ることで、読書で身につく知識の「深さ」の違いを見ようとした。また、直後だけでなく4週間後にもテストすることで、覚えた単語がどれくらい忘れられずに残るかも確かめた。

何がわかった?

未知語にたった2回出会うだけでも、語彙の知識は統計的にはっきり伸びた。2回と4回では伸びはあまり変わらなかったが、6回出会った場合はそれより明らかに多くの知識が身についた。4週間後の記憶では結果が分かれた。自分で思い出す(産出的な)知識は、半数のグループでしか十分に残っていなかったが、見てわかる(受容的な)知識は、1つのグループを除くすべてのグループで4週間後も保たれていた。この結果から、読書で単語を覚えるときは、出会う回数が増えるにつれて少しずつ知識が積み上がり、ある程度の回数を超えると大きく伸びると考えられる。また、見てわかる知識は残りやすい一方、自分で使える知識は読書だけでは定着しにくいことも示された。

  • 未知語に2回出会うだけでも、語彙は少し伸びた
  • 2回と4回の差は小さく、6回出会うと明らかに多く覚えた
  • 見てわかる知識は4週間後もほとんどのグループで残っていた
  • 自分で思い出して使える知識は、残りにくかった

主な数字

  • 出会う回数の条件:2回・4回・6回
  • 記憶の確認:4週間後

読むときの注意(研究の限界)

抄録で確認できる範囲では、参加者の人数・学んでいた言語・文章の長さなどの詳細は確かめられなかった。出会う回数は最大6回までで、それ以上の回数での変化はわからない。短い文章を使った実験で、本を何冊も読む多読そのものとは条件が違う。

多読をする人・教える人へ

読書で単語を覚えるには、1〜2回の出会いでは足りず、何回も出会うことで知識が一段と深まる。とくに、自分で使える知識は読書だけでは残りにくいので、多読で「見てわかる語」を増やしつつ、話す・書く活動や単語学習で使える語に育てていくとよい。多読で身につく知識は、まず「見てわかる」段階から育つと考えておくとよい。

今日からできること

  • 同じシリーズや同じレベルの本を続けて読み、同じ語に何度も出会うようにする
  • 読書で覚えた語を、読書記録や感想文の中で自分でも使ってみる

確認方法:Crossref(書誌)+OpenAlexの抄録で確認。数字は論文の抄録・本文で確認できたものだけを載せています。

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