レビュー・2024年

教室での多読の最新研究レビュー:放っておいても自立した読み手にはならない

Robb, T. N., & Ewert, D. (2024). Classroom-based extensive reading: a review of recent research. Language Teaching, 57(3), 295–324 doi:10.1017/s0261444823000319

教室での実践動機づけ語彙読む速さ

ひとことで言うと:教室での多読研究をまとめると、先生の手厚い支えや工夫がなければ、生徒は自分から読む読み手にはなりにくい。

対象:教室で行われた多読についての近年の研究のレビュー(多くは実験群・対照群を置かない教室ベースの研究)

なぜこの研究?

多読を早くから取り入れた人たちは、生徒がすぐに自分から楽しんで読む「自立した読み手」になると期待していた。しかし実際の教室では、成績のために勉強する生徒や英語を読むのが苦手な生徒も多い。この論文は、教室で行われた多読の近年の研究をまとめ、教室という現実の中で多読がどのように機能し、どんな支援が必要かを整理した。

どうやって調べた?

新しい実験ではなく、教室ベースの多読に関する近年の研究を調査したレビュー論文である。対象となった研究の多くは、厳密な実験ではなく教室で行われた研究だった。論文は、多読と動機づけ・態度、多読と語彙、多読と読む速さ(流暢さ)の各テーマに分けて研究を整理し、さらに「取り組んだ時間(time on task)」と読みのいろいろな下位技能の伸びとの関係についても考察している。各節の最後には、取り上げた研究を表にまとめ、今後の研究課題を示している。

何がわかった?

レビューした研究は、多読が動機づけ、語彙、読む流暢さを伸ばすという、これまでの研究の結論を確認していた。その一方で、教室の現実では、教師がかなりの手引きや、段階的に読書へつなげる活動を用意しない限り、生徒が教室の内外で自分から多読をする段階にはなかなか到達しないことも示されていた。研究は、教室でしか英語に向き合わない生徒や成績を重視する生徒を支えるさまざまな方法を示している。また論文は、学校で多読を実施するときの多くの障害についても検討している。多読の理想と教室の現実の間をどう埋めるかに焦点を当てたレビューである。

  • 多読が動機づけ、語彙、読む流暢さを伸ばすことが、近年の研究でも確認された
  • 教師の手引きや段階的な支援がないと、生徒は自立した読み手になりにくい
  • 成績重視の生徒や読書に消極的な生徒を支える、さまざまな教室での工夫が報告されている
  • 学校で多読を実施するうえでの障害も多いことが整理された

読むときの注意(研究の限界)

レビュー論文で、効果の大きさを数値で統合したメタ分析ではない。また取り上げた研究の多くは実験群・対照群を置かない教室ベースの研究で、因果関係を強く主張するには限界がある。どの研究を取り上げるかには著者の判断が入る。

多読をする人・教える人へ

「本を置いて自由に読ませれば、生徒は自然に読書好きになる」という期待は、教室では必ずしも当たらない。最初は先生が本の選び方を教え、読む時間を授業内で確保し、読書記録やクイズ、紹介活動などで少しずつ自立へ導くことが大切だ。自習する人も、最初は仕組み(記録・目標・仲間)を使って読む習慣をつくるとよい。多読を自然に任せず、計画的に育てることが大切だ。

今日からできること

  • 1人で続かないときは、読書記録アプリや多読仲間など「続ける仕組み」を使う
  • 授業では最初の数か月は授業内で読む時間を確保し、少しずつ授業外の読書へ移していく

確認方法:Crossref(書誌)+OpenAlexの抄録で確認。数字は論文の抄録・本文で確認できたものだけを載せています。

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