レビュー・2015年

多読に「読後クイズ」はダメなのか?MReaderの開発者が反論

Robb, T. (2015). Quizzes—A Sin against the Sixth Commandment? In Defense of MReader. Reading in a Foreign Language, 27(1), 146–151 doi:10.64152/10125/66706

教室での実践動機づけGraded Readers

ひとことで言うと:読んだ本の簡単なクイズは、多読の楽しさを壊すどころか、読む量を増やし、レベル選びを助けると主張した。

対象:多読クイズシステムMReaderの利用と、関連研究・学習者の声に基づく論考

なぜこの研究?

Day & Bamford の「多読の10原則」の6番目は「読書はそれ自体が報酬である」で、多読の後に理解度の問題を課さないことを勧めている。この原則がほとんど絶対的なルールのように受け取られ、本の内容についてのクイズを使う「MReader」のような仕組みは多読の精神に反する、と批判されることがあった。MReaderの開発者である著者は、クイズの利点と、むしろ原則を守る助けになる場面があることを示そうとした。

どうやって調べた?

新しい実験ではなく、MReaderの仕組みの説明と、関連する研究や学習者の声をもとにした論考である。MReaderは、学習者が読んだGRなどの本について短いクイズを受け、合格すると記録が残る仕組みで、教師は生徒全員の読書の進み具合を把握できる。著者は、クイズの設計(やさしい問題で「読んだかどうか」だけを確かめる)、読書への態度に関する先行研究(Stoeckel, Reagan, & Hann, 2012)、学習者のコメント、レベル管理の機能などを取り上げて論じている。

何がわかった?

著者によれば、MReaderのクイズは、10問をランダムに出題し4〜5分で終わる程度のやさしいもので、深い理解ではなく「読んだかどうか」を確かめるためのものだ。合格すると本の表紙が「スタンプ」として集まるなど、ゲームのような要素もある。先行研究では、多読のクイズは読書への態度を悪くしないという結果が出ていた。また、冊数で目標を決めると簡単すぎる本ばかり読み、語数で決めると難しすぎる本を読む学生が出るが、MReaderは語数で進み具合を測りつつ、受けられるクイズのレベルを教師が制限できるので、学生が自分に合ったレベルで読むことを助ける。著者は、クイズの利点は「読後の課題はよくない」という反対意見を上回ると主張している。

  • MReaderのクイズはやさしく短く、「読んだかどうか」の確認が目的である
  • 先行研究では、多読のクイズは読書への態度を悪くしなかった
  • クイズのレベル制限によって、学生が自分に合ったレベルの本を読むよう導ける
  • クイズがなければ目標の読書量に届かなかったという学生の声もある

主な数字

  • クイズ数:4,500以上、利用者:約25か国の約80,000人(執筆時点)
  • 1回のクイズ:10問をランダムに出題、所要時間は約4〜5分、合格の目安は通常60%以上

読むときの注意(研究の限界)

システムの開発者自身による論考で、クイズの効果を実験で検証したものではない。学習者の声は個別の例で、全体の傾向を示すものではない。クイズに合格するための「拾い読み」や不正といった問題については、別の研究も参照する必要がある。

多読をする人・教える人へ

多読の「読後に課題を出さない」という原則は理想だが、多くの生徒がいる学校の授業では、読んだことを確認する軽い仕組みがあったほうが読む量が増えることがある。大切なのは、クイズを難しくして点数を競わせることではなく、やさしい確認で読書の記録と励みにすることだ。最新のメタ分析(Sangers et al., 2025)でも、読んだことを確認する仕組みがある多読のほうが効果が大きかった。

今日からできること

  • 自習ではMReaderなどの無料の読書クイズで、読んだ本の記録を「スタンプ集め」として楽しむ
  • 授業ではクイズの点数を細かく評価せず、合格した本の語数を読書量として認める

確認方法:Crossref(書誌。Crossrefの題名末尾には誤記あり)+本文(RFL、オープンアクセス)で確認。数字は論文の抄録・本文で確認できたものだけを載せています。

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