実験・2016年

作文と文法の授業より、多読を中心にした授業のほうが英作文が伸びた

Park, J. (2016). Integrating reading and writing through extensive reading. ELT Journal, 70(3), 287–295 doi:10.1093/elt/ccv049

ライティング教室での実践

ひとことで言うと:書く練習と文法中心の授業より、多読と読んだ内容を書く活動の授業のほうが、英作文の点が伸びた。

対象:アカデミック英語(EAP)課程の2クラスの第二言語学習者(1学期間)

なぜこの研究?

大学などで必要な英語を学ぶEAP(English for Academic Purposes:学術目的の英語)の授業では、作文の練習と文法の指導を中心にするのが一般的だ。しかし、読むことでインプットを増やすと書く力も伸びるという研究もある。この研究は、EAPの文脈で、多読を中心にした授業が、作文中心の従来型の授業と比べて英作文の力を伸ばせるのかを調べた。

どうやって調べた?

1学期間、2つのクラスを比べた。1つは作文練習と文法指導を中心とする「従来型」の作文クラス。もう1つは、授業の中と外で多読を行い、読んだ内容に関連した作文活動を組み合わせた「多読クラス」である。学期の始めと終わりにエッセイのテストを行い、全体の出来を一つの点数で評価する方法(総合評価)と、内容・構成・語彙・言語使用・表記などの観点ごとに評価する方法(分析的評価)の両方で、作文の伸びを比べた。評価の観点は、作文評価でよく使われる項目にそろえている。

何がわかった?

1学期の後、どちらのクラスも作文の成績が伸びた。しかし、多読によってより多くのインプットに触れた多読クラスのほうが、学期末のエッセイの総合評価で有意に高い点数を取った。観点別の評価でも、多読クラスは従来型のクラスより、内容、構成、語彙、言語使用、表記(つづり・句読点など)の各観点で大きく伸びていた。作文の練習時間を減らして多読に回しても、作文力は落ちるどころか、より伸びたことになる。総合評価と観点別評価の両方で多読クラスが上回った点は、結果の信頼性を高めている。読むことと書くことを一つの流れで扱う授業の有効性を示した研究である。

  • 両クラスとも1学期で作文の成績が伸びた
  • 多読クラスは学期末エッセイの総合評価で有意に高かった
  • 内容・構成・語彙・言語使用・表記のどの観点でも、多読クラスの伸びが大きかった

主な数字

  • 期間:1学期
  • 比較:2クラス(従来型の作文クラス vs 多読+関連作文クラス)

読むときの注意(研究の限界)

2つのクラスを比べただけの研究で、参加人数は少ない可能性があり、クラスの違い(教師や学生の特徴)の影響を完全には除けない。多読クラスでは読んだ内容に関わる作文活動も行っているので、伸びが多読だけによるものか、読むことと書くことの組み合わせによるものかは区別できない。

多読をする人・教える人へ

作文の授業でも、多読を中心に据え、読んだことについて書く形にすると、作文の練習だけの授業より伸びることがある。「読む→書く」の流れは、書く内容と使える表現の両方を与えてくれる。独学でも、読んだ本についてまとめや感想を書くことで、多読の効果を作文に結びつけやすい。教える側にとっては、作文の授業時間の一部を多読に回すことへの不安を和らげる結果だ。

今日からできること

  • 1冊読み終えるごとに、あらすじと感想を英語で5文ほど書く
  • 授業では作文課題を「読んだ本の紹介文」にし、多読と作文を一つの流れにする

確認方法:Crossref(書誌:オンライン公開2015年、掲載号2016年)+OpenAlex・ERICの抄録で確認。数字は論文の抄録・本文で確認できたものだけを載せています。

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