英語を読む動機は「楽しさ」「自分にとっての価値」「役に立つ」「できそう」の4つに分かれる
Mori, S. (2002). Redefining Motivation to Read in a Foreign Language. Reading in a Foreign Language, 14(2), 91–110 doi:10.64152/10125/66765
ひとことで言うと:日本の大学生が英語を読む気持ちを調べると、4つの種類の動機があることがわかった。
対象:日本の女子大学の学生447名(15のリーディングクラス)
なぜこの研究?
外国語学習の動機づけ研究は、話す・コミュニケーションする動機を中心に行われてきたが、外国語で「読む」動機についての研究はほとんどなかった。読む動機は、話す動機とは違うのではないかと考え、母語での読書動機の理論(ウィグフィールドとガスリーの理論)を手がかりに、外国語で読む動機の中身を調べた。読む動機の中身がわかれば、指導の工夫につなげられる。
どうやって調べた?
日本の女子大学の学生447名に、学期の初めに30項目・7段階のアンケート(日本語)を行った。項目の多くは母語の読書動機の質問紙をもとに日本の大学生に合うように作り、ほかに「英語圏の文化への関心」などの項目も加えた。回答を因子分析(多くの質問への答え方の共通パターンから、背後にあるまとまりを見つける統計手法)にかけ、読む動機がいくつの要素に分かれるかを調べた。質問紙は日本語で実施し、信頼性(回答が安定しているか)も確かめた。
何がわかった?
英語を読む動機は、4つの要素に分けられた。1つ目は、英語を読むこと自体が楽しい・おもしろいという「内発的な価値」。2つ目は、英語を読めることが自分にとって大切だという「達成価値」。3つ目は、英語を読むことが資格や将来に役立つという「外発的な有用性の価値」。4つ目は、自分は英語を読めるようになれるという「成功への期待」である。このことから、外国語で読む動機は単純な一つの気持ちではなく、楽しさ・自分にとっての意味・実用性・自信といった複数の要素から成り立っていると考えられる。この4つの要素は、読書指導で何を大切にすればよいかを考える手がかりになる。
- 英語を読む動機は4つの要素に分かれた
- 「読むこと自体が楽しい」という内発的な価値
- 「自分にとって大切」という達成価値と、「役に立つ」という外発的な価値
- 「自分は読めるようになれる」という成功への期待
主な数字
- 参加者:447名(15クラス)
- アンケート:30項目・7段階
- 見つかった動機の要素:4つ
読むときの注意(研究の限界)
1つの女子大学の学生だけを対象にしており、男子学生や高校生、ほかの地域の学習者にあてはまるかはわからない。動機は学期初めに1回測っただけで、多読などの活動で動機がどう変わるかは調べていない。また、動機が実際の読書量や成績とどう結びつくかも、この研究の範囲外である。
多読をする人・教える人へ
多読を続けるには、「楽しい」という気持ちだけでなく、「自分にとって意味がある」「役に立つ」「自分にもできる」という気持ちも支えになる。易しい本で「読めた」という成功体験を積むこと、好きなジャンルの本を選ぶこと、多読が自分の目標にどうつながるかを意識することが、続ける力になる。4つの要素のどれが弱いかは人によって違うので、学習者ごとに声をかける工夫も大切である。
今日からできること
- 読み終えた本の冊数や語数を記録して、「自分にも読める」という自信を目に見える形にする
- 授業では、多読が資格試験や将来にどう役立つかも伝えつつ、好きな本を自由に選ばせる
確認方法:Crossref(書誌)+OpenAlexの抄録+本文(オープンアクセス)で確認。数字は論文の抄録・本文で確認できたものだけを載せています。
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