台湾の大学で3年連続の多読研究:長く続けるほど従来の授業より有利に
Lee, S.-Y. (2007). Revelations from Three Consecutive Studies on Extensive Reading. RELC Journal, 38(2), 150–170 doi:10.1177/0033688207079730
ひとことで言うと:授業中の多読を3年続けて研究したところ、多読は従来の授業と同等以上で、期間が長いほど有利だった。
対象:台湾の大学の英語非専攻の学生(3年続けて行った3つの研究)
なぜこの研究?
多読の効果を示す研究は多いが、1つの研究だけでは、方法の違いや期間の短さのせいで結果がはっきりしないことがある。この研究者は、台湾の大学で、前年の結果をふまえて方法を修正しながら、3年続けて多読の研究を行った。外国語として英語を学ぶ大学のカリキュラムに多読を組み込めるか、そしてどんな条件で効果が出るのかを明らかにしようとした。
どうやって調べた?
台湾の大学の英語非専攻の学生を対象に、多読が読む力と語彙の発達に与える効果を調べる研究を3年続けて行った。授業時間の中で生徒が自分で選んだ本を黙って読む「授業内SSR(持続的黙読)」の形で多読をカリキュラムに組み込み、従来型の授業と比べた。研究ごとに異なるアプローチをとり、前年の結果に応じて次の年の方法を調整した。1回の研究で結論を出さず、結果を見ながら方法を改善していく、いわば「研究を重ねて確かめる」やり方をとった点が特徴である。授業内SSRは、授業時間の一部をそのまま読書にあてる方法で、多くの教室で取り入れやすい。
何がわかった?
3つの研究から、次の3点が確かめられた。第一に、多読は「授業内SSR」として、大学の外国語としての英語のカリキュラムに組み込むことができる。第二に、多読は英語を身につけるうえで従来の授業と少なくとも同じくらい効果的で効率もよく、実施期間が長くなると従来の授業より効果的になる。第三に、本が十分に手に入ること(ブック・アクセス)と、読む本を自分で選べること(自己選択)が、SSRの成功の2つの鍵である。他の国の別の学習者を対象にした研究の結果とも一致している。3年かけて方法を改善しながら得た結論なので、多読をカリキュラムに組み込む際の実践的な手がかりになる。
- 多読は授業内SSRとして大学のカリキュラムに組み込める
- 多読は従来の授業と少なくとも同等に効果的かつ効率的だった
- 実施期間が長いと、多読のほうが従来の授業より効果的だった
- 本が手に入りやすいことと、本を自分で選べることが成功の鍵だった
主な数字
- 研究の数:3年連続の3研究
読むときの注意(研究の限界)
1つの大学での研究で、研究ごとに方法を変えているため、3つの結果を単純に比べることはできない。参加人数、期間、読んだ量、効果の大きさは抄録では確認できない。「期間が長いほど有利」という結論も、研究ごとの条件の違いを考えて読む必要がある。
多読をする人・教える人へ
多読は、ふつうの授業時間を一部使っても損にならず、長く続けるほど差がつく。成功のためには、本を十分にそろえることと、生徒に本を選ばせることが欠かせない。学校で多読を導入するなら、1学期で判断せず年単位で続け、図書の充実と自由な選書を最優先にするとよい。自習でも、自分で選んだ本を長く読み続けることが力になる。
今日からできること
- 多読の本は人に決めてもらわず、表紙や最初の1ページを見て自分で選ぶ
- 授業では1年以上の計画で授業内SSRを続け、本の冊数とジャンルを少しずつ増やす
確認方法:Crossref(書誌)+OpenAlex・ERICの抄録で確認。数字は論文の抄録・本文で確認できたものだけを載せています。
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