レビュー・2008年

授業中の黙読(SSR)は研究でも支持されている:誤解をほどき、実践の工夫を示す

Garan, E. M., & DeVoogd, G. (2008). The Benefits of Sustained Silent Reading: Scientific Research and Common Sense Converge. The Reading Teacher, 62(4), 336–344 doi:10.1598/rt.62.4.6

年少者教室での実践読解

ひとことで言うと:「授業中に黙って本を読む時間は効果がない」という誤解をほどき、研究でも支持されていると示した。

対象:米国の教師向けに、SSR(授業中の持続的黙読)に関する研究と実践を整理した論文

なぜこの研究?

米国では「科学的根拠に基づく読みの指導」が求められるようになり、教師は自分の経験上効果があると感じている方法をやめざるを得ないことがあった。特に、授業中に生徒が自分で選んだ本を黙って読む「SSR(持続的黙読)」は、連邦政府の研究(全米読書委員会の報告書)が支持していないと受け取られ、混乱と対立が生まれていた。この論文は、教師がこの板挟みから抜け出せるよう、研究結果を整理し直した。

どうやって調べた?

新しいデータを集めた研究ではなく、教師向けの解説論文である。連邦政府の研究が自由読書について実際に何を明らかにしたのかを整理し、データと意見(解釈)を切り分けた。そのうえで、「純粋な」SSR(ただ黙って読むだけの形)にいくつかの変化を加えた実践のやり方を紹介し、教師が研究と自分の専門的判断の両方に基づいて実践を組み立てられるようにしている。読書の時間を守りつつ、教師が関わり方を工夫する方法を考えるための材料を提供している。

何がわかった?

著者らによれば、研究の事実を誤解や意見から切り離して見ると、SSRは直感的に魅力があるだけでなく、研究によっても支持されている。連邦の研究については、誤った解釈や意見が混ざって広まり、現場の混乱を生んでいると著者らは指摘する。論文は、SSRをただの自由時間にしないための工夫(SSRの変形版)も示し、教師が根拠のある研究と自分の専門性の両方を生かして読書の時間を設計することを勧めている。研究と現場の常識が同じ方向を指している、というのが題名にも込められた主張である。教師が研究の結論を正しく知ることで、自信を持って読書の時間を守れるようにする、というねらいがある。

  • SSRは研究によっても支持されていると結論づけた
  • 連邦の報告書についての誤解と、実際のデータを区別する必要があると指摘した
  • 「純粋な」SSRに工夫を加えた実践の形を提案した
  • 教師が研究と自分の専門的判断の両方を使って実践を決めることを勧めた

読むときの注意(研究の限界)

教師向けの解説・論評であり、新しい実験データを示したものではない。どの研究をどう評価するかには著者の立場が反映されている。米国の母語教育の文脈で書かれており、外国語として英語を読む場合には、本のやさしさ(レベル)の問題など別の条件も考える必要がある。

多読をする人・教える人へ

授業中の黙読の時間は「何もしていない時間」ではなく、根拠のある学習時間である。ただし、本の選び方の支援や、読んだ本について少し話す時間など、工夫を加えることで効果が高まりやすい。英語の授業でも、多読の時間を守り、生徒が読み続けられる仕組みを整えることが大切だ。学校全体で取り組む場合は、研究の根拠を共有して、教員間で読書の時間の意義をそろえておくとよい。

今日からできること

  • 黙読の時間は、スマホを見ない・辞書を引かないなどのルールを決めて集中する
  • 授業ではSSRの最後の1〜2分で、隣の人に読んだ本を一言紹介させる

確認方法:Crossref(書誌)+OpenAlexの抄録で確認。数字は論文の抄録・本文で確認できたものだけを載せています。

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