調査・2012年

Graded Readersは「買う先生」向けに作られ、いちばん必要な初級の本が少ない

Claridge, G. (2012). Graded readers: How the publishers make the grade. Reading in a Foreign Language, 24(1), 106–119 doi:10.64152/10125/66668

Graded Readers動機づけ教室での実践

ひとことで言うと:出版社は先生や図書館の意見をもとに本を作っており、読む本人である学習者の声はあまり聞かれていなかった。

対象:大手4出版社(Oxford・Cambridge・Pearson Longman Penguin・Macmillan)の編集者への聞き取り。背景調査として学習者25名・教員13名

なぜこの研究?

Graded Readersの出版は大きなビジネスだが、実際には学習者が英語力を伸ばせるほどの量を読んでいないという報告がある。読む側の学習者、使わせる側の教員、作る側の出版社はそれぞれ何を考えているのか。この論文は、とくにあまり調べられてこなかった出版社の考え方に注目した。出版社の考え方は、本棚に並ぶ本の種類や数を直接左右する。

どうやって調べた?

大手4社(Oxford University Press、Cambridge University Press、Longman Pearson Penguin、Macmillan)のGraded Readers担当編集者に聞き取りを行い、物語の選び方、形式、文化、販売の方針、レベルの決め方などを尋ねた。比較の基準として、多読財団の賞の審査員の評価や、Graded Readersの書評で知られるDavid Hillの見解も参照した。背景として、ニュージーランドの大学で学ぶ学習者25名へのアンケートや面接、教員13名のグループ討論の結果も紹介している。

何がわかった?

学習者は、本に「物語に入り込む」「時間を忘れる」といった感情的な体験を求めていたが、ほとんどの学習者は英語力を伸ばすには少なすぎる量しか読んでいなかった。教員は、本を文法や知識を教える道具として見る傾向が強く、楽に読める易しい本より少し難しい本を与えたがっていた。出版社は、最終的な読者である学習者の意見を定期的に調べることは少なく、本を購入する教員や図書館の要望に合わせて本を作る傾向があった。また、出版点数が最も多いのは1,000〜1,700語レベルの中級で、楽しみの読書の習慣を最初から育てるなら本来もっと必要なはずの最も易しいレベルの本は、相対的に少なかった。3,000語レベルを超える本もごくわずかだった。

  • 学習者は本に感情的な楽しさを求めていたが、読む量は少なすぎた
  • 教員は本を「教える道具」と見て、少し難しめの本を与えがちだった
  • 出版社は学習者より、購入者である教員・図書館の要望を重視していた
  • 出版点数は中級レベルに集中し、最も易しいレベルや3,000語超のレベルは少なかった

主な数字

  • 聞き取りの対象:大手出版社4社の編集者
  • 背景調査:学習者25名、教員13名
  • 出版点数が多いレベル:1,000〜1,700見出し語

読むときの注意(研究の限界)

聞き取りは4社の編集者に限られ、出版社の公式な方針ではなく個人の意見である。学習者と教員の調査は人数が少なく、統計的な結論は出せないと著者自身が述べている。調査は2010年前後のもので、その後の出版状況は変わっている可能性がある。

多読をする人・教える人へ

多読の本を選ぶときは、教える側の「少し難しめを読ませたい」という考えより、学習者が楽しく楽に読めるかを優先したい。とくに初級者向けの易しい本が不足しがちなので、学校や図書館で本をそろえるときは、最も易しいレベルを厚めにそろえることが、読書習慣づくりの近道になる。教える側は、生徒が本に何を求めているのかを聞き取ることから始めたい。

今日からできること

  • 「少し易しすぎるかな」と思うくらいの本から読み始め、物語を楽しむことを優先する
  • 学校で本を購入するときは、最も易しいレベルの冊数を多めにし、生徒に好きな本のアンケートをとる

確認方法:Crossref(書誌)+OpenAlexの抄録+本文(オープンアクセス)で確認。数字は論文の抄録・本文で確認できたものだけを載せています。

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