言い伝えの中身
「潮の満ち引きは月が起こしている」「満月と新月のころは潮の差が大きい」――漁師さんや海辺に住む人びとは、昔からこのことを知っていました。
日本の潮見表には、大潮・中潮・小潮・長潮・若潮といった、月の満ち欠けと結びついた名前がいまも使われています。
どうして生まれた?
海辺の人びとは、満潮の時刻が、月がのぼる時刻と同じように、毎日少しずつ(約50分ずつ)おくれていくことに気づいていました。満月や新月のころに潮の差が大きくなることも、長い経験から分かっていました。
なぜ月が海を動かすのか、そのしくみを説明したのは、17世紀のイギリスの科学者ニュートンです。万有引力の考え方で、潮の満ち引きを月と太陽の引力で説明しました。
世界ではどう?
カナダのファンディ湾は、満潮と干潮の差が世界でもっとも大きい場所のひとつとして知られています。湾の形によって、潮の差は場所ごとに大きく変わります。
フランスのモン・サン・ミシェルは、潮が満ちると海にうかぶ島のようになることで有名です。日本でも、潮が引いたときだけ歩いて渡れる島が各地にあります。
科学で分かっていること

本当です。月の引力は、月に近い側の海の水をより強く引っぱります。地球の反対側では、引っぱる力が弱いぶん、水が取り残されるようにふくらみます。こうして地球には海のふくらみが2つでき、地球が1日に1回自転する間に、多くの海岸では満潮と干潮が2回ずつやってきます(NASA)。
満潮から次の満潮までは、12時間と少し。月も地球のまわりを回っているので、地球が月に追いつくのに1日あたり約50分よけいにかかります。だから満潮の時刻は、毎日約50分ずつおくれていくのです(NASA)。
太陽も潮を起こします。太陽は月の約2700万倍も重いのですが、約390倍も遠いので、潮を起こす力は月の半分弱です(NASA)。満月と新月のころは、太陽・地球・月が一直線にならぶので、2つの力が合わさって潮の差が大きくなります。これが「大潮(英語で spring tide)」です。上弦・下弦の月のころは、力が打ち消し合って潮の差が小さい「小潮(neap tide)」になります(NOAA)。
月が地球に近づくスーパームーンのころの大潮は、いつもより少し潮が高くなります。米国海洋大気庁(NOAA)は、こうした一年でもとくに高い潮を「キングタイド(king tide)」とよび、海辺の浸水に注意をよびかけています。
台風のとき、気圧が下がると海面が吸い上げられ、強い風で海水が岸に寄せられて「高潮」が起こります。これが大潮の満潮と重なると、潮位がいっそう高くなり、大きな災害につながりやすいと気象庁は注意をよびかけています。
潮は地球だけのものではありません。地球の引力は月にも「潮」を起こし、月の表面を10〜15cmほど動かしています(NASA)。
参考にした研究・資料
英語では?
満潮/干潮
We can walk to the island at low tide.干潮のときは島まで歩いて行ける。
大潮/小潮(spring は「春」ではなく「わき上がる」イメージ)
Spring tides happen around the new moon and full moon.大潮は新月と満月のころに起こる。
潮の流れが変わる=形勢が変わる
The tide is turning in our favor.流れがこちらに向いてきた。
時と潮は人を待たない=歳月人を待たず
Hurry up! Time and tide wait for no man.急いで!時間は待ってくれないよ。
よくある質問
潮の満ち引きは本当に月のせいなの?
本当です。月の引力で地球の海に2つのふくらみができ、地球が自転することで、多くの海岸では1日に2回ずつ満潮と干潮がやってきます。太陽も潮を起こしますが、その力は月の半分弱です。
満月や新月が大潮になるのはなぜ?
満月と新月のころは、太陽・地球・月が一直線にならびます。太陽と月の、潮を起こす力が合わさるので、潮の差が大きい大潮になります。
満潮の時刻が毎日ずれるのはなぜ?
月も地球のまわりを回っているので、地球がもう一度月の方向を向くのに、1日あたり約50分よけいにかかるからです。
大潮の日に気をつけることは?
大潮の満潮のときは、いつもより潮位が高くなります。とくに台風と重なると高潮の危険が高まるので、気象庁や自治体の情報を確かめてください。潮干狩りでは、潮が満ちてくる時刻にも注意しましょう。
参考にした資料
研究の数字は、それぞれの論文の要旨・公式資料にもとづいています。新しい研究で分かることが変わる場合もあります。
