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MOON MYTHS & LEGENDS

かぐや姫はなぜ月へ帰ったの? 竹取物語と月

光る竹の中から生まれた、小さな女の子。美しく成長したかぐや姫は、十五夜の晩、月からのむかえとともに帰っていきました。千年以上も読みつがれてきたこの物語には、昔の人が月にいだいた、あこがれと切なさがつまっています。

まずは結論

日本最古の物語

月には空気も水もほとんどなく、昼は100℃以上、夜はマイナス100℃以下になるきびしい世界です。それでも人は月を目指し、日本の月探査機は「かぐや」と名づけられました。いまはアルテミス計画で、人がまた月へ向かおうとしています。

このページは、言い伝えを大切にしている人を否定するためのものではありません。どうして生まれたのか、研究で何が分かっているのかを紹介します。最後に判断するのは、あなたです。

言い伝えの中身

竹取の翁(おきな)が、根もとが光る竹の中に小さな女の子を見つけ、おばあさんと大切に育てます。女の子はわずか3か月ほどで美しい娘になり、「なよ竹のかぐや姫」と名づけられました。

うわさを聞いた5人の貴族が結婚を申しこむと、姫は「仏の御石の鉢」「蓬莱の玉の枝」「火鼠の皮衣」「龍の首の珠」「燕の子安貝」という、手に入れるのがとてもむずかしい宝物を持ってくるように言いました。だれも本物を持ってくることはできませんでした。

やがて姫は、月を見ては泣くようになります。そして「わたしは月の都の者です。8月15日に、むかえが来ます」と打ち明けました。帝(みかど)は大勢の兵士で家を守らせましたが、十五夜の晩、天から来た人びとの前に、だれも動けません。姫は帝に手紙と不死の薬を残し、天の羽衣を着て月へ帰っていきました。

どうして生まれた?

『竹取物語』は平安時代のはじめごろ(9世紀末〜10世紀はじめごろ)にできたと考えられていますが、作者は分かっていません。紫式部の『源氏物語』の中で「物語の出で来はじめの祖(おや)」とよばれ、日本でいちばん古い物語といわれています。

物語の中には、月を見て物思いにふける姫を、まわりの人が「月の顔見るは、忌むこと(月を見るのはよくないこと)」と止める場面があります。月を見るたびに故郷を思う姫を心配したのでしょうか。この一文の意味は、いまも研究者の間でいろいろに読まれています。

物語の最後、帝は「姫に会えないのなら、不死の薬も意味がない」と、天にいちばん近い山の頂上で、手紙と薬を燃やさせました。たくさんの兵士(士)を連れて登ったので「士に富む山=ふじの山」と名づけられ、その煙はいまも雲の中へのぼっている――物語は、富士山の名前の由来で終わります。

世界ではどう?

中国には、不老不死の薬を飲んで月へのぼった仙女・嫦娥(じょうが)の神話があります。「月」「不死の薬」「天にのぼる女性」という組み合わせは、かぐや姫の物語とよく似ていて、昔から比べられてきました。

月の世界の人が地上をおとずれ、また帰っていく――そんな物語は、遠くて手の届かない月へのあこがれが、世界中の人の心にあったことを教えてくれます。

『竹取物語』は英語では The Tale of the Bamboo Cutter として世界に紹介され、アニメ映画などでも多くの人に親しまれています。

科学で分かっていること

Mount Fuji from the ISS
画像:NASA

本物の月には、空気も水もほとんどありません。昼は100℃以上、夜はマイナス100℃以下にもなる、きびしい世界です(NASA)。物語のような月の都はありませんが、月は人類が自分の足で歩いた、ただひとつの地球以外の天体です。

2007年、日本は月をくわしく調べる探査機を打ち上げ、その愛称を「かぐや」としました。「かぐや」は月のまわりを回りながら、月の地形や重力を調べ、月の地平線からのぼる地球の姿をハイビジョンカメラで撮影しました(JAXA)。

そしていま、アメリカの「アルテミス計画」で、人がふたたび月へ向かっています。2026年にはアルテミス2号の宇宙飛行士が月のまわりを飛び、日本人宇宙飛行士が月面に立つ計画も進んでいます。かぐや姫が帰った月に、人がくらす日が来るかもしれません。

物語の最後に登場する富士山は、宇宙からもよく見えます。この写真は、国際宇宙ステーション(ISS)から NASA が撮影した富士山です。

参考にした研究・資料

JAXA: 月周回衛星「かぐや(SELENE)」JAXA 宇宙科学研究所

2007年打ち上げ。月の起源と進化を調べ、ハイビジョンカメラで「地球の出」を撮影。

論文・資料を見る ↗
NASA: Moon FactsNASA Science

月の大きさ・距離・表面のようす。

論文・資料を見る ↗

英語では?

The Tale of the Bamboo Cutter

『竹取物語』の英語名

The Tale of the Bamboo Cutter is one of Japan's oldest stories.『竹取物語』は日本でもっとも古い物語のひとつです。

Princess Kaguya

かぐや姫

Princess Kaguya returned to the Moon.かぐや姫は月へ帰った。

bamboo

竹

She was found inside a shining bamboo stalk.彼女は光る竹の中で見つかった。

immortality

不老不死

The emperor burned the elixir of immortality.帝は不死の薬を燃やした。

よくある質問

かぐや姫はなぜ月へ帰ったの?

物語では、かぐや姫はもともと月の都の人で、ある罪のために、しばらく地上で暮らすことになっていたと語られます。その期間が終わり、十五夜の晩に月からむかえが来たのです。

竹取物語はいつ、だれが書いたの?

平安時代のはじめごろ(9世紀末〜10世紀はじめごろ)にできたと考えられていますが、作者は分かっていません。『源氏物語』で「物語の出で来はじめの祖」とよばれた、日本最古の物語といわれます。

富士山の名前は竹取物語から来たの?

物語の最後では、たくさんの兵士(士)を連れて山に登ったので「ふじの山」と名づけた、と書かれています。ただし、これは物語の中での由来で、富士山の名前の本当の由来には、いろいろな説があります。

探査機「かぐや」は何をしたの?

2007年に打ち上げられた日本の月探査機で、月のまわりを回りながら、月の地形や重力などを調べました。月の地平線からのぼる地球の姿を、ハイビジョンカメラで撮影したことでも知られています。

参考にした資料

研究の数字は、それぞれの論文の要旨・公式資料にもとづいています。新しい研究で分かることが変わる場合もあります。

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