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日本語のマジか!?ホント

「草」の由来は「笑(わら)」→「w」。各国の笑い方8例で、日本のwだけ笑い声の音じゃない

「草」の由来は「笑(わら)」→「w」。各国の笑い方8例で、日本のwだけ笑い声の音じゃない

読む前に予想してみよう!

ネットの「w」は、「ワッハッハ」という笑い声の音をまねた文字だ

研究カード(どんな研究?)
対象
辞書編集者による新語の選評と、各国のネットの笑いの書き方の比較
規模
選評2年分+各国の8例
研究の種類
新語の記述+探索的な比較研究(例はブログから収集)
確かさ
★★★☆☆
3秒でわかる

ネットの「草」は、笑いを「ワラ」「藁」と書き、「w」に縮め、「www」が草原に見えて生まれた(三省堂の辞書編集者の説明)。ネットの笑い8例をくらべた論文では、日本のwだけが笑い声の音ではなかった。

ひとことで言うと「草」は「笑(わら)」→「w」→「www」と変わってできた。wは笑い声の音じゃない!

もくじ
  1. 「草」は2017年の「今年の新語」6位
  2. 最初は「気持ち悪い」と言われていた
  3. 論文の8例では、日本以外は「笑い声の音」
  4. 英語では「hahaha」と「LOL」
  5. どんでん返し:日本だけが「特別」とは言い切れない
  6. まとめ

「人多すぎて草」「テスト全滅で草」

ネットでよく見る「草」は、「笑える」という意味です。でも、笑いと草にどんな関係があるのでしょう。

三省堂の辞書編集者たちの説明によると、道すじはこうです。「笑い」→「ワラ」「藁」→「w」→「wwww」→「草」。wを並べると草が生えているように見えるから「草」。そしてこの「w」は、各国のネットの笑い方8例の中で一つだけ「笑い声の音」ではない、と指摘する論文があります。

01「草」は2017年の「今年の新語」6位

三省堂は毎年、辞書を作る人たちが「これから辞書に載ってもおかしくないことば」を選ぶ「辞書を編む人が選ぶ 今年の新語」を発表しています。2017年、「草」は6位に選ばれました。選んだ理由を説明した文章(選評)には、こう書かれています。

「笑い」をカタカナで「ワラ」と書き、それに漢字を当てて「藁」。さらにローマ字の頭文字で「w」。それをたくさん並べたら「草」。文字の上では、藁から草へ、植物から植物へと移ってきたことになります。ただし選評が書いているのは書き方の移り変わりで、「藁」がそのまま「草」の語源だという意味ではありません。

三省堂の選評によると、「笑い」は「ワラ」「藁」→「w」→「wwww」→「草」と書き方を変えてきた
三省堂の選評によると、「笑い」は「ワラ」「藁」→「w」→「wwww」→「草」と書き方を変えてきた

02最初は「気持ち悪い」と言われていた

今は当たり前の「草」も、すぐに受け入れられたわけではありません。選評によると、使われ始めたころは「気持ち悪い」「うざい」という声も目につきました。2017年の2、3年前までは、「『草』って何ですか」という質問をネットでよく見かけたそうです。それが2017年には、若い人が「人多すぎて草」のように普通に使うようになっていました。

その5年後の「今年の新語2022」でも、「草」は一般からの投稿数で12位に入りました。選評は、2017年に6位だったことばが今でも新しいと感じられている例として挙げています。

03論文の8例では、日本以外は「笑い声の音」

では、ほかの国の人はネットでどう笑うのでしょう。南アフリカ大学の研究者グルンドリング(Grundlingh)が2020年に学術誌『Cogent Education』に発表した論文は、ブロガーたちが集めた各国の例を並べています。

辞書も、これらが「笑い声」であることを裏づけています。スペイン王立アカデミーの辞書では、ja は「笑い・あざけり・信じられない気持ちを表す声のことば」で、多くはくり返して使うとあります。韓国の『標準国語大辞典』では、ㅋの音で始まる 킥킥(キッキッ)が「こらえきれずに続けて漏れる笑い声」です。

つまり、タイの人の「555」も、スペインの人の「jajaja」も、声に出せば笑い声になります。でも日本の「www」を声に出して「ダブリュー、ダブリュー」と読んでも、笑い声にはなりません。wは笑い声の音ではなく、「笑」という漢字の読みの頭文字だからです。

04英語では「hahaha」と「LOL」

英語のネットの笑いは、笑い声の音そのままの hahaha。グルンドリングの論文は、おそらくネットでいちばんよく使われる笑い方だろうと書いています。もう一つ有名なのが LOL。オックスフォードの学習辞典によると、laugh out loud(声を出して笑う)の略で、メッセージやSNSで、楽しい気持ちや笑いを表すのに使います。

  • That video was so funny, hahaha.(あの動画、めっちゃおもしろかった、ハハハ)
  • I put my shoes on the wrong feet, lol.(靴を左右逆にはいてた、草)

05どんでん返し:日本だけが「特別」とは言い切れない

「世界で日本だけが変わった笑い方をしている」とまでは言えません。理由は三つあります。

一つ目は、英語の LOL も音ではなく頭文字だということ。laugh out loud の頭文字を並べた LOL は、日本の w と同じく、笑い声をまねた形ではありません。じつは論文は、ネットの笑いには lol のような頭文字の略語、hahaha のような笑い声の音、絵文字があると書いたうえで、笑い声の音の書き方だけを扱うと決めていました。LOL が8例に入っていないのはそのためです。

二つ目は、論文自体の性格です。挙げられた8例は、論文が「網羅したものではない」と断っているとおり、ブロガーたちが紹介した例を集めたものです。どの国でどの書き方がどれくらい使われているかを数えた調査ではありません。

三つ目に、「草」の意味の説明は、選評が「『三省堂国語辞典』風」に試しに書いたもので、辞書に正式に載ったという意味ではありません。今回調べた辞書(コトバンク掲載の国語辞典)でも、ネットの「草」の意味は確認できませんでした。

06まとめ

「笑い」を「ワラ」と書き、「藁」と書き、「w」に縮め、並べて「草」。ネットの「草」は、書き方を何度も変えて生まれたことばでした。

世界の「hahaha」「jajaja」「555」は笑い声の音。日本の「w」は「笑」の読みの頭文字。同じ笑いでも、笑い声の音を書くことばと、頭文字で書くことばがある。次に「草」と打つときは、タイの友だちなら「555」と打つのだと思い出してみてください。

この研究を英語で読もう原田英語の English CornerThe Japanese internet word "kusa" grew out of several older spellings. 音声 4択クイズ9問A2・B1・B2タップして開く

原田英語の English Corner

この研究を英語で読もう

The Japanese internet word "kusa" grew out of several older spellings. According to dictionary editors at Sanseido, laughter was once written as "wara" on online message boards and then cut down to a single "w." When people typed many w's in a row, the line looked like grass, and "kusa" (grass) became slang for "that's funny."

In 2017, the editors ranked it sixth among their new words of the year. A 2020 study looked at eight examples of written laughter from different languages. Forms like "hahaha," "jajaja" and Thai "555" all copy the sound of laughing. Japanese "www" was the only one that did not. It comes from "warai," the Japanese word for laughter, so it shows the idea of laughing instead of the sound.

125 words ・ CEFR B1

和訳を見る

日本のネットのことば「草」は、いくつもの古い書き方から生まれた。三省堂の辞書編集者たちによると、笑いはかつてネット掲示板で「ワラ」と書かれ、その後「w」1文字にまで縮められた。wをたくさん並べて打つと、その列が草のように見えたので、「草」が「笑える」という意味の俗語になった。

2017年、編集者たちはこれを今年の新語の6位に選んだ。2020年のある研究は、さまざまな言語のネットの笑いの書き方を8例取り上げた。「hahaha」「jajaja」タイ語の「555」などは、どれも笑い声の音をまねている。日本語の「www」だけがそうではなかった。これは笑いを表す日本語「warai」から来ているので、音ではなく「笑っている」という意味を表している。

4択リーディングクイズ

Q1. What is the passage mainly about?

Q2. What happened in 2017?

Q3. What can be inferred from the passage?

重要単語

  • laughterB1
    名詞笑い、笑い声Laughter filled the room. laugh(笑う)の名詞形。発音は「ラフター」。burst into laughter「どっと笑い出す」。
  • imitateB2
    動詞まねるChildren often imitate the sounds of animals. 名詞は imitation(まね、模造品)。hahaha や jajaja は笑い声を imitate した書き方。
  • abbreviationB2
    名詞略語、省略形LOL is an abbreviation of "laugh out loud." an abbreviation of / for ~「~の略」。動詞は abbreviate(省略する)。
  • slangB2
    名詞俗語、スラング"Kusa" is internet slang for "that's funny." 数えられない名詞なので a slang とは言わない。a slang word / a slang expression ならOK。
  • consonantB2
    名詞子音The letter "k" stands for a consonant sound. 反対は vowel(母音)。韓国語の ㅋㅋㅋ は子音だけをくり返す書き方。
  • repeatA2
    動詞くり返すThai speakers repeat the number five to laugh online. 名詞は repetition。re-(再び)+peat(求める)が語源。
  • in a rowB1
    熟語一列に;連続してShe typed ten w's in a row. three days in a row「3日連続で」のように「連続して」の意味でもよく使う。
ネットの「草」は「笑い」→「ワラ」「藁」→「w」→「wwww」が草原に見える→「草」と生まれた(三省堂の辞書編集者の説明)。ネットの笑い8例をくらべた論文では、hahaha・jajaja・555は笑い声の音で、日本のwだけが「warai」の頭文字だった。

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出典・参考文献(6件)タップで表示
  1. 三省堂 辞書を編む人が選ぶ「今年の新語2017」選評(全文)dictionary.sanseido-publ.co.jp
  2. 三省堂 辞書を編む人が選ぶ「今年の新語2022」選評(全文)dictionary.sanseido-publ.co.jp
  3. Grundlingh (2020) Laughing online: Investigating written laughter, language identity and their implications for language acquisition, Cogent Education 7(1)doi.org
  4. Real Academia Española, Diccionario de la lengua española「ja」dle.rae.es
  5. 국립국어원『표준국어대사전』「킥킥」stdict.korean.go.kr
  6. Oxford Advanced Learner's Dictionary「LOL」oxfordlearnersdictionaries.com

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