筋肉が働かない死んだ体でも、フラミンゴは一本足の形なら姿勢がくずれなかった

死んだフラミンゴの体を一本足の形で支えると、筋肉が働かなくても姿勢がくずれなかった。一本足は、筋肉をあまり使わない楽な姿勢なのかもしれない。

No.230 7分で読めるえっ度 論文 2019年
浅い水辺で、ピンク色のフラミンゴが一本足で立ったまま眠っている。首を背中にのせ、くちばしを羽の中に入れ、もう片方の足は体の下に折りたたんでいる。

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  1. 死んだフラミンゴの体は、一本足の形なら姿勢がくずれなかった
  2. 2本足の形にすると、体重を支えられずにくずれた
  3. 生きたフラミンゴは、目を閉じると目を開けているときより体がゆれなかった

人に話すなら

フラミンゴって、死んだ体でも、一本足の形にすると姿勢がくずれないんだって。逆に2本足の形だとくずれちゃう。片足立ちのほうが、筋肉を使わずにすむ楽な姿勢なのかもね。

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フラミンゴの死んだ体は、2本足の形のほうが安定していた

フラミンゴは、一本足で立ったまま長い時間を過ごします。そのまま眠ることもよくあります。人なら、片足で長く立ち続けるのは難しいでしょう。フラミンゴは、なぜわざわざ一本足で立つのでしょうか。

アメリカのジョージア工科大学などのチームは、死んだフラミンゴの体を使って実験しました。体を一本足の形で支えると、筋肉が働かないのに、姿勢がくずれませんでした。ところが2本足の形にすると、体重を支えられずにくずれました。

フラミンゴが一本足で立つ理由には、これまで2つの説がありました。筋肉の疲れを減らすため、という説と、体の熱が逃げるのを防ぐため、という説です。でも、一本足で立つのに筋肉の力がどれだけいるのかは、分かっていませんでした。この研究は、死んだ体と生きた鳥の両方で、そこを調べました。

01フラミンゴの一本足には、2つの説があった

1つ目は「疲れ」の説です。一本足で立つには筋肉の力がたくさんいるので、疲れたら足を入れかえる、という考えです。2つ目は「熱」の説です。外にさらす体の面を減らして、体の熱が逃げるのを防いでいる、という考えです。

ただ、どちらの説も、肝心なことが確かめられていませんでした。フラミンゴが一本足で立つとき、筋肉がどれだけ働いているのかです。もし筋肉をたくさん使うなら、熱を守っても、そのぶんエネルギーを使ってしまいます。

論文によると、フラミンゴの太ももの骨は、ほぼ水平の向きについています。この形で体重を支えるには、ひざと股関節に大きな力がかかります。筋肉にとっては、効率の悪い形です。そのため、一本足で体重を支えるのは、筋肉にとって大変そうに見えます。

02死んだフラミンゴの体を一本足の形で固定し、前後に傾けた

研究したのは、ジョージア工科大学のヨンフイ・チャン(Young-Hui Chang)さんと、エモリー大学のレナ・ティン(Lena Ting)さんです。2人とも、アメリカのアトランタにある大学の研究者です。

チームは、アラバマ州のバーミングハム動物園から、ベニイロフラミンゴ2羽の遺体を受け取りました。凍らせて保存されていた大人の鳥です。チームは、遺体を完全にとかしてから実験しました。

実験のやり方はこうです。縦の柱に、骨をはさむ道具を2つとりつけます。その道具で、片方の脚のすねの骨の下のほうをはさみ、遺体を一本足で立っている形にしました。そして、体を前や後ろに傾けながら、脚の印の動きをビデオで追いかけて、ひざと股関節の角度を計算しました。

死んだ体なので、筋肉は少しも働きません。それでも姿勢が保てるなら、骨や関節のつくりだけで体重を支えられることになります。

03一本足の形なら、筋肉なしでも姿勢がくずれなかった

結果ははっきりしていました。一本足の形にすると、体重がかかるだけで、ひざと股関節がある角度でぴたりと止まりました。その姿は、生きたフラミンゴが一本足で立つ姿によく似ていました。すねの骨を前後に合わせて119度の範囲で傾けても、関節の角度はほとんど変わりませんでした。

体のひざより前の部分を押し下げても、関節は10度未満しか動きませんでした。ところが、しっぽの近くを押し下げると、体は後ろに傾きました。ひざは、伸びる向きには動きにくく、曲がる向きにはふつうに動きました。

一方、遺体の足をまっすぐ縦にして、2本足で立つときの形に近づけると、様子が変わりました。関節はすぐに不安定になり、体重を支えられなくなったのです。姿勢が安定するのは、足が体のちょうど真下にあるときだけでした。

チームは、この安定には3つの条件があると考えています。体の重心がひざより前にあること。ひざと股関節が、ある角度より先に動かないこと。そして、足が股関節より体の中心寄りに来ていることです。どれか1つでも欠けると、関節は自由に動いてしまいます。

灰色っぽい羽の若いフラミンゴ2羽が、平らな板の上に立っている。左の1羽は目を閉じて一本足で静かに立ち、右の1羽は目を開けて首を曲げ、羽づくろいをしている。

04目を閉じたフラミンゴは、体のゆれがとても小さかった

次にチームは、アトランタ動物園で生きたフラミンゴを調べました。チリーフラミンゴの若い鳥8羽です。体重は0.25〜1.4kg、脚の長さは17〜40cmでした。鳥たちを、足にかかる力を1秒に200回測れる板の上に立たせ、ビデオも撮りました。

チームが注目したのは、体重が足のどの1点にかかっているかです。その点が関節の真下から大きくずれるほど、関節を支えるのに大きな力がいります。目を閉じてじっとしている鳥では、この点がほとんど動かず、指のつけ根の関節の真下にとどまりました。関節の真下に体重がかかっていれば、その関節を支える力はほとんどいりません。

1羽の鳥は、20分続けて記録できました。その鳥は、はじめ目を開けていて、やがて目を閉じました。眠ったのかもしれません。目を閉じている間、体重のかかる点は、小さな円の中にずっととどまっていました。

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なぜそうなったのか。研究の歴史と、まだ決着していない議論まで。

2010年の観察では「体を温めるため」と考えられた

フラミンゴの一本足を調べた研究は、ほかにもあります。2010年、アメリカのセント・ジョセフ大学のマシュー・アンダーソン(Matthew Anderson)さんたちは、飼育されているベニイロフラミンゴを観察しました。一本足で休んだあとに歩き出すまでの時間は、2本足で休んだあとより長くかかりました。そのため、疲れを防ぐ説や、すぐに逃げられるようにする説には合わないとしました。

また、気温が高いほど、一本足で休む鳥の割合は下がりました。陸の上より水の中に立っている鳥のほうが、一本足で休む割合が高くなりました。アンダーソンさんたちは、一本足は体温の調節に役立っていることを強く示す結果だと書いています。

850種あまりの鳥を比べた研究も、熱を守る説を支持した

2019年、オーストラリアのディーキン大学のチームは、852種の鳥について、一本足で立つかどうかを調べた記録を集めました。一本足で立つ行動は、体の大きさのわりに脚の一部が長い鳥ほど、よく見られました。赤道から遠い、緯度の高い地域で調べられた鳥でも、よく見られました。チームは、むき出しの体の面から熱が逃げるのを防ぐためだろうと考えています。ただし、体を支える負担を減らすためなど、ほかの役目もありうると書いています。

2017年の研究が出した新しい考え

チャンさんたちは、この2つの説とは少し違う考えを出しました。一本足は、筋肉を使うエネルギーを節約するための姿勢ではないか、というものです。熱帯にすむ鳥や、水辺にいない鳥も一本足で立ちます。そうした鳥では、熱を守る得はあまり大きくないかもしれない、と指摘しています。ただし、チームは「直接の証拠はまだない」とも書いています。熱を守る説と、エネルギーを節約する説は、両方が同時に正しい可能性もあります。

ウマにも、立ったまま眠るしくみがある

骨や筋のつくりで体を支える例は、ほかの動物でも知られています。論文によると、ウマが立ったまま眠るとき、こうしたしくみで筋肉の力は約98%少なくなります。枝にとまる鳥の足の指や、さかさまにぶら下がるコウモリの指にも、力を使わずに固定するしくみがあります。それでも、鳥の脚の付け根に近い関節で、重力を使って体重を支えるしくみが示されたのは、これが初めてだとチームは書いています。

05まとめ

死んだベニイロフラミンゴの体は、一本足の形にすると、筋肉が働かないのに姿勢がくずれませんでした。2本足の形にすると、体重を支えられずにくずれました。生きたチリーフラミンゴも、目を閉じているときは体のゆれがとても小さくなりました。フラミンゴにとって一本足は、筋肉をあまり使わずにすむ姿勢なのかもしれません。動物園で一本足のフラミンゴを見かけたら、その日の気温と、水の中か陸の上かもあわせて見てみてください。

RESEARCH FILE

研究カルテ

アメリカ・アトランタ

研究チーム
アメリカのジョージア工科大学とエモリー大学のチーム(ヨンフイ・チャン、レナ・ティン)
調べた場所
アメリカ・ジョージア州アトランタの大学と動物園
調べた動物
死んだベニイロフラミンゴ2羽と、生きたチリーフラミンゴの若い鳥8羽
調べ方
死んだ体を一本足の形で固定して傾け、関節の角度を測った。生きた鳥は力を測る板の上に立たせた
分かったこと
一本足の形なら筋肉なしで姿勢を保てた。目を閉じた鳥は、足にかかる力の位置がほとんど動かなかった
まだ分からないこと
生きた鳥の筋肉が本当にどれだけ働いているかは測っていない
論文
Biology Letters(2017年)
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英語で読んでみよう

この記事の内容を、やさしい英語(中学〜高1レベル)で。文をタップすると日本語が出ます。

Why Flamingos Stand on One Leg

Flamingos often stand on one leg for a long time. They sometimes sleep in this way, too. Is it hard work for them?

Two scientists in Atlanta in the United States studied two dead flamingos. They held each body by one leg. The body kept its one-leg shape, even with no muscle power. But in a two-leg position, the body could not stay up.

Next, they studied eight young living flamingos at a zoo. The birds stood on a special board. The board measured the force from their feet. When the birds closed their eyes, their bodies moved very little.

The scientists think standing on one leg may need little muscle power. Other scientists think it helps flamingos stay warm. Both ideas may be true.

覚えたい単語

英語でクイズ

Q1. How many dead flamingos did the scientists study?研究者たちは、死んだフラミンゴを何羽調べましたか。

Q2. What happened in the two-leg position?2本足の形にすると、どうなりましたか。

Q3. When did the living birds move very little?生きた鳥がほとんど動かなかったのは、どんなときですか。

出典(ウラ取りに使った資料)

  1. 1Chang, Y.-H. & Ting, L. H. (2017) Mechanical evidence that flamingos can support their body on one leg with little active muscular force. Biology Letters 論文確認済みdoi:10.1098/rsbl.2016.0948
  2. 2Anderson, M. J. & Williams, S. A. (2010) Why do flamingos stand on one leg? Zoo Biology 論文確認済みdoi:10.1002/zoo.20266
  3. 3Pavlovic, G. et al. (2019) Morphology and geography predict the use of heat conservation behaviours across birds. Functional Ecology 論文確認済みdoi:10.1111/1365-2435.13233

論文は Crossref(論文の公式データベース)で、実在すること・題名・発表年を確認しています。内容は論文や研究機関の発表で確かめています。ウラ取りの方法

こっちも、こっそりすごい