メタ分析・2011年

99研究のメタ分析:よく読む子ほど読む力が伸び、伸びた子はさらに読む「上向きのらせん」

Mol, S. E., & Bus, A. G. (2011). To read or not to read: A meta-analysis of print exposure from infancy to early adulthood.. Psychological Bulletin, 137(2), 267–296 doi:10.1037/a0021890

年少者読解長期

ひとことで言うと:本をよく読む人ほど読む力が高く、読む力が高い人はさらに読む。この良い循環は年齢が上がるほど強くなる。

対象:母語での余暇の読書量を調べた99研究・合計7,669名(幼児・幼稚園児、小中高生、大学生)

なぜこの研究?

「よく本を読む子は国語の力が高い」とよく言われるが、それは年齢によって変わるのか、また本当に読書が力を伸ばしているのかははっきりしていなかった。この研究は、母語(第一言語)での余暇の読書量(プリント・エクスポージャー=文字に触れる量)と読む力との関係が、幼児から大学生まで成長とともに強くなるかを、多くの研究をまとめて調べた。多読の考え方の土台になる母語の研究である。

どうやって調べた?

メタ分析(多くの研究の結果を統計的にまとめる方法)を使い、余暇の読書を扱った99研究(合計7,669名)を分析した。対象は、(a)就学前の幼児・幼稚園児、(b)小学1年〜高校3年にあたる子ども、(c)大学生の3つの年齢層である。余暇にどれだけ読んでいるかと、読解力、文字を正確に読む力・つづりの力、話し言葉の力、学業成績などとの関係(相関)の強さを、年齢層ごとに比べた。母語での研究だけを扱い、外国語学習の研究は含まれていない。

何がわかった?

読解力、文字を読む力、つづりの力のどれについても、読書量との間に中程度から強い相関が見られた。著者はこの結果を「上向きのらせん」で説明する。読む力の高い子はたくさん読み、たくさん読むことで、学年が上がるたびにさらに力が伸びる、という循環である。例えば、読書量で説明できる話し言葉の力の個人差の割合は、就学前・幼稚園で12%、小学校で13%、中学校で19%、高校で30%、大学で34%と、年齢とともに大きくなった。読書量は学業成績とも中程度の関係があり、よく読む人ほど学業でも成功していた。また、読むのが苦手な子も、自分で楽しむ読書から恩恵を受けているようだった。

  • 読書量は読解力・文字を読む力・つづりの力と中程度〜強い相関があった
  • 読書量と言語能力の関係は、年齢が上がるほど強くなった
  • よく読む人ほど学業成績も高い傾向があった
  • 読むのが苦手な子も、余暇の読書から恩恵を受けているようだった

主な数字

  • 対象:99研究・合計7,669名
  • 読書量で説明できる話し言葉の力の差:就学前・幼稚園12%、小学校13%、中学校19%、高校30%、大学34%

読むときの注意(研究の限界)

分析の中心は相関(一緒に変化する関係)で、読書が原因で力が伸びたと実験で示したものではない。著者は「上向きのらせん」という双方向の因果を考えているが、他の要因(家庭環境など)の影響も残りうる。また母語での読書の研究であり、外国語としての英語の多読に同じ関係がそのまま成り立つかは別に確かめる必要がある。

多読をする人・教える人へ

読書は「力がある人がするもの」であると同時に「力を育てるもの」でもある。英語の多読でも、最初はやさしい本で読む量を確保し、読めるようになるほど読む量が増える好循環をつくることが目標になる。苦手な人ほど、無理のない本で読書の習慣をつくることに価値がある。また、この関係は年齢が上がるほど強くなるので、始めるのに遅すぎるということはない。高校生や大人になってからでも、読書量を増やす意味は大きい。

今日からできること

  • 英語の本は「毎日少しでも」読む習慣を優先し、読書記録で量の増え方を目で見る
  • 授業では、苦手な生徒にこそ自分で選べるやさしい本と読む時間を用意する

確認方法:Crossref(書誌)+OpenAlexの抄録で確認。数字は論文の抄録・本文で確認できたものだけを載せています。

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