調査・1988年

放課後の過ごし方の中で、読む力の伸びを最もよく予測したのは「本を読む時間」

Anderson, R. C., Wilson, P. T., & Fielding, L. G. (1988). Growth in Reading and How Children Spend Their Time Outside of School. Reading Research Quarterly, 23(3), 285–303 doi:10.1598/rrq.23.3.2

年少者読解

ひとことで言うと:放課後に本を読む時間が長い子ほど、読む力が伸びていた。でも多くの子はほとんど本を読んでいなかった。

対象:米国イリノイ州の小学5年生155名(同じ研究の技術報告版〔1986〕による)

なぜこの研究?

学校の中での時間の使い方と学力の関係はよく研究されてきたが、学校の外で子どもがどう過ごしているか、そしてそれが読む力とどう関係するかについての正確なデータは少なかった。そこでこの研究は、小学生に毎日の放課後の活動時間を記録してもらい、どの活動が読む力と最も関係しているかを調べた。母語の研究だが、「自分で読む量」の重要性を示す代表的な研究である。

どうやって調べた?

小学5年生が、毎日の活動記録用紙に、放課後にさまざまな活動(宿題、スポーツ、音楽を聞くこと、本を読むことなど)に使った時間を分単位で書き込んだ。記録の期間は8〜26週間だった。読みのテスト(読解力、語彙、読む速さ)の結果と活動時間の関係を分析し、2年生のときの読みの力を考慮したうえで、5年生までの伸びを予測する活動を調べた。読書時間については、本の題名も記録させた。分析では時間の分布の偏りを統計的に補正したうえで、各活動と読みの成績との関係を調べている。

何がわかった?

放課後の時間の使い方のうち、読む力との関係が最も強かったのは「本を読むこと」だった。本を読む時間は、5年生の時点での読む力だけでなく、2年生から5年生にかけての読解力の伸びを最もよく予測した。一方で、ほとんどの日、ほとんどの子は本をほとんど、あるいはまったく読んでいなかった。読書時間の個人差は非常に大きく、技術報告版によれば、読書量で上位10%にあたる子は、真ん中の子のほぼ5倍の時間を本に使っていた。著者らは、親と教師が本を読むことをもっと優先すべきだと結論づけている。学校の外で本を読むかどうかが、読む力の差を広げる大きな要因になっていることを示した。

  • 放課後の活動の中で、本を読む時間が読む力と最も強く関係していた
  • 本を読む時間は、2年生から5年生にかけての読解力の伸びを最もよく予測した
  • 多くの子は、ほとんどの日に本をほとんど読んでいなかった
  • 子どもによって読書時間に非常に大きな差があった

主な数字

  • 参加者:小学5年生155名、記録期間8〜26週間(技術報告版)
  • 読書量で上位10%の子は、真ん中の子のほぼ5倍、下位10%の子の200倍以上の時間を本に使っていた(技術報告版)

読むときの注意(研究の限界)

時間の記録と成績の関係を見た相関研究で、読書を増やす実験をしたわけではない。子どもの自己記録なので正確さにも限界がある。数字は公開されている技術報告版(1986年)で確認したもので、雑誌掲載版と細部が異なる可能性がある。また母語での研究で、外国語学習にそのまま当てはまるとは限らない。

多読をする人・教える人へ

読む力の差は、授業よりも「授業の外でどれだけ本を読んでいるか」で大きく開く。英語の多読でも、授業中の数十分だけでなく、家や通学時間に少しずつ読む時間をつくることが伸びを左右する。毎日の短い読書でも、積み重なれば大きな差になる。教える側は、授業の中で「家でも読みたくなる本」と出会わせ、貸し出しや読書記録で家庭での読書につなげることを考えたい。

今日からできること

  • 1日10分だけ英語の本を読む時間を決め、何分読んだかをカレンダーに書く
  • 授業では本の貸し出しを行い、家でも続きが読めるようにする

確認方法:Crossref(書誌)+ERICの抄録+同研究の技術報告版(1986、イリノイ大学の公開PDF)で確認。数字は論文の抄録・本文で確認できたものだけを載せています。

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