長期の研究・1997年

小1で早く読めるようになった子は、10年後もよく読み、読む力も伸び続けていた

Cunningham, A. E., & Stanovich, K. E. (1997). Early reading acquisition and its relation to reading experience and ability 10 years later.. Developmental Psychology, 33(6), 934–945 doi:10.1037/0012-1649.33.6.934

年少者長期読解

ひとことで言うと:早く読めるようになった子ほど読書の習慣がつき、たくさん読んだ子ほど読む力がその後も伸びていた。

対象:小学1年生のときに読みのテストを受けた子どもたちを、10年後の11年生(高校2年生にあたる)で追跡(米国、母語の読み)

なぜこの研究?

読み始めの時期のつまずきや成功が、その後の人生の読書にどう影響するのかは、長い期間追いかけないとわからない。この研究は、小学1年生のときに読みの力を測った子どもたちを10年後に再び調べ、早い時期の読みの力と、その後の読書量(どれだけ文字に触れているか)や読解力・語彙・一般知識との関係を明らかにしようとした。母語の研究だが、「読む量」の大切さを示す代表的な研究である。

どうやって調べた?

以前の研究で小学1年生のときにさまざまな読みのテストを受けた子どもたちを、11年生になった時点で追跡した。11年生では、読書量(文字に触れる量)、読解力、語彙、一般知識を測った。そのうえで、1年生のときの読みの力が10年後の結果を予測するか、知的能力の影響を統計的に取り除いても関係が残るかを分析した。また、3年生・5年生のときの読みの力や、読書量の個人差が読解力の伸びとどう関係するかも調べた。同じ子どもを10年追うことで、一時点の調査ではわからない長期的な関係を見ようとした。

何がわかった?

1年生のときの読みの力は、10年後の読書量・読解力・語彙・一般知識のすべてをよく予測し、知的能力の影響を取り除いても予測力は残った。さらに、1年生(および3年生・5年生)の読みの力は、11年生の時点での読書量と結びついていた。これは11年生の読解力の影響を取り除いても同じだった。つまり、早く読めるようになることは、最終的な読解力の高さとは別に「一生の読書習慣」を育てる助けになるらしい。そして、読書量の個人差は、小学校の間とその後の読解力の伸びの違いを予測していた。読む力が読書を呼び、読書が読む力を育てるという循環を、10年という長い期間で示した研究である。

  • 小1の読みの力は、10年後の読書量・読解力・語彙・一般知識をよく予測した
  • 知的能力の影響を取り除いても、この予測力は残った
  • 早く読めるようになることは、読解力とは別に読書習慣そのものを育てる可能性がある
  • 読書量の多さは、その後の読解力の伸びを予測した

主な数字

  • 追跡期間:10年(小学1年生→11年生)

読むときの注意(研究の限界)

母語(英語)を読む子どもたちの相関研究で、実験的に読書量を変えたわけではない。参加者の人数や地域の特徴は抄録だけでは確認できず、どこまで一般化できるかは本文を確かめる必要がある。外国語として英語を学ぶ人にそのまま当てはまるとは限らない。

多読をする人・教える人へ

早い段階で「自分で読めた」という経験をすることが、その後の読書量を左右し、読書量がさらに力を育てる。英語の多読でも、最初の段階で「スラスラ読めて楽しい」という成功体験を積むことが、長く続けるための鍵になる。最初の本はとにかくやさしいものを選ぶのがよい。教える側は、最初の1冊を読み切る体験を全員に保証することを意識したい。

今日からできること

  • 最初の英語の本は、1ページに知らない単語がほぼない超やさしいものから始める
  • 授業では、多読の最初の数回で全員が1冊読み切れるレベルの本を用意する

確認方法:Crossref(書誌)+OpenAlexの抄録で確認。数字は論文の抄録・本文で確認できたものだけを載せています。

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