メタ分析・2013年

夏休みの読書プログラムは、特に低所得家庭の子どもの読解力を伸ばす:41介入のメタ分析

Kim, J. S., & Quinn, D. M. (2013). The Effects of Summer Reading on Low-Income Children’s Literacy Achievement From Kindergarten to Grade 8. Review of Educational Research, 83(3), 386–431 doi:10.3102/0034654313483906

年少者読解教室での実践

ひとことで言うと:夏休みに本を読むプログラムに参加した子どもは読む力が伸び、特に低所得家庭の子で効果が大きかった。

対象:1998〜2011年に米国・カナダで行われた41の夏休み読書プログラム(幼稚園〜8年生)

なぜこの研究?

米国では、学校のない長い夏休みの間に読む力が伸び悩みやすく、特に低所得家庭の子どもへの影響が心配されてきた。そこで、夏休みに教室で読み書きの授業を行うプログラムや、家で本を読むよう本を届けるプログラムなどが各地で行われた。この研究は、それらの効果を多くの研究をまとめて評価した。この研究はそうした取り組みの全体像を示すものである。

どうやって調べた?

メタ分析(多くの研究の結果を統計的にまとめる方法)で、1998〜2011年に米国とカナダで行われた41の夏休み読書介入を分析した。対象は幼稚園から8年生(中学2年生にあたる)の子ども。介入は、教師が読み書きの授業をする「教室型」と、子どもが自分で本を読む活動を中心にした「家庭型」に分けられる。参加した子どもと対照群(参加しなかった子ども)の読みの成績を比べ、プログラムの特徴や家庭の所得によって効果が変わるかを調べた。

何がわかった?

教室型でも家庭型でも、夏休み読書プログラムに参加した子どもは、対照群よりいくつかの読みの成績で有意に伸びていた。効果は、研究に基づいた読みの指導を取り入れたプログラムや、低所得家庭の子どもが多数を占めるプログラムで特に大きかった。さらに、同じ研究の中で比べた分析でも、所得がさまざまな子どもの集団より、低所得家庭の子どもで効果が大きかった。著者らは、夏休みの教室・家庭での読書プログラムが、低所得家庭の子どもの読解力を高める可能性を示したとまとめている。読書の機会を意図的につくることが、学力の差を縮める手段になりうることを示した研究である。

  • 教室型・家庭型のどちらの夏休み読書プログラムも、対照群より読みの成績を有意に伸ばした
  • 子どもが自分で本を読む家庭型の活動でも効果が見られた
  • 研究に基づく読みの指導を含むプログラムで効果が大きかった
  • 低所得家庭の子どもで特に効果が大きかった

主な数字

  • 対象:41の介入(1998〜2011年、米国・カナダ、幼稚園〜8年生)

読むときの注意(研究の限界)

母語の英語を学ぶ米国・カナダの子どもが対象で、外国語としての英語学習とは状況が違う。家庭型にも本の選び方の支援などさまざまな工夫が含まれており、「ただ本を渡すだけ」で同じ効果が出るとは言い切れない。効果の大きさは抄録では示されていないので、具体的な数値は本文で確認する必要がある。

多読をする人・教える人へ

長い休みは、読む習慣が途切れやすい時期であると同時に、本をまとめて読むチャンスでもある。英語の多読でも、休みの前に本を貸し出し、レベルに合った本の選び方を教えておくと、休み中の読書が力になる。家で自分から読める本を手元に置くことが大切だ。教える側にとっては、休みの間の読書を「宿題」ではなく楽しめる活動として設計することがポイントになる。

今日からできること

  • 長期休みの前に、自分のレベルに合う英語の本を5〜10冊まとめて用意しておく
  • 授業では休み前に多読用の本を貸し出し、選び方のコツと簡単な記録シートを渡す

確認方法:Crossref(書誌)+OpenAlexの抄録で確認。数字は論文の抄録・本文で確認できたものだけを載せています。

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