まずはこの3つ
- 研究の文は「何を調べ、何が分かり、何はまだ言えないか」で読む
- 睡眠は記憶を定着させる時間。徹夜の詰め込みは逆効果
- 抗生物質は細菌に効き、ウイルスには効かない
このテーマは「主張の強さ」を読むテスト
研究の長文では suggest・may・be associated with(〜と関連がある)が多く、prove(証明する)はまれ。選択肢が「〜が原因だと証明された」と言い切っていたら、本文の言い方より強すぎないかを確かめる。マウスの実験の結果を「人間でも」と広げる選択肢も典型的な誤り。
1入試で狙われる論点(対立する見方)7
- 1睡眠を削る社会受験・仕事・スマホで睡眠が削られる。10代は体内時計が夜型にずれるため、始業時刻を遅らせるべきだという主張がある(米国小児科学会は2014年に中高の始業を8時半以降にと勧告)。反論は部活・家庭の都合など。Sleep is not a waste of time but an investment in learning.睡眠は時間の無駄ではなく、学習への投資だ。
- 2運動と脳運動は体だけでなく気分・集中力・記憶にもよい、とする研究が多い。勉強時間を削って運動する価値があるか、学校の体育の時間を減らしてよいか、という形で論じられる。
- 3ストレスは悪者か短期のストレスは集中力を高め、力を発揮させることもある。長く続く慢性のストレスは心身に害がある。「ストレスをなくす」より「付き合い方」が結論になりやすい。
- 4プラセボ効果をどう扱うか有効成分のない偽薬でも、効くと信じると症状が軽くなることがある。だから新薬の効果は偽薬などと比べて測る。患者をだますことの倫理も論点になる。
- 5薬の使いすぎ抗生物質を必要以上に使うと、薬が効かない耐性菌が生き残って増える。今は便利でも将来の医療を脅かす、という「目先の利益と長期の危険」の型。
- 6個人の自由か、社会の健康か予防接種は本人だけでなく周りの人も守る(集団免疫)。マスクも周りへの感染を減らすとされる。一方で、体に関する決定は本人がすべきだという考えもある。感染症対策の自由と安全の線引き。
- 7遺伝か環境か身長や病気のなりやすさは遺伝と環境の両方で決まる。一卵性と二卵性の双子を比べる双生児研究がよく紹介される。「遺伝だから変えられない」とは限らない、が定番の結論。
2論理の流れの典型
| 型 | 流れ | 設問で狙われる所 |
|---|---|---|
| 研究紹介 | 問い→方法(だれを何人どう調べた)→結果→解釈→限界 | 結果と解釈の区別、限界の内容 |
| 常識をくつがえす | 「脳の10%しか使わない」と言われる→実は… | However・In fact の後 |
| 発見の物語 | 偶然・失敗→発見→最初は認められない→やがて常識に | なぜ認められなかったか |
| 目先と長期 | 今は便利・楽→長く続けると害 | 長期の害の具体例 |
| 仕組みの説明 | 刺激→脳・ホルモンの反応→体の変化 | 因果の順番(並べ替え) |
3必須キーワード:概念で覚える20
英語和訳ひと言
memory consolidation記憶の定着睡眠中に進むとされる
circadian rhythm概日リズム(体内時計)約24時間の周期
sleep deprivation睡眠不足(断眠)deprive A of B=AからBを奪う
REM sleepレム睡眠目がすばやく動く眠り。夢を見やすい
neuroplasticity神経可塑性脳は経験で変わり続ける
hippocampus海馬記憶の形成にかかわる
prefrontal cortex前頭前野計画・判断・自制。10代は発達途中
neurotransmitter神経伝達物質ドーパミン・セロトニンなど
cortisolコルチゾールストレスで出るホルモン
placebo / noceboプラセボ/ノセボノセボ=思い込みで悪くなる
double-blind test二重盲検法患者も医師もどちらが本物か知らない
randomized controlled trialランダム化比較試験無作為に群に分けて比べる
control group対照群比べる基準の群(偽薬・無処置など)
antibiotic resistance抗生物質耐性効かない菌が生き残る
bacteria / virus細菌/ウイルス抗生物質が効くのは細菌だけ
herd immunity集団免疫多くが免疫を持つと広がりにくい
epidemic / pandemic(地域の)流行/世界的大流行pan=全て
healthy life expectancy健康寿命健康上の問題で生活が制限されない期間
sedentary lifestyle座りがちな生活座って過ごす時間が長い生活
nature versus nurture遺伝か環境か生まれか育ちか
4よく紹介される研究・出来事
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 睡眠と脳の掃除 | マウスで、睡眠中に脳の老廃物の排出が進むことが示された(Xie ら 2013)。人間で同じかは研究が続く |
| ロンドンのタクシー運転手 | 複雑な道を覚えた運転手は海馬の後部が大きかった(Maguire ら 2000)。経験が脳を変える可能性を示した例 |
| 運動と海馬 | 高齢者が1年間有酸素運動を続けると、海馬の体積がわずかに増えた(Erickson ら 2011) |
| ペニシリン(1928) | Fleming が、カビの周りで細菌が育たないことに偶然気づいたのが始まり |
| ゼンメルワイスの手洗い | 1840年代、医師の手洗いで産婦の死亡が大きく減ったが、当時は受け入れられなかった |
5英作文で使える一文7
- Getting enough sleep is just as important as studying hard.十分に眠ることは一生懸命勉強するのと同じくらい大切だ。just as〜as で「同じくらい」を強める
- Regular exercise benefits both the body and the mind.定期的な運動は体と心の両方によい。benefit は他動詞で「〜のためになる」
- It is better to prevent illness than to treat it.病気は治すより防ぐ方がよい。予防の論点。It is better to A than to B
- Correlation does not necessarily mean causation.相関は必ずしも因果を意味しない。研究の読み方を論じる時の決め台詞
- Antibiotics should be used only when they are really needed.抗生物質は本当に必要な時だけ使うべきだ。耐性菌の論点
- Mental health deserves as much attention as physical health.心の健康は体の健康と同じくらい注目されるべきだ。deserve=〜に値する
- Too much stress over a long period can damage our health.長期間の過度なストレスは健康を損ないうる。over a long period で慢性に限定
6よくある誤解6
- ✕人間は脳の10%しか使っていない○脳はほぼ全体が何らかの働きをしている画像研究で否定された俗説
- ✕論理的な左脳型・直感的な右脳型の人がいる○機能の偏りはあるが、性格をそう分けられる根拠はない大規模な脳画像研究でも支持されていない
- ✕風邪には抗生物質を飲めば早く治る○風邪の多くはウイルスが原因で、抗生物質は効かない不要な使用は耐性菌を増やす
- ✕プラセボ効果=気のせいで何も変わらない○痛みなどの感じ方は実際に変化しうる。ただし病気の原因そのものを取り除くわけではない効く範囲を正しく言う
- ✕徹夜で詰め込めば翌朝まで覚えていられる○睡眠を削ると記憶の定着も翌日の集中力も落ちる学んだ後の睡眠で記憶が整理される
- ✕マウスで効いた=人間にも効く○動物実験の結果がヒトで再現されないことは多い選択肢の「人間でも証明」に注意
確認テスト
- 1患者も医師も、どちらが本物の薬か知らないようにする試験方法は?正解は double-blind test。期待や思い込みによる偏りを防ぐ
- 2思い込みで逆に体調が悪くなる現象は?正解は nocebo effect。ラテン語 nocere(害する)から
- 3Correlation does not necessarily mean .正解は causation。相関≠因果
- 4Regular exercise both the body and the mind.正解は benefits。benefit O=Oのためになる
- 5「研究は睡眠不足と肥満の関連を示した」から言えるのは?正解は 両者に関連がある。be associated with=関連がある
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