まずはこの3つ
- AIは仕事を丸ごとより「作業(task)」単位で置きかえる
- SNSと心の健康は「相関か因果か」で研究者も論争中
- 結論の定番は「技術は使い方次第。人間の判断が要る」
このテーマは「人間にしかできないことは何か」に行き着く
AIの長文は、機械ができることを並べた後、「では人間の役割は何か」という問いで終わることが多い。共感・判断の責任・問いを立てる力などが答えになりやすい。SNSの長文は「つながるための道具が孤立を生む」という逆説(パラドックス)が定番。
1入試で狙われる論点(対立する見方)7
- 1AIは仕事を奪うか見方A:多くの仕事が自動化される。見方B:過去の技術革新と同じく、なくなる仕事と生まれる仕事がある。多くの仕事は丸ごとではなく一部の作業が置きかわる、が今の主流の見方。AI is more likely to change jobs than to replace them entirely.AIは仕事を丸ごと置きかえるより、仕事を変える可能性が高い。
- 2生成AIと考える力賛:調べものや下書きが速くなり、一人ひとりに合った学習ができる。否:自分で考え書く力が落ちる、もっともらしい誤り(hallucination)をうのみにする、不正利用。AI should be a tool for thinking, not a substitute for it.AIは考えるための道具であるべきで、考えることの代わりではない。
- 3AIの判断は公平か人間の偏見から自由だという期待と、学習データに含まれる偏りをそのまま再現する(algorithmic bias)という懸念。判断の理由が説明できない「ブラックボックス」問題もある。
- 4だれが責任を負うか自動運転の事故やAIの誤診はだれの責任か。開発者・利用者・企業・AIそのもの?法律が技術に追いついていない、という形で論じられる。
- 5SNSと心の健康見方A:若者の不安やうつの増加とスマホの普及が重なり、SNSが原因だと主張する研究者がいる。見方B:多くは相関の研究で、影響は小さい・人による、と反論する研究者もいる。
- 6表現の自由か、規制か偽情報やヘイトを減らすため、国や企業が投稿を削除すべきか。削除は表現の自由を脅かす、だれが真偽を決めるのか、という反論がある。線引きが論点。
- 7便利さとプライバシー無料のサービスの代わりに個人データを差し出している(あなたが商品だ)という見方。おすすめ機能の便利さと、行動を監視・予測される不安が天秤にかけられる。
2論理の流れの典型
| 型 | 流れ | 設問で狙われる所 |
|---|---|---|
| 歴史の繰り返し | 印刷・電話・テレビも「人をダメにする」と恐れられた→今回は? | 今回は同じか違うかの筆者の判断 |
| 逆説 | つながる道具なのに孤独が増える/情報が増えたのに偏る | なぜそうなるかの説明部分 |
| 利点→危険→条件 | 便利さ→代償→使い方次第 | 条件(if・as long as)の中身 |
| 機械と人間の比較 | AIが得意なこと→苦手なこと→人間の役割 | 人間に残る能力として挙がるもの |
| 仕組みの解説 | アルゴリズムが好みを学ぶ→似た情報ばかり届く→意見が偏る | 因果の順番 |
3必須キーワード:概念で覚える20
英語和訳ひと言
machine learning機械学習データからパターンを学ぶ
large language model (LLM)大規模言語モデル次に来る語(トークン)を予測して文を作る
hallucination(AIの)もっともらしい誤り元は「幻覚」
training data学習データ偏りがあれば結果も偏る
algorithmic biasアルゴリズムの偏り採用・融資などの差別につながる
black boxブラックボックス中身・理由が見えない
automation自動化職業より作業(task)単位で進みやすい
reskilling学び直し(新しい技能の習得)upskilling=技能の向上
filter bubbleフィルターバブル好みの情報の泡に閉じこもる
echo chamberエコーチェンバー同じ意見が反響し強まる場
attention economy関心(注目)経済人の注意時間を奪い合う
misinformation / disinformation誤情報/偽情報dis- は意図的なうそ
deepfakeディープフェイクAIで顔・声を合成した偽の映像・音声
digital footprintデジタル上の足跡ネットに残る行動の記録
surveillance監視仏語 sur(上から)+veiller(見張る)
the digital divideデジタル格差機器・ネット・使う力の差
media literacyメディアリテラシー情報を批判的に読み解く力
cyberbullyingネットいじめ時と場所を選ばず続き、逃げにくい
the right to be forgotten忘れられる権利EU の司法裁判所が2014年に認めた
the Turing testチューリング・テスト会話で人間と区別できるか(1950)
4押さえたい研究と事実
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 仕事の自動化の推計 | 米国の雇用の47%が高リスクとする推計(Frey & Osborne 2013)と、作業単位で見ると OECD 諸国で約9%とする推計(Arntz ら 2016)。方法で大きく変わる |
| モラベックのパラドックス | AIには高度な計算は簡単で、歩く・物をつかむなど子どもにできることが難しい |
| 中国語の部屋 | 規則どおりに記号を操作できても「意味を理解している」とは言えない、という思考実験(Searle 1980) |
| フィルターバブル | Eli Pariser が2011年の著書で広めた言葉 |
| GDPR | EU の一般データ保護規則(2018年施行)。個人データの扱いに厳しい規則 |
5英作文で使える一文7
- Technology itself is neither good nor bad; it depends on how we use it.技術そのものは善でも悪でもなく、使い方次第だ。結論の万能文。neither A nor B
- We should not blindly trust information we find online.ネットで見つけた情報をうのみにすべきではない。blindly=やみくもに
- Social media allows us to stay in touch with people far away.SNSのおかげで遠くの人とも連絡を取り合える。利点側。allow O to do
- Spending too much time online can harm our sleep and concentration.ネットに時間を使いすぎると睡眠と集中力が損なわれうる。can で「〜しうる」とやわらげる
- Humans should make the final decision, not machines.最終的な判断を下すのは機械ではなく人間であるべきだ。責任の論点。make a decision
- Schools should teach students how to tell fact from opinion.学校は事実と意見を見分ける方法を教えるべきだ。tell A from B=AとBを見分ける
- Convenience often comes at the cost of privacy.便利さはしばしばプライバシーを犠牲にして手に入る。at the cost of=〜を犠牲にして
6よくある誤解6
- ✕生成AIは人間のように意味を理解して答えている○大量のデータから、ありそうな答えを予測して出しているだから自信満々に誤ることがある
- ✕AIはデータで判断するから中立だ○データに含まれる人間の偏りを学んでしまうbiased data, biased results
- ✕スマホを使う若者に不安が多い→スマホが原因○相関だけでは因果は言えない不安な人がスマホに向かう逆の因果もありうる
- ✕デジタルネイティブは情報を見抜くのが得意○機器の操作に慣れていることと、情報の真偽を見抜く力は別だからリテラシー教育が必要という論
- ✕フェイクニュースは信じる人が悪いだけ○感情を動かす情報ほど広まりやすい仕組みの問題もある個人の責任と仕組みの責任の両方
- ✕デジタル格差=機器を持っているかどうか○ネット環境・使いこなす力・年齢などの差も含む持っていても使いこなせない差もある
読むときの注意:「新技術への不安」は昔からある
書き言葉は記憶力を弱める(古代ギリシャのプラトンの対話篇)、小説は若者を堕落させる、テレビは子どもをダメにする…新しい技術は繰り返し恐れられてきた。長文がこの歴史を出したら、「今回も同じだ」か「今回は違う」か、筆者がどちらに立つかを追う。
確認テスト
- 1AIがもっともらしい誤った情報を作ることを何と呼ぶ?正解は hallucination。元の意味は「幻覚」
- 2意図的に流されるうその情報は?正解は disinformation。mis- は意図を問わない誤り
- 3Schools should teach students how to tell fact opinion.正解は from。tell A from B
- 4Convenience often comes at the of privacy.正解は cost。at the cost of=〜を犠牲にして
- 5仕事の自動化の推計が研究で大きく違う主な理由は?正解は 職業単位か作業単位かで数え方が違う。仕事より作業が置きかわる
背景知識:AI・SNSを一覧にまとめ、A4 2枚で印刷できる無料PDFにしました。Web版は赤シート・覚えたチェック・カード・4択テストつき。