ことわざ・教養・背景知識No.338確認問題集あり

背景知識チートシート:環境問題(気候変動・SDGs・生物多様性)

環境の長文は「問題→原因→対策→対策の限界」で進む。対立軸を知れば、筆者の結論が先に読める。

背景知識チートシート:環境問題(気候変動・SDGs・生物多様性) の1ページ目

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まずはこの3つ

  1. 対策は「緩和(減らす)」と「適応(備える)」の2本立て
  2. 論点は「個人の努力か、制度・企業か」「成長と両立できるか」
  3. 天気(weather)と気候(climate)を混ぜる議論は誤り
このテーマの長文は「対策の限界」で終わる

環境の長文は、問題を示して終わりではない。多くは「よさそうな対策(リサイクル・植林・エコ商品)にも落とし穴がある」と一段深く掘り、「だから仕組みごと変える必要がある」という結論に着地する。However・Yet の後に出る「対策の限界」が設問の的になりやすい。

1入試で狙われる論点(対立する見方)7

  1. 1個人か、制度か
    見方A:一人ひとりの節電・マイバッグが積み重なる。見方B:個人の努力には限界があり、炭素税・規制・企業の脱炭素など社会の仕組みを変えるべき。両方必要が結論になりやすい。
    Individual actions matter, but they are not enough without policy changes.個人の行動は大切だが、政策の変化がなければ十分ではない。
  2. 2成長と環境は両立するか
    見方A:技術革新で、経済成長しながら排出を減らせる(デカップリング=切り離し)。見方B:豊かな国の消費そのものを減らさない限り無理(脱成長)。
    Can we grow the economy while cutting emissions?排出を減らしながら経済を成長させられるのか。
  3. 3だれが負担すべきか
    先進国は過去に大量に排出してきた。途上国はこれから豊かになる権利を主張する。「共通だが差異ある責任」と、被害を受けやすい国を救う「気候の公正(climate justice)」が論点。
  4. 4緩和か、適応か
    緩和(mitigation)=排出を減らす根本対策。適応(adaptation)=堤防・暑さに強い作物など被害に備える。すでに温暖化が進んでいるため「両方必要」が今の主流。
  5. 5原子力・再エネをどう見るか
    太陽光・風力は発電中に CO2 を出さないが天候で発電量が変わり、蓄電が課題。原子力は発電中に CO2 を出さず安定するが、事故の危険と放射性廃棄物が課題。完璧な電源はない、が出発点。
  6. 6自然を守る理由
    人間中心:受粉・水の浄化など自然の恵み(生態系サービス)が失われると人間が困る。自然中心:生き物にはそれ自体の価値がある。長文は前者の「役に立つから守る」論が多い。
  7. 7「エコ」は本当にエコか
    エコバッグも何度も使わなければ、レジ袋より環境負荷が大きいことがある。効率が上がると使用量が増える「リバウンド効果」、見せかけの環境配慮「グリーンウォッシュ」も定番。

2論理の流れの典型

型流れ設問で狙われる所
問題→解決現状のデータ→原因→対策の提案提案の should・need to
常識をくつがえす「〜は環境にやさしい」と思われている→実は…However の後の新しい見方
コモンズの悲劇各自が得をしようとする→共有資源が尽きる→ルールが必要なぜ個人の善意では足りないか
連鎖ある種が減る→食べる側・食べられる側に波及→生態系が崩れる因果の順番(並べ替え問題)
賛否の比較対策の利点→欠点→条件つきの結論最終段落の筆者の立場

3必須キーワード:概念で覚える20

英語和訳ひと言
the greenhouse effect温室効果それ自体は地球を暖かく保つ自然現象
carbon neutral / net zeroカーボンニュートラル/実質ゼロ出す量−吸収量=ゼロ。ほぼ同じ意味で使われる
carbon sink炭素の吸収源森林・海・土壌
tipping point転換点超えると急変し、元に戻りにくくなる境目
feedback loopフィードバック(循環)氷が溶ける→反射が減る→さらに暖まる
mitigation / adaptation緩和/適応減らす/備える
carbon footprintカーボンフットプリント生活・製品が出す温室効果ガスの総量(CO2換算)
carbon tax炭素税排出に値段をつけて減らす
emissions trading排出量取引排出枠を売買する仕組み
decouplingデカップリング成長と排出の切り離し
the tragedy of the commonsコモンズ(共有地)の悲劇Hardin(1968)の論文で有名
ecosystem services生態系サービス受粉・水の浄化など自然の恵み
keystone speciesキーストーン種数は少なくても生態系への影響が特に大きい種
habitat fragmentation生息地の分断道路・開発で住みかが細切れに
sustainable development持続可能な開発将来世代の必要を損なわない開発
circular economy循環型経済捨てずに資源を回し続ける
greenwashingグリーンウォッシュ見せかけの環境配慮
rebound effectリバウンド効果省エネで浮いた分、かえって多く使う
environmental refugee環境難民※法的な「難民」の定義には含まれない
intergenerational equity世代間の公平将来世代へのつけ回しの問題

4制度と数字:確かなものだけ

項目中身
京都議定書(1997)先進国に排出削減を義務づけた
パリ協定(2015)気温上昇を産業革命前から2℃より十分低く、1.5℃に抑える努力。全ての国が目標を出す
SDGs(2015採択)国連の持続可能な開発目標。17の目標、期限は2030年。環境だけでなく貧困・教育・ジェンダーも含む
IPCC気候変動に関する政府間パネル。研究を評価して報告書にまとめる国連の組織
現在の温暖化2011〜2020年の世界の平均気温は1850〜1900年より約1.1℃高い(IPCC 第6次報告書)
モントリオール議定書(1987)オゾン層を壊すフロンを規制。国際協力の成功例として長文に出やすい

5英作文で使える一文7

  • Climate change is a global problem that no country can solve alone.
    気候変動はどの国も単独では解決できない地球規模の問題だ。
    導入の定番。no country can〜で強く言える
  • Reducing waste is more effective than recycling it.
    ごみを減らす方がリサイクルするより効果的だ。
    3R は Reduce → Reuse → Recycle の順に優先
  • Governments should make eco-friendly choices cheaper and easier.
    政府は環境にやさしい選択を安く簡単にすべきだ。
    「個人か制度か」で制度側に立つ一文
  • Small changes in our daily lives can add up.
    日々の小さな変化も積み重なれば大きくなる。
    add up=積み重なる。個人側に立つ一文
  • We should not leave the costs to future generations.
    費用を将来の世代に押しつけるべきではない。
    世代間の公平。leave A to B
  • Protecting biodiversity is also about protecting ourselves.
    生物多様性を守ることは私たち自身を守ることでもある。
    生態系サービスの論点をひと言で
  • Economic growth and environmental protection do not have to conflict.
    経済成長と環境保護は対立するとは限らない。
    do not have to=〜とは限らない/必要はない

6よくある誤解6

  • ✕今年の冬は寒いから温暖化はうそだ
    ○1年・1地域の天気と、長期の平均である気候は別
    weather は日々の天気、climate は30年ほどの平均
  • ✕オゾンホールが地球温暖化の原因
    ○オゾン層の破壊と温暖化は別の問題
    前者は紫外線、後者は温室効果ガスの話
  • ✕温室効果は悪いもの
    ○温室効果がなければ地球は凍える。問題は強まりすぎること
    enhanced(強化された)温室効果が問題
  • ✕「生分解性プラ」ならどこでも土に還る
    ○多くは高温などの条件が必要で、海では分解しにくいものもある
    名前だけで判断しない、が長文の論点
  • ✕木を植えれば排出しても帳消し
    ○植林は吸収まで時間がかかり、森林火災などで戻ることもある
    まず排出を減らす(緩和)が基本
  • ✕SDGs は環境だけの目標
    ○貧困・飢餓・教育・ジェンダー・平和なども含む17目標
    環境・社会・経済の3つをつなぐ考え方
読むときの注意:数字と言い切り

長文では may・could・is likely to など可能性の表現で予測が語られる。選択肢が will・always で言い切っていたら疑う。また「〜%の科学者が同意」などの数字は、何を数えた数字かで意味が変わる。

確認テスト

  1. 1
    堤防を高くする・暑さに強い品種を作るなどの対策は?
  2. 2
    共有の牧草地が各自の利益追求で荒れ果てる、という考えは?
  3. 3
    Small changes in our daily lives can up.
  4. 4
    環境に配慮しているように見せかける宣伝は?
  5. 5
    燃費のよい車に替えた人が、前より多く運転するようになる現象は?

参考にした資料

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