まずはこの3つ
- 音読するのは、意味と構造が分かった英文だけ
- 先に音声を聞き、まねて読む。自己流の発音で回数を稼がない
- ゴールは黙読が速くなること。成果は黙読で測る
なぜ音読で速くなる?
読む速さを支える大きな要因の1つは、語を見た瞬間に意味が分かる「自動化」だ(LaBerge & Samuels 1974)。同じ英文をくり返し読むと読みの流暢さが上がることは、母語の読みの研究で古くから示されてきた(repeated reading:Samuels 1979)。英語学習者でも、音声を聞きながら同じ英文をくり返し読む練習で、黙読の速さが多読と同じくらい伸びたという研究がある(Taguchi, Takayasu-Maass & Gorsuch 2004)。
研究で確かな所・言い過ぎの所
音読の効果は「何の力が伸びるか」で分けて考える。
| よく言われること | 判定 | 根拠・注意 |
|---|---|---|
| 同じ英文をくり返し読むと流暢になる | あり | repeated reading の研究(Samuels 1979 など) |
| 音声つきのくり返し読みで黙読が速くなる | あり | 英語学習者の研究(Taguchi et al. 2004) |
| 声に出すと覚えやすい | 条件つき | 産出効果(MacLeod et al. 2010)。単語リストの実験が中心 |
| シャドーイングで聞き取りが伸びる | あり | 音を聞き分ける力に効く(Hamada 2016 など) |
| 意味が分からない英文でも音読すれば読める | 根拠なし | 意味と音が結びつかない |
| 脳が活発に働くから英語力が上がる | 飛躍 | 脳の活動の大きさと、力の伸びは別の話 |
1本の英文でやる音読の手順6
素材は解き終えた長文(音声つき)。回数は目安。
- 1精読でほぼ分かる状態に構文・語の意味・指示語を確認。分からない所が多い英文は、まだ音読しない。
- 2モデル音声を2〜3回聞く区切り(ポーズ)に/、強く読む語に印。自己流の発音で読み始めない。
- 3音声と同時に読むオーバーラッピング。音声に遅れる所は、発音か意味の処理がまだ遅い所。3〜5回。
- 4自分で音読する意味のかたまりごとに、内容を思い浮かべながら。慣れたら少しずつ速く。5〜10回。
- 5リード&ルックアップ1文(長ければ1かたまり)を見て、顔を上げて言う。英語の語順のまま意味を保つ練習。
- 6最後は黙読で時間を計る語数÷かかった秒数×60でWPMを出す。音読前より速く、意味が先に浮かぶようになっていれば成功。※本当の伸びは初見の英文でも測る。
似た練習の違い
名前が似ていても、伸びる力が違う。目的で使い分ける。
| 練習 | 文字 | 音声 | 主に伸びる力 |
|---|---|---|---|
| 音読 | 見る | 先に聞いておく | 英語の語順での処理・読む速さ |
| オーバーラッピング | 見る | 同時に読む | 音と文字の結びつき・ペース |
| シャドーイング | 見ない | 少し遅れて追う | 聞き取り(音の処理) |
| リード&ルックアップ | 1文見て離す | 使わない | 文を意味のまま保つ力・話す力 |
| リピーティング | 見ない | 区切りで止めて言う | 聞き取り・文を覚えておく力 |
音読用の印のつけ方
モデル音声を聞きながら、本文に直接書きこむ。
| 印 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| / | 意味の区切り(ポーズ) | After school, / I usually go / to the library. |
| 太字 | 強く読む語(内容語) | I want to visit Kyoto in spring. |
| ‿ | 音がつながる所 | check‿it‿out / an‿apple |
| ( ) | 弱く・ほとんど聞こえない音 | wan(t) to / goo(d) job / tell(h)im |
| ↗ ↘ | 文末の上げ・下げ | Are you ready?↗ / What time is it?↘ |
効果を上げる6つのコツ6
- 1意味を思い浮かべて読む口だけ動いて内容が頭にない「空読み」では、読む力の練習にならない。場面や主張をイメージしながら読む。
- 2意味のかたまりで区切る前置詞・接続詞・関係詞の前で軽く区切ると、英語の語順で意味を取る練習になる(→スラッシュリーディング)。The students / who joined the program / improved their scores / within a month.その講座に参加した学生は、1か月以内に点数を上げた。
- 31日に詰めず、日を分ける同じ英文を1日に30回より、数日に分けて読むほうが定着しやすい(分散学習の考え方)。回数より、意味を保ってスラスラ読めるまでが目安。
- 4正確さ→速さの順最初は音声に合わせて正確に。言えるようになったらモデル音声の速さに近づける。いきなり速く読むと発音が崩れる。
- 5素材は解き終えた長文精読と答え合わせが済んだ英文なら、復習と音読を一度にできる。教科書・共通テスト・模試の音声つき英文がよい。
- 6目的に合わせて練習を選ぶ読む速さが目的なら音読とくり返し読み、聞き取りが目的ならシャドーイング。1つの練習で全部を伸ばそうとしない。
音読は「戻れない読み」
声は前にしか進めない。だから音読は、後ろから訳し上げずに英語の語順のまま意味を取る練習にしやすい(意味を考えずに声だけ出す「空読み」では効果がない)。黙読で返り読みが多い人ほど、意味の分かった英文での音読が、前から読むくせをつける練習になる。
1週間メニューの例(1日15分)
同じ英文を日を空けて回す一例。2本目は2日目から重ねて始める。
| 日 | やること |
|---|---|
| 1日目 | 精読→音声を聞いて印→オーバーラッピング |
| 2日目 | オーバーラッピング→自分で音読 |
| 4日目 | 音読→リード&ルックアップ |
| 7日目 | 音読数回→黙読でWPMを測る |
その音読、効いていない5
- ✕意味が分からないまま、とにかく音読○精読で全部分かってから音読意味と音が結びつかず、口の運動で終わる
- ✕音声を聞かずに自己流の発音で100回○モデル音声を聞いてから、まねて読む誤った音を固めると聞き取りにも悪影響
- ✕毎日新しい英文を1回ずつ音読○同じ英文を日を分けてくり返すくり返しで処理が自動化する
- ✕音読の回数だけを記録する○初見の英文も含め、黙読のWPMと理解度を記録する目的は試験中の黙読を速くすること
- ✕シャドーイングだけで長文の速さを上げようとする○読む速さには音読とくり返し読みシャドーイングは主に聞き取りの練習
確認テスト
- 1音読を始める前に必ずやることは?正解は 精読で意味と構造を確認。分からない英文は音読しない
- 2文字を見ずに、音声に少し遅れて追う練習は?正解は シャドーイング。主に聞き取りに効く
- 3音読の成果を確かめるのに最も適した方法は?正解は 黙読のWPMと理解度を測る。ゴールは黙読を速くすること
- 4同じ英文を30回読むなら?正解は 数日に分ける。分散させたほうが定着しやすい
- 5I didn't say she took it. で she を強く読むと、どんな意味になる?正解は 取ったのが彼女だとは言っていない(別の人かも)。強く読む語が否定の焦点
参考にした資料
- Samuels, S. J. (1979). The method of repeated readings. The Reading Teacher, 32(4)
- Taguchi, E., Takayasu-Maass, M. & Gorsuch, G. J. (2004). Developing reading fluency in EFL: How assisted repeated reading and extensive reading affect fluency development. Reading in a Foreign Language, 16(2)
- LaBerge, D. & Samuels, S. J. (1974). Toward a theory of automatic information processing in reading. Cognitive Psychology, 6(2)
- MacLeod, C. M., Gopie, N., Hourihan, K. L., Neary, K. R. & Ozubko, J. D. (2010). The production effect: Delineation of a phenomenon. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 36(3)
- Hamada, Y. (2016). Shadowing: Who benefits and how? Uncovering a booming EFL teaching technique for listening comprehension. Language Teaching Research, 20(1)
- 原田英語「【科学が証明】英語音読の効果と正しいやり方」
音読のやり方を一覧にまとめ、A4 2枚で印刷できる無料PDFにしました。Web版は赤シート・覚えたチェック・カード・4択テストつき。