単語暗記の科学(間隔反復・テスト効果)

「見る」より「思い出す」、「まとめて」より「間をあけて」。研究で裏づけのある暗記法を、単語帳の回し方に落とし込む。

単語暗記の科学(間隔反復・テスト効果) の1ページ目

印刷用PDFA4 2枚・351KB・□チェック欄つき

まずはこの3つ

  1. 単語帳は眺めず、隠して思い出す(テスト効果)
  2. 同じ日に何度もより、日をあけて何度も(分散学習)
  3. 覚えたら寝る。徹夜の暗記は損(睡眠と記憶)
まず知っておく:人は忘れる生き物

19世紀のエビングハウスの実験以来、覚えた内容は最初の数日で急速に忘れ、その後ゆるやかになることが知られている(忘却曲線)。だから1回覚えただけでは長くは残りにくい。忘れかけた頃に思い出し直すことで、記憶は長持ちする。

研究で効くとわかっている暗記法8

  1. 1テスト効果
    読み直すより、思い出すテストをした方が1週間後によく覚えていた(Roediger & Karpicke 2006)。直後のテストでは読み直しが勝つので、効果を実感しにくいのが落とし穴。
    Cover the translation and say the meaning first.和訳を隠して、先に意味を言う。
  2. 2覚えた後も思い出し続ける
    外国語の単語ペアの実験で、一度言えた語もテストし続けた群は1週間後の成績が高く、テストをやめて読み直しだけにすると大きく下がった(Karpicke & Roediger 2008)。
  3. 3分散学習
    同じ回数なら、一度にまとめるより間をあけて学ぶ方が長く残る。多くの研究をまとめた分析で確かめられている(Cepeda et al. 2006)。
  4. 4間隔は試験日から逆算
    最適な復習の間隔は、覚えておきたい期間によって変わる。長く覚えたいほど、復習の間隔も広げるのがよい(Cepeda et al. 2008)。
  5. 5覚えたら眠る
    睡眠が記憶の定着を助けることは多くの研究で示されている(Diekelmann & Born 2010)。高校生の単語学習では、学習後数時間以内に眠った方がよく思い出せた(Gais et al. 2006)。
  6. 6混ぜて練習する
    似た種類の問題を混ぜて練習する(インターリーブ)と、見分ける力がつく。絵画の画風を学ぶ実験では、まとめて見るより混ぜて見る方が成績がよかった(Kornell & Bjork 2008)。
  7. 7自分で作ると残る
    答えをただ読むより、自分で答えを作り出した方が覚えやすい(生成効果、Slamecka & Graf 1978)。訳を見る前に意味を推測する、例文を自作するのはこの応用。
  8. 8声に出すと残る
    黙読より声に出して読んだ語の方がよく覚えていた(プロダクション効果、MacLeod et al. 2010)。単語は発音しながら覚える。

勉強法の「効く度」判定

学習法の研究を総まとめした評価(Dunlosky et al. 2013)

評価学習法
高い練習テスト(思い出す)・分散学習
中くらい「なぜ?」と問う・自分に説明する・混ぜて練習
低い要約・線を引く・キーワード法・文章のイメージ化・読み直し
目から鱗:「わかった感」は当てにならない

Kornell & Bjork(2008)の実験では、混ぜて学んだ方が成績がよかったのに、多くの人は「まとめて学ぶ方が効いた(か同じ)」と感じていた。スラスラ読める=覚えた、ではない。思い出すのに少し苦労するくらいが、記憶にはちょうどいい。

単語帳の1日の回し方5

  1. 1
    隠して3秒英語を見て、3秒以内に意味が出なければ「×」。迷ったら×でいい。
  2. 2
    ×だけ発音して確認×の語は発音しながら意味・例文を確認する。○の語は飛ばす。
  3. 3
    ×だけもう一周その日のうちに×の語だけをもう一度テスト。
  4. 4
    寝る前に×を1回その日の×を寝る前に1回だけ見直して寝る。
  5. 5
    翌朝テスト前日の語を朝に全部テスト(特に×だった語)。言えれば間隔を広げる。

復習スケジュールの目安

研究の結論「間をあけて、少しずつ広げる」を形にした一例

回タイミングやること
1回目覚えた日隠してテスト・×だけ再テスト
2回目翌日全部テスト
3回目3日後×だった語を中心に
4回目1週間後全部テスト
5回目2〜4週間後全部テスト。言えた語は次の間隔をさらに広げる

やりがちなNG暗記6

  • ✕単語帳をパラパラ眺める
    ○意味を隠して思い出す
    眺めるだけは「読み直し」。効く度は低い。
  • ✕1つの語を10回書く
    ○1回書いたら隠して思い出す
    書く回数より、思い出す回数が記憶を強める。
  • ✕試験前日に一気に詰める
    ○毎日少しずつ、日をあけて
    詰め込みは直後は覚えていても、長くは残りにくい。
  • ✕睡眠を削って暗記
    ○覚えたら眠る
    睡眠は記憶の定着を助ける。
  • ✕マーカーで色分けして満足
    ○色分けの時間をテストに回す
    線を引くことの効果は研究で低い評価。
  • ✕訳語1つだけを覚える
    ○例文ごと・発音ごと覚える
    文脈と音があると思い出す手がかりが増える。

確認テスト

  1. 1
    読み直すより、思い出す練習をした方が長く覚えている現象を という。
  2. 2
    同じ回数なら、まとめて学ぶより間をあけて学ぶ方が長く残る。これを という。
  3. 3
    覚えておきたい期間が長いほど、復習の間隔は のがよい。
  4. 4
    Dunlosky et al. 2013 で効く度が「低い」とされたのはどれ?
  5. 5
    声に出して読んだ語の方がよく覚えている現象を という。

参考にした資料

暗記の科学を一覧にまとめ、A4 2枚で印刷できる無料PDFにしました。Web版は赤シート・覚えたチェック・カード・4択テストつき。

印刷して、持ち歩こう。

A4 2枚・351KB。□のチェック欄つきで、通学中や試験直前の見直しに。

PDFをダウンロード

このシートが入っているルート

あわせて印刷したいシート

原田英語の無料アプリで練習

PDF(2枚)