まずはこの3つ
- 単語帳は眺めず、隠して思い出す(テスト効果)
- 同じ日に何度もより、日をあけて何度も(分散学習)
- 覚えたら寝る。徹夜の暗記は損(睡眠と記憶)
まず知っておく:人は忘れる生き物
19世紀のエビングハウスの実験以来、覚えた内容は最初の数日で急速に忘れ、その後ゆるやかになることが知られている(忘却曲線)。だから1回覚えただけでは長くは残りにくい。忘れかけた頃に思い出し直すことで、記憶は長持ちする。
研究で効くとわかっている暗記法8
- 1テスト効果読み直すより、思い出すテストをした方が1週間後によく覚えていた(Roediger & Karpicke 2006)。直後のテストでは読み直しが勝つので、効果を実感しにくいのが落とし穴。Cover the translation and say the meaning first.和訳を隠して、先に意味を言う。
- 2覚えた後も思い出し続ける外国語の単語ペアの実験で、一度言えた語もテストし続けた群は1週間後の成績が高く、テストをやめて読み直しだけにすると大きく下がった(Karpicke & Roediger 2008)。
- 3分散学習同じ回数なら、一度にまとめるより間をあけて学ぶ方が長く残る。多くの研究をまとめた分析で確かめられている(Cepeda et al. 2006)。
- 4間隔は試験日から逆算最適な復習の間隔は、覚えておきたい期間によって変わる。長く覚えたいほど、復習の間隔も広げるのがよい(Cepeda et al. 2008)。
- 5覚えたら眠る睡眠が記憶の定着を助けることは多くの研究で示されている(Diekelmann & Born 2010)。高校生の単語学習では、学習後数時間以内に眠った方がよく思い出せた(Gais et al. 2006)。
- 6混ぜて練習する似た種類の問題を混ぜて練習する(インターリーブ)と、見分ける力がつく。絵画の画風を学ぶ実験では、まとめて見るより混ぜて見る方が成績がよかった(Kornell & Bjork 2008)。
- 7自分で作ると残る答えをただ読むより、自分で答えを作り出した方が覚えやすい(生成効果、Slamecka & Graf 1978)。訳を見る前に意味を推測する、例文を自作するのはこの応用。
- 8声に出すと残る黙読より声に出して読んだ語の方がよく覚えていた(プロダクション効果、MacLeod et al. 2010)。単語は発音しながら覚える。
勉強法の「効く度」判定
学習法の研究を総まとめした評価(Dunlosky et al. 2013)
| 評価 | 学習法 |
|---|---|
| 高い | 練習テスト(思い出す)・分散学習 |
| 中くらい | 「なぜ?」と問う・自分に説明する・混ぜて練習 |
| 低い | 要約・線を引く・キーワード法・文章のイメージ化・読み直し |
目から鱗:「わかった感」は当てにならない
Kornell & Bjork(2008)の実験では、混ぜて学んだ方が成績がよかったのに、多くの人は「まとめて学ぶ方が効いた(か同じ)」と感じていた。スラスラ読める=覚えた、ではない。思い出すのに少し苦労するくらいが、記憶にはちょうどいい。
単語帳の1日の回し方5
- 1隠して3秒英語を見て、3秒以内に意味が出なければ「×」。迷ったら×でいい。
- 2×だけ発音して確認×の語は発音しながら意味・例文を確認する。○の語は飛ばす。
- 3×だけもう一周その日のうちに×の語だけをもう一度テスト。
- 4寝る前に×を1回その日の×を寝る前に1回だけ見直して寝る。
- 5翌朝テスト前日の語を朝に全部テスト(特に×だった語)。言えれば間隔を広げる。
復習スケジュールの目安
研究の結論「間をあけて、少しずつ広げる」を形にした一例
| 回 | タイミング | やること |
|---|---|---|
| 1回目 | 覚えた日 | 隠してテスト・×だけ再テスト |
| 2回目 | 翌日 | 全部テスト |
| 3回目 | 3日後 | ×だった語を中心に |
| 4回目 | 1週間後 | 全部テスト |
| 5回目 | 2〜4週間後 | 全部テスト。言えた語は次の間隔をさらに広げる |
やりがちなNG暗記6
- ✕単語帳をパラパラ眺める○意味を隠して思い出す眺めるだけは「読み直し」。効く度は低い。
- ✕1つの語を10回書く○1回書いたら隠して思い出す書く回数より、思い出す回数が記憶を強める。
- ✕試験前日に一気に詰める○毎日少しずつ、日をあけて詰め込みは直後は覚えていても、長くは残りにくい。
- ✕睡眠を削って暗記○覚えたら眠る睡眠は記憶の定着を助ける。
- ✕マーカーで色分けして満足○色分けの時間をテストに回す線を引くことの効果は研究で低い評価。
- ✕訳語1つだけを覚える○例文ごと・発音ごと覚える文脈と音があると思い出す手がかりが増える。
確認テスト
- 1読み直すより、思い出す練習をした方が長く覚えている現象を という。正解は テスト効果。Roediger & Karpicke 2006
- 2同じ回数なら、まとめて学ぶより間をあけて学ぶ方が長く残る。これを という。正解は 分散学習。Cepeda et al. 2006 の総まとめ
- 3覚えておきたい期間が長いほど、復習の間隔は のがよい。正解は 広げる。Cepeda et al. 2008
- 4Dunlosky et al. 2013 で効く度が「低い」とされたのはどれ?正解は 読み直し。線を引く・要約も低い評価
- 5声に出して読んだ語の方がよく覚えている現象を という。正解は プロダクション効果。MacLeod et al. 2010
参考にした資料
- Roediger & Karpicke (2006) Test-Enhanced Learning. Psychological Science
- Karpicke & Roediger (2008) The Critical Importance of Retrieval for Learning. Science
- Cepeda et al. (2006) Distributed practice in verbal recall tasks. Psychological Bulletin
- Cepeda et al. (2008) Spacing Effects in Learning. Psychological Science
- Dunlosky et al. (2013) Improving Students' Learning With Effective Learning Techniques
- Diekelmann & Born (2010) The memory function of sleep. Nature Reviews Neuroscience
- Gais, Lucas & Born (2006) Sleep after learning aids memory recall. Learning & Memory
- Kornell & Bjork (2008) Learning Concepts and Categories. Psychological Science
- Slamecka & Graf (1978) The generation effect
- MacLeod et al. (2010) The production effect
- 原田英語「英単語の覚え方|科学的に効率がいい暗記法3つ」
暗記の科学を一覧にまとめ、A4 2枚で印刷できる無料PDFにしました。Web版は赤シート・覚えたチェック・カード・4択テストつき。