まずはこの3つ
- 勉強中は別の部屋へ。手の届く所に置かない
- 通知は勉強に必要な物以外すべてオフ
- 使う時間は「先に」決める。寝る前1時間は画面を見ない
我慢より、仕組みで距離を取る
多くの SNS やゲームのアプリは、つい開きたくなるように作られている。「見ないように頑張る」は、見ないことに注意を使い続けることでもある。だから意志の力ではなく、置き場所と設定で勝つ。スマホが遠くにあれば、見ないための我慢そのものがいらなくなる。
研究でわかっていること4
- 1近くにあるだけで影響?スマホを別の部屋に置いた学生は、机の上に置いた学生より、作業記憶などのテストの成績が良かった(Ward ほか, 2017)。
- 2ただし追試では結果が割れる同じ方法で確かめ直した研究では、はっきりした差が見られなかった(Ruiz Pardo & Minda, 2022)。「必ず成績が下がる」とまでは言えない。
- 3通知が来るだけで気が散る課題中に通知の音や振動を受けた人は、スマホを見なかったとしてもミスが増えた(Stothart ほか, 2015)。
- 4寝る前の長い画面は眠りを遅らせる寝る前に約4時間、光る端末で読書した人(5夜連続)は、紙の本の人より寝つきが遅く、翌朝の眠気も強かった(Chang ほか, 2015。参加者12人)。
今日からやる設定
| 設定 | やり方の例 | ねらい |
|---|---|---|
| 通知をオフ | SNS・ゲーム・動画アプリの通知を切る。家族の連絡だけ残す | 通知で集中が途切れない |
| 集中モード | おやすみ・集中モードを勉強時間に自動でオンにする | 決めた時間は通知の音や表示を抑える(許可した通知は例外) |
| 使用時間の上限 | iPhone の「スクリーンタイム」、Android の「Digital Wellbeing」でアプリごとに上限 | 使いすぎに気づける |
| ホーム画面の整理 | SNSはフォルダの奥へ。1ページ目は学習アプリと時計だけ | 開くまでの手間を増やす |
| ログアウト | 勉強期間だけ SNS からログアウトする | なんとなく開くのを防ぐ |
時間の決め方5
- 1使う時間を先に決める「夕食後の20分だけ」のように、使う時間を先に予定に入れる。空いた時間に使うと止まらない。
- 2勉強中は別の部屋机の上に伏せて置くのではなく、部屋の外へ。家族に預けるのも手。
- 3ごほうびは勉強の後「長文2題が終わったら15分」。先に見ると終わりがなくなる。
- 4寝る前1時間は手放す充電器を寝室の外に置く。目覚ましは別の時計を使う。
- 5使用時間を週に一度見る使用時間の記録を見て、多すぎたアプリだけ上限を下げる。
学習アプリを上手に使う4
- 1目的を1つに絞る単語・リスニングなど、スマホが得意なことに使う。長文を読み込む・書くは紙の方が向くことが多い。
- 2開いたらすぐ学習学習アプリを開く前に通知を確認しない。ついでの SNS が一番の落とし穴。
- 3すき間時間専用にする電車・待ち時間に単語。机に向かう時間はスマホを使わない勉強にする。
- 4動画は見た後に解き直す解説動画は見るだけで分かった気になりやすい。見た後に自分で解き直す。
SNSで心が疲れないために
SNSには他人の「うまくいった瞬間」が集まりやすい。模試の結果や勉強時間の投稿を見て落ち込むなら、受験が終わるまでミュート・非表示にしてよい。試験の感想や「難化した」という書き込みも、試験期間中は見ない。比べる相手は昨日の自分。
1週間のデジタル・デトックス計画5
いきなりゼロにせず、1日ずつ距離を広げる
- 11日目:使用時間を見るスクリーンタイムなどで、どのアプリに何分使っているかを確かめる。まずは知るだけ。
- 22日目:通知を切る家族の連絡など必要な物以外の通知をすべてオフにする。
- 33日目:ホーム画面を整理SNS・動画アプリをフォルダの奥へ移す。1ページ目は学習アプリだけに。
- 44〜5日目:勉強中は別の部屋勉強を始める時に、スマホを部屋の外へ置く習慣をつける。
- 56〜7日目:寝室に持ち込まない充電器を寝室の外へ。目覚まし時計を用意する。1週間後に使用時間を比べる。
英語で読むスマホ・SNSの話題10
テクノロジーと心は長文・自由英作文の頻出テーマ
英語意味メモ
screen time画面を見ている時間limit screen time=制限する
notification通知notify=知らせる
distraction気を散らすものdistract=気を散らす
addictiveやみつきにさせる・依存性のあるbe addicted to 〜=〜に依存している
digital detoxデジタル機器から離れることdetox=解毒
multitasking同時に複数の作業をすること切り替えのたびに効率が落ちやすい
attention span集中が続く時間「金魚より短い」は根拠のない俗説
scroll through 〜〜をスクロールして見る・ざっと見るendless scrolling
mute(投稿・通知を)ミュートするunfollow=フォローをやめる
social comparison他人との比較compare A with B
スマホのよくある失敗5
- ✕机の上に伏せて置けば大丈夫○別の部屋に置く通知や存在が気になりやすい
- ✕勉強の合間にちょっとだけ SNS○見る時間を決めてまとめてちょっとが30分になりやすい
- ✕布団の中で単語アプリ○寝る前は紙の単語帳画面の光と通知で眠りが遅れる
- ✕スマホのアラームで起きる○目覚まし時計を使うスマホを寝室に持ち込む口実になる
- ✕意志が弱いからやめられない○設定と置き場所で使いすぎを減らすSNS などは開きたくなるように作られている
確認テスト
- 1勉強中のスマホの置き場所として最もよいのは?正解は 別の部屋。我慢そのものをなくす
- 2Ward ほか(2017)の結果について正しいのは?正解は 追試では差が見られなかった研究もある。誇張しない
- 3Stothart ほか(2015)で、通知を受けた人はどうなった?正解は ミスが増えた。見なくても気が散る
- 4スマホを使う時間を決める時のコツは?正解は 先に予定に入れる。後回しにすると止まらない
参考にした資料
- Ward, Duke, Gneezy & Bos (2017) Brain drain: The mere presence of one's own smartphone reduces available cognitive capacity. Journal of the Association for Consumer Research 2(2)
- Ruiz Pardo & Minda (2022) Reexamining the "brain drain" effect: A replication of Ward et al. (2017). Acta Psychologica 230
- Stothart, Mitchum & Yehnert (2015) The attentional cost of receiving a cell phone notification. Journal of Experimental Psychology: Human Perception and Performance 41(4)
- Chang ほか (2015) Evening use of light-emitting eReaders negatively affects sleep, circadian timing, and next-morning alertness. PNAS 112(4)
スマホとの付き合い方を一覧にまとめ、A4 2枚で印刷できる無料PDFにしました。Web版は赤シート・覚えたチェック・カード・4択テストつき。