勉強法の常識No.S62
講義動画は倍速で見ても、ちゃんと理解できるって、ホント?

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先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:半分ホント
2倍速までなら、理解はほとんど落ちませんでした。でも2.5倍速では下がります。浮いた時間の使い方も大切です。
半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。
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アメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校で、学生123人に、講義動画をどう見ているかを尋ねた調査があります。ふつうより速く再生して見ている、と答えた学生は85%にのぼりました。
ところが、同じ学生たちの91%は、勉強にいちばんいいのは「ふつうの速さか、1.5倍速くらい」だと答えています。速くして見ているけれど、本当はよくない気がしている。そんな後ろめたさが、数字に表れているのかもしれません。
この調査をしたのは、心理学者マーフィー、キャッセルらの研究チームです。それまでの研究では、速く再生しても理解は保たれるという結果と、理解が落ちるという結果の両方が出ていました。2022年の論文で、彼らはこの問いに、いくつもの実験で答えようとしました。
1倍速から2.5倍速まで
最初の実験に参加したのは、同じ大学の学生231人です。見てもらったのは、約13分の「不動産の価格査定」と、約14分半の「ローマ帝国の歴史」の講義動画2本。学生たちは、1倍速、1.5倍速、2倍速、2.5倍速のどれかに、くじで振り分けられました。動画を止めたり、メモを取ったりするのは禁止です。
見終わった直後に20問のテストを受け、1週間後にも別の20問のテストを受けました。
結果、1倍速、1.5倍速、2倍速のあいだでは、理解度にはっきりした差は出ませんでした。直後のテストでも、1週間後のテストでも同じです。1倍速より理解度が落ちたのは、2.5倍速だけでした。それでも2.5倍速の学生も、内容の一部はきちんと覚えていました。
著者らは、2倍速を超えると、情報が流れこむ速さが、頭で処理できる量を上回ってしまうのだろうと考えています。
2倍速で2回見ても、得はなかった
2倍速なら、同じ時間で2回見られます。くり返し見れば、もっと覚えられるのではないか。研究チームは次に、これを試しました。
結果は、2倍速で2回見ても、1倍速で1回見たときより成績は上がりませんでした。1倍速と2倍速を1回ずつ、順番を変えて見る方法も比べましたが、こちらも順番による差はありませんでした。
ところが、ひとつだけ効果が出た組み合わせがありました。最初に2倍速で見て、1週間後のテストの直前に、もう一度2倍速で見る方法です。この方法は、1週間前に1倍速で1回見ただけの場合より、成績がよくなりました。
動画に使った時間は同じです。2回目を本番の直前に回したことで、差がついたのです。見てから試験までの間があくほど、内容は抜けていきます。その間を短くしたことが効いたと考えられます。ただし著者らも、どれくらい間をあければ効果が大きくなるのかは、これから調べる必要があるとしています。
浮いた時間を、試験の直前へ
著者らは、こんな使い方を例に挙げています。中間試験の範囲に、10時間分の講義動画があるとします。毎週公開される動画を2倍速で見ておけば、かかるのは5時間です。そして試験の直前に、残りの5時間で、もう一度2倍速で見直します。合計の時間は1倍速で1回見るのと同じですが、試験の直前に内容に触れ直せます。
ただし、注意点もあります。この実験で使った動画は2本だけで、参加したのも大学生だけでした。話す速さ、内容の難しさ、画面と音声の情報の重なり方、講師の話のうまさによって、結果は変わるかもしれないと著者らは書いています。
速さは、内容に合わせて変える
原田英語のおすすめは、2倍速を上限にすることです。そして、浮いた時間を、テスト前の見直しや問題演習に回します。
さらに、内容によって速さを変えましょう。知っている話の多い回や、ゆっくり話す講師の回は速めに。初めて聞く用語が続く回や、式の多い回は、無理に速くしない。途中で話についていけないと感じたら、それは速さを落とす合図です。
速く見ることそのものは、目的ではありません。浮いた時間を何に使うかで、倍速の価値が決まります。
参考文献
Murphy D., Hoover K., Agadzhanyan K., Kuehn J., Castel A. (2022). Learning in double time: The effect of lecture video speed on immediate and delayed comprehension. Applied Cognitive Psychology, 36, 69-82.
doi.org/10.1002/acp.3899✓ 実在と内容を確認済み
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