勉強法の常識No.S29
わからない問題を先に解こうとするのは時間の無駄って、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ウソ
答えられなかった問題でも、思い出そうとしたこと自体が、そのあと正解を覚える助けになります。
ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。
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ひとつ、問題を出します。「カルメット戦争を終わらせた平和条約は、何という名前でしょうか」。
思い出せなくても、心配はいりません。カルメット戦争という戦争は、どこにもありません。これは、ある心理学の実験で使われた、作り物の問題です。
絶対に答えられない問題
2009年、コーネル、ヘイズ、ビョークの3人は、こうした架空の問題をわざわざ用意しました。確かめたかったのは、「答えられなかったテストは、そのあとの学習のじゃまになるのか、それとも助けになるのか」という疑問です。
テストをすると記憶に残りやすくなることは、すでによく知られていました。ただ、それは答えを思い出せた場合の話です。思い出せなかった場合はどうでしょうか。間違った答えを考えたり、何も出てこなかったりした経験は、むしろ記憶を混乱させるかもしれません。
これを確かめるには、参加者が確実に答えられない問題が必要です。実在しない戦争の問題なら、誰も正解を知りません。
先に考えるか、すぐ見るか
実験では、2つのやり方を比べました。
ひとつは、まず問題に答えようとして、そのあとで正解を見るやり方です。もうひとつは、問題と正解を最初から一緒に見て、覚えるやり方です。
前者では、参加者はいったん答えを考えて、失敗します。それでも、あとのテストで正解をよく覚えていたのは、失敗したほうのやり方でした。答えられなかったのに、思い出そうとしたことが、そのあとの学習を助けていたのです。
クジラとほ乳類
研究チームは、別の材料でも同じことを確かめています。
たとえば「クジラ」という手がかりの言葉を見せて、それと結びつく言葉を当ててもらいます。正解は「ほ乳類」のような、少し結びつきの弱い言葉です。ほとんどの人は当てられません。たまたま当たった問題は、分析から外しました。こうして、失敗するのが当たり前の状況を作ったのです。
この材料でも、結果は同じでした。外れた予想をしてから正解を見たほうが、最初から正解を見るより、よく覚えていました。架空の問題と言葉の組み合わせ、2種類の材料で、合わせて6つの実験で効果が確かめられています。
研究チームは、間違いを避けることよりも、難しいテストに挑むことが、効果的な学習につながるのかもしれない、と述べています。
予習で、先に間違えておく
ただし、この実験には大事な条件がありました。答えを考えたあと、すぐに正解を見せていたことです。間違えたまま放っておいたわけではありません。
勉強に置きかえると、こうなります。新しい単元に入る前に、教科書の練習問題や章末問題に、まず自力で挑戦してみる。わからなくてもかまいません。少し考えたら、解説や授業で正解を確かめる。
「わからない問題を解こうとするのは時間の無駄」と思うかもしれません。けれどこの研究によれば、わからないまま考えた時間は、次に正解に出会ったときの記憶を強くする準備になっています。
原田英語のおすすめは、授業の前の5分で、その日の単元の問題を1問だけ解いてみることです。解けなかったという感覚を持ったまま、授業を聞いてください。
参考文献
Kornell N., Hays M., Bjork R. (2009). Unsuccessful retrieval attempts enhance subsequent learning.. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 35, 989-998.
doi.org/10.1037/a0015729✓ 実在と内容を確認済み
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