勉強法の常識No.S27

答えを見て覚えるより、自分で答えを作り出す方が覚えやすいって、ホント?

判定日 読了 約3分音声 4:09文献 2件

「答えを見て覚えるより、自分で答えを作り出す方が覚えやすい」のイメージイラスト

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?

先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:ホント

同じ単語でも、ただ読むより、手がかりから自分で作り出したほうが記憶に残ります。「生成効果」と呼ばれる現象です。

ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。

この記事を音声で聞くGoogle Cloud TTS(Chirp 3 HD)

0:00 / 4:09

科学の論文は、たいてい「これまでの研究ではこう考えられてきた。そこで私たちは」と始まります。ところが1978年、カナダの心理学者スラメッカとグラフが発表した論文には、少し変わった断り書きがありました。

この研究は、何かの理論を確かめるために始めたものでも、先に発表された研究に刺激されたものでもない。自分たちは、ある現象がたしかに存在することを示したいだけだ、と。

その現象に、2人は「生成効果」という名前をつけました。

読む人と、作り出す人

生成効果とは、ただ読んだ言葉よりも、自分で作り出した言葉のほうがよく覚えている、という現象です。

たとえば「熱い」という言葉を覚えるとします。ひとつのやり方は、「寒い」と「熱い」の組み合わせを、そのまま読むことです。もうひとつは、「寒い」の反対で、「あ」で始まる言葉は何か、と考えて、自分で「熱い」を思いつくことです。最後に覚えている言葉は同じ「熱い」でも、そこにたどり着くまでの道のりが違います。

スラメッカとグラフは、ルールにしたがって言葉を自分で作り出す条件と、読むだけの条件を比べました。

5つの実験、すべてで

実験は5つ行われました。そして5つすべてで、作り出した言葉のほうが、読んだだけの言葉よりよく覚えられていました。

記憶の確かめ方を変えても、結果は同じでした。見せられた言葉を覚えたかどうか答えるテストでも、ヒントなしやヒントありで思い出すテストでも、作り出した言葉が上回りました。自分の答えにどれくらい自信があるかも、作り出した言葉のほうが高くなりました。

言葉の作り方のルールを変えても、時間を区切っても、自分のペースで進めても、効果は消えませんでした。2人は、生成効果は本物だと結論づけています。ただし、なぜこれほど効くのかについては、当時のどの説明もうまく当てはまらない、と認めていました。

86の研究をまとめると

その後、生成効果は多くの研究者に調べられました。2007年、バーチ、マクダニエルらは、86の研究から集めた445の結果をまとめて分析しています。

生成効果の大きさは、効果量で0.40でした。効果量とは、差の大きさを表す目安で、0.40は、グループ全体のばらつきの半分近くにあたる差です。

ただし、効果の大きさは、実験の条件によってかなり違っていました。どんな場面でも同じだけ効く、というわけではありません。

答えを見る前の数秒

勉強の場面に置きかえてみましょう。単語帳の英語と日本語を両方見て「うん、知ってる」とめくるのは、読む条件です。日本語だけを見て、英語を自分で言ってみるのは、作り出す条件です。

問題集でも同じです。解説をすぐ読むのではなく、まず自分で答えを考えてみる。教科書の要点を書き写すのではなく、自分の言葉でまとめてみる。どれも、手間は少し増えます。けれど、その手間の分だけ記憶に残りやすくなる、というのが生成効果の教えです。

原田英語のおすすめは、答えを見る前に、どんなに短くてもいいので、自分の答えをひとつ出してから確かめる習慣です。間違っていてもかまいません。

答えを見る前の数秒が、記憶の分かれ道になります。

この記事に出てくる用語
効果量
効果の大きさを表す数字。目安は0.2で小さい、0.5で中くらい、0.8で大きい。

用語集をすべて見る →

参考文献

  1. Slamecka N., Graf P. (1978). The generation effect: Delineation of a phenomenon.. Journal of Experimental Psychology: Human Learning and Memory, 4, 592-604.

  2. Bertsch S., Pesta B. J., Wiscott R., McDaniel M. A. (2007). The generation effect: A meta-analytic review. Memory & Cognition, 35(2), 201-210.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

あわせて読みたい関連する常識

20問・約2分あなたの勉強法は、科学的に何点?科学度診断をはじめる → 10問・ランダム出題ウソかホントか、見抜けるか?判定チャレンジに挑戦 →