勉強法の常識No.S27
答えを見て覚えるより、自分で答えを作り出す方が覚えやすいって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ホント
同じ単語でも、ただ読むより、手がかりから自分で作り出したほうが記憶に残ります。「生成効果」と呼ばれる現象です。
ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。
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科学の論文は、たいてい「これまでの研究ではこう考えられてきた。そこで私たちは」と始まります。ところが1978年、カナダの心理学者スラメッカとグラフが発表した論文には、少し変わった断り書きがありました。
この研究は、何かの理論を確かめるために始めたものでも、先に発表された研究に刺激されたものでもない。自分たちは、ある現象がたしかに存在することを示したいだけだ、と。
その現象に、2人は「生成効果」という名前をつけました。
読む人と、作り出す人
生成効果とは、ただ読んだ言葉よりも、自分で作り出した言葉のほうがよく覚えている、という現象です。
たとえば「熱い」という言葉を覚えるとします。ひとつのやり方は、「寒い」と「熱い」の組み合わせを、そのまま読むことです。もうひとつは、「寒い」の反対で、「あ」で始まる言葉は何か、と考えて、自分で「熱い」を思いつくことです。最後に覚えている言葉は同じ「熱い」でも、そこにたどり着くまでの道のりが違います。
スラメッカとグラフは、ルールにしたがって言葉を自分で作り出す条件と、読むだけの条件を比べました。
5つの実験、すべてで
実験は5つ行われました。そして5つすべてで、作り出した言葉のほうが、読んだだけの言葉よりよく覚えられていました。
記憶の確かめ方を変えても、結果は同じでした。見せられた言葉を覚えたかどうか答えるテストでも、ヒントなしやヒントありで思い出すテストでも、作り出した言葉が上回りました。自分の答えにどれくらい自信があるかも、作り出した言葉のほうが高くなりました。
言葉の作り方のルールを変えても、時間を区切っても、自分のペースで進めても、効果は消えませんでした。2人は、生成効果は本物だと結論づけています。ただし、なぜこれほど効くのかについては、当時のどの説明もうまく当てはまらない、と認めていました。
86の研究をまとめると
その後、生成効果は多くの研究者に調べられました。2007年、バーチ、マクダニエルらは、86の研究から集めた445の結果をまとめて分析しています。
生成効果の大きさは、効果量で0.40でした。効果量とは、差の大きさを表す目安で、0.40は、グループ全体のばらつきの半分近くにあたる差です。
ただし、効果の大きさは、実験の条件によってかなり違っていました。どんな場面でも同じだけ効く、というわけではありません。
答えを見る前の数秒
勉強の場面に置きかえてみましょう。単語帳の英語と日本語を両方見て「うん、知ってる」とめくるのは、読む条件です。日本語だけを見て、英語を自分で言ってみるのは、作り出す条件です。
問題集でも同じです。解説をすぐ読むのではなく、まず自分で答えを考えてみる。教科書の要点を書き写すのではなく、自分の言葉でまとめてみる。どれも、手間は少し増えます。けれど、その手間の分だけ記憶に残りやすくなる、というのが生成効果の教えです。
原田英語のおすすめは、答えを見る前に、どんなに短くてもいいので、自分の答えをひとつ出してから確かめる習慣です。間違っていてもかまいません。
答えを見る前の数秒が、記憶の分かれ道になります。
参考文献
Slamecka N., Graf P. (1978). The generation effect: Delineation of a phenomenon.. Journal of Experimental Psychology: Human Learning and Memory, 4, 592-604.
doi.org/10.1037/0278-7393.4.6.592✓ 実在と内容を確認済み
Bertsch S., Pesta B. J., Wiscott R., McDaniel M. A. (2007). The generation effect: A meta-analytic review. Memory & Cognition, 35(2), 201-210.
doi.org/10.3758/BF03193441✓ 実在と内容を確認済み
文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。





