勉強法の常識No.S28
人に教えると、自分がいちばん学べるって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ホント
「あとで教える」つもりで学ぶだけで、覚え方が変わります。実際に説明まですると、1週間後にも差が残りました。
ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。
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「この文章を読んだら、あとで、ほかの学生に内容を教える役をやってもらいます」。実験の参加者たちは、そう告げられてから文章を読み始めました。
ところが実際には、誰も教える機会は与えられませんでした。読み終えた参加者を待っていたのは、全員同じテストでした。
「教える予定」だけで変わる
この少し意地の悪い実験を行ったのは、ネストイコ、コーネル、ビョークらの研究チームです。2014年に発表されました。
参加者は2つのグループに分けられました。片方には「あとでテストをします」と伝え、もう片方には「あとで、ほかの学生に教える役をやってもらいます。テストを受けるのはその学生です」と伝えました。どちらも同じ文章を読み、どちらも最後に同じテストを受けます。違うのは、読む前に伝えられた予定だけです。
結果は、教えるつもりで読んだグループのほうが良くなりました。覚えている内容を書き出してもらうと、より多くのことを、よく整理された形で思い出していました。文章についての問題にも、全体としてより多く正解していました。特に差が出たのは、文章の大事なポイントについての問題でした。
教える予定があると、人は、どこが大事か、どういう順番で話せばわかりやすいか、を考えながら読みます。研究チームも、教えるつもりの人たちは、より効果的な学び方をしていたのだろうと考えています。
カメラに向かって講義する
では、本当に教えるところまでやったらどうなるのでしょうか。
2013年、フィオレラとメイヤーは、これを確かめました。参加者に、ドップラー効果について説明した紙の資料を読んでもらいます。救急車のサイレンが、近づくときと遠ざかるときで違って聞こえる、あの現象です。
読む前に、一部の人には「あとでテストがある」と伝え、一部の人には「あとで、ほかの人に教える役をやってもらう」と伝えました。そして、教える準備をした人のうち何人かには、実際にビデオカメラに向かって、内容を講義してもらいました。
1週間後に残ったもの
読んだ直後のテストでは、教える準備をした人たちが、テストのつもりで読んだ人たちより良い成績でした。ここまでは、ネストイコらの結果と同じです。この時点では、実際にカメラの前で講義したかどうかによる上乗せは見られませんでした。
ところが1週間後にテストをすると、様子が変わりました。教える準備をしただけの人たちの有利さは、消えてしまいました。差が残っていたのは、実際に講義をした人たちだけでした。
教えるつもりで学ぶと、その場の理解は整います。けれど、それを長く残すには、実際に口に出して説明するという一歩が必要だったのです。
聞き手は、いなくてもいい
この実験で、講義の相手は生きた学生ではなく、ビデオカメラでした。誰かが質問してくれたわけでも、うなずいてくれたわけでもありません。それでも効果がありました。
つまり、教える相手を探すことにこだわる必要はありません。原田英語のおすすめは、勉強した内容を、スマホで録画しながら5分で説明してみることです。友達や家族が聞いてくれるなら、それに越したことはありません。説明に詰まったところが、あなたがまだわかっていないところです。
読む前に「あとで人に教える」と決める。読み終えたら、本当に誰かに向かって説明する。この2つをセットにしてみましょう。
参考文献
Nestojko J., Bui D., Kornell N., Bjork E. (2014). Expecting to teach enhances learning and organization of knowledge in free recall of text passages. Memory & Cognition, 42, 1038-1048.
doi.org/10.3758/s13421-014-0416-z✓ 実在と内容を確認済み
Fiorella L., Mayer R. (2013). The relative benefits of learning by teaching and teaching expectancy. Contemporary Educational Psychology, 38, 281-288.
doi.org/10.1016/j.cedpsych.2013.06.001✓ 実在と内容を確認済み
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