勉強法の常識No.S33

絵が下手でも、描いて覚えると記憶に残るって、ホント?

判定日 読了 約3分音声 3:51文献 3件

「絵が下手でも、描いて覚えると記憶に残る」のイメージイラスト

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先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:ホント

単語を絵に描くと、何度も書き写すよりずっと覚えやすくなります。絵の上手さは関係ありませんでした。

ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。

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画面に、単語がひとつ出てきます。持ち時間は40秒。そのあいだに、その単語の絵を描くか、その単語を何度もくり返し書くかのどちらかをします。

カナダのウォータールー大学で行われた実験で、学生たちが取り組んだ課題です。出てくるのは、簡単に絵にできる身近な言葉ばかりでした。

描いた単語は、書いた単語の2倍

リストが終わると、少し別の作業をはさんでから、覚えている単語をできるだけ書き出してもらいます。

2016年、ワムズ、ミード、フェルナンデスの3人は、この結果を「描画効果」として発表しました。描いた単語のほうが、書いた単語より、はっきりよく思い出されたのです。大学の発表によると、参加者は描いた単語を、書いた単語の2倍以上思い出すことも多かったといいます。

そして、描いた絵の出来ばえは、思い出しやすさにはほとんど関係がないようでした。大学は、絵の才能に関係なく、誰でもこの方法の恩恵を受けられるだろう、と伝えています。

深く考えたから、ではない

研究チームは、全部で7つの実験を行いました。目的のひとつは、「描くと覚えやすい」理由を確かめることでした。

まず思いつくのは、描くには単語の意味をよく考える必要があるから、という説明です。そこで、意味を深く考えながら覚える方法と比べました。次に、頭の中でその物の姿を思い浮かべる覚え方とも比べました。さらに、絵そのものが言葉より覚えやすいだけかもしれないので、絵を見て覚える方法とも比べました。

どの比較でも、描くほうが上回りました。意味を考えること、イメージを浮かべること、絵を見ること。それぞれ一つだけでも、全部を合わせても、描画効果は説明しきれませんでした。

時間を減らしても、リストを長くしても

研究チームは、効果が消える条件も探しました。描く時間を短くし、覚える単語の数を増やしてみたのです。それでも、描くほうが書くより覚えていました。

最後の実験では、描くだけの人と書くだけの人を、別々のグループにして比べました。同じ人が両方をすると、描いた単語だけが目立って覚えやすくなる可能性があるからです。それでも効果ははっきり残りました。

では、なぜ描くと覚えやすいのでしょうか。研究チームは、描くときには、言葉の意味、目で見た形、手の動きという3種類の情報が、一つの記憶にまとまるからだと考えています。

用語の定義にも使える

この実験で使われたのは、簡単に描ける単語でした。「正義」や「確率」のような抽象的な言葉にも使えるのかは、気になるところです。

2018年、フェルナンデスらは、それまでの研究をまとめた論文を書きました。それによると、描くことは単語や絵だけでなく、教科書に出てくる用語の定義を覚えるのにも役立ちました。描くことは、書き写したり、なぞったりするよりも効果が大きかったといいます。

原田英語のおすすめは、覚えにくい単語や用語に出会ったら、ノートの余白に10秒ほどで簡単な絵を描くことです。棒人間でも矢印でもかまいません。大事なのは上手に描くことではなく、意味を形にして手を動かすことです。

参考文献

  1. Wammes J., Meade M., Fernandes M. (2016). The drawing effect: Evidence for reliable and robust memory benefits in free recall. Quarterly Journal of Experimental Psychology, 69, 1752-1776.

  2. University of Waterloo (2016). Need to remember something? Better draw it, study finds. University of Waterloo News.

  3. Fernandes M. A., Wammes J. D., Meade M. E. (2018). The Surprisingly Powerful Influence of Drawing on Memory. Current Directions in Psychological Science, 27(5), 302-308.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

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