勉強法の常識No.S34

声に出して読むと覚えやすいって、ホント?

判定日 読了 約3分音声 3:57文献 1件

「声に出して読むと覚えやすい」のイメージイラスト

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?

先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:ホント

黙読した単語より、声に出した単語のほうが記憶に残ります。ただし効くのは、一部だけを声に出したときです。

ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。

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図書館で、声は出さずに、口だけを動かして単語帳を読んでいる人を見かけたことはないでしょうか。少し変わった姿に見えますが、記憶の研究から見ると、このやり方には理由があります。

声に出した単語だけが残る

2010年、心理学者のマクラウドらは、声に出して読むことが記憶にどう影響するかを、8つの実験で調べました。

基本の手順はシンプルです。参加者は単語のリストを見ながら、一部の単語は声に出して読み、残りは黙って読みます。そのあとのテストで、「この単語はリストにあったか」を答えてもらいます。

声に出して読んだ単語は、黙読した単語より、よく覚えられていました。研究チームは、これを「産出効果」と名づけました。声に出す、つまり言葉を自分で産み出すことによる効果、という意味です。

全部を声に出すと、消える

この研究には、意外な結果もありました。

効果がはっきり出たのは、同じ人が、一部の単語だけを声に出した場合でした。最初の3つの実験からは、全部の単語を声に出して読んだ人と、全部を黙読した人を比べても、差がはっきり出ないことがわかりました。

なぜでしょうか。研究チームの説明はこうです。声に出した単語には、「これは声に出した」という特別な情報がつきます。テストのとき、その情報が「この単語は確かに見た」と判断する手がかりになります。つまり、声に出した単語は、黙読した単語の中で目立つから覚えやすいのです。全部を声に出すと、目立つ単語がなくなってしまいます。

4つ目の実験では、一部の単語に対して、毎回同じ動作をする、毎回同じ言葉を言う、といった反応をさせてみました。こちらでは効果が出ませんでした。単に何か反応をすればいいわけではなく、その単語そのものを口にすることが大切だということです。

口パクでも、でたらめな言葉でも

研究チームは、効果の範囲も調べています。

声を出さずに口だけを動かす、いわゆる口パクでも、産出効果は出ました。冒頭の図書館の人のやり方です。意味のない、でたらめな言葉でも効果がありました。ヒントから自分で単語を作り出すと覚えやすくなる「生成効果」に、声に出すことを重ねると、さらに記憶がよくなりました。

黙読した単語は、単に読み流されていただけではないか。そんな疑問に答えるため、最後の実験では、どの単語にも意味を考える課題をつけました。それでも、声に出した単語のほうがよく覚えられていました。

研究チームは、産出効果を、選んだ情報の記憶をよくするための、シンプルでかなり強力な方法だと述べています。

音読は「ここぞ」で使う

この研究から言えるのは、教科書を最初から最後まで音読すれば全部覚えられる、ということではありません。効くのは、覚えたいところだけを声に出して、ほかと区別したときです。

原田英語のおすすめは、黙読しながら、特に覚えたい単語や例文が出てきたときだけ、はっきり声に出すことです。電車の中や図書館なら、口パクでもかまいません。

英語の場合、教科書を通して音読することは、発音やリズムの練習として別の意味があります。それとは別に、覚える段階では「ここぞ」の場所を選んで声に出しましょう。

参考文献

  1. MacLeod C., Gopie N., Hourihan K., Neary K., Ozubko J. (2010). The production effect: Delineation of a phenomenon.. Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 36, 671-685.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

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