勉強法の常識No.S31

「なぜそうなるのか」を自分に説明すると理解が深まるって、ホント?

判定日 読了 約3分音声 4:23文献 3件

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読む前に予想この常識、あなたはどう思う?

先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:ホント

読みながら「なぜ?」を自分に説明すると、理解が深まります。64の研究をまとめた分析でも、中くらいの効果が確かめられています。

ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。

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「一行読むごとに、それが何を意味しているのか、自分に説明してみてください」。

中学2年生にあたる14人の生徒が受けた指示は、ほぼそれだけでした。特別な訓練も、ノートの取り方の指導もありません。

心臓と血液の文章で

1994年、認知心理学者のチーらは、この単純な指示がどれほど理解を変えるかを調べました。読んでもらったのは、人間の血液循環のしくみについての説明文です。心臓がどう動き、血液が体をどうめぐるのかが書かれています。

14人の生徒は、一行読むごとに、自分で説明をしながら読み進めました。比べるために、別の10人の生徒には、同じ文章を2回読んでもらいました。こちらには、説明するようにという指示はありません。

読む前と読んだ後に、全員が循環のしくみについてのテストを受けました。その伸びを比べると、自分に説明しながら読んだグループのほうが、大きく伸びていました。

たくさん説明した子ほど

同じグループの中でも、差がありました。説明をたくさんした生徒ほど、深い理解に達していたのです。

理解の深さは、とても難しい問題で確かめられました。たとえば、文章にははっきり書かれていない部分の働きを、自分で推理して答える問題です。

さらにチーらは、生徒たちが説明した言葉を分析して、それぞれが頭の中に描いている血液循環の「モデル」を調べました。たくさん説明した生徒たちは、全員が正しいモデルにたどり着いていました。一方、説明を求められなかった生徒や、説明が少なかった生徒の多くは、正しいモデルを持てていませんでした。

文章をただ2回読んでも、文の意味は頭に入ります。けれど、文と文のつながりや、全体のしくみまでは組み立てられないことがあります。自分に説明することは、新しい情報を、すでに知っていることに結びつけていく作業です。チーらも、学習とは新しい情報を今ある知識に組み込むことであり、自己説明はその手助けになると述べています。

64の研究をまとめると

チーらの研究は、参加者が合わせて24人の小さな実験でした。この効果は、もっと広く確かめられているのでしょうか。

2018年、ビスラ、ウィンらは、自己説明をうながす研究をまとめたメタ分析を発表しました。メタ分析とは、たくさんの研究の結果をまとめて、効果の大きさを計算し直す方法です。集まったのは64の研究報告で、69の効果量が分析されました。

全体の効果量は0.55でした。教育の研究では、中くらいの、はっきりした効果とされる大きさです。問題を解く、例題を読む、文章を読むといった、いろいろな学習の場面で効果が見られました。著者たちは、自己説明をうながすことは、幅広い条件で強力になりうる方法だとまとめています。

2013年に勉強法の効果を評価したダンロスキーらの報告でも、自己説明は「中程度の有用性」と判定されています。最高ランクではありませんが、確かに使える方法の一つです。

一文ごとに「なぜ?」

原田英語のおすすめは、教科書の例題や解説を読むとき、一文ごとに止まって、自分に問いかけることです。「なぜこの式になる?」「この文は、前の文とどうつながる?」。声に出しても、心の中でもかまいません。

読むスピードは、確実に落ちます。でも、2回読むより1回説明するほうが、頭に残るものは多いはずです。説明に詰まったところが、まだわかっていないところです。

この記事に出てくる用語
メタ分析
たくさんの研究の結果をまとめて、全体として効果があるかを計算する方法。1つの研究より信頼できる。
効果量
効果の大きさを表す数字。目安は0.2で小さい、0.5で中くらい、0.8で大きい。

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参考文献

  1. Chi M., De Leeuw N., Chiu M., Lavancher C. (1994). Eliciting Self‐Explanations Improves Understanding. Cognitive Science, 18, 439-477.

  2. Bisra K., Liu Q., Nesbit J., Salimi F., Winne P. (2018). Inducing Self-Explanation: a Meta-Analysis. Educational Psychology Review, 30, 703-725.

  3. Dunlosky J., Rawson K., Marsh E., Nathan M., Willingham D. (2013). Improving Students’ Learning With Effective Learning Techniques. Psychological Science in the Public Interest, 14, 4-58.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

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