勉強法の常識No.S31
「なぜそうなるのか」を自分に説明すると理解が深まるって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ホント
読みながら「なぜ?」を自分に説明すると、理解が深まります。64の研究をまとめた分析でも、中くらいの効果が確かめられています。
ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。
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「一行読むごとに、それが何を意味しているのか、自分に説明してみてください」。
中学2年生にあたる14人の生徒が受けた指示は、ほぼそれだけでした。特別な訓練も、ノートの取り方の指導もありません。
心臓と血液の文章で
1994年、認知心理学者のチーらは、この単純な指示がどれほど理解を変えるかを調べました。読んでもらったのは、人間の血液循環のしくみについての説明文です。心臓がどう動き、血液が体をどうめぐるのかが書かれています。
14人の生徒は、一行読むごとに、自分で説明をしながら読み進めました。比べるために、別の10人の生徒には、同じ文章を2回読んでもらいました。こちらには、説明するようにという指示はありません。
読む前と読んだ後に、全員が循環のしくみについてのテストを受けました。その伸びを比べると、自分に説明しながら読んだグループのほうが、大きく伸びていました。
たくさん説明した子ほど
同じグループの中でも、差がありました。説明をたくさんした生徒ほど、深い理解に達していたのです。
理解の深さは、とても難しい問題で確かめられました。たとえば、文章にははっきり書かれていない部分の働きを、自分で推理して答える問題です。
さらにチーらは、生徒たちが説明した言葉を分析して、それぞれが頭の中に描いている血液循環の「モデル」を調べました。たくさん説明した生徒たちは、全員が正しいモデルにたどり着いていました。一方、説明を求められなかった生徒や、説明が少なかった生徒の多くは、正しいモデルを持てていませんでした。
文章をただ2回読んでも、文の意味は頭に入ります。けれど、文と文のつながりや、全体のしくみまでは組み立てられないことがあります。自分に説明することは、新しい情報を、すでに知っていることに結びつけていく作業です。チーらも、学習とは新しい情報を今ある知識に組み込むことであり、自己説明はその手助けになると述べています。
64の研究をまとめると
チーらの研究は、参加者が合わせて24人の小さな実験でした。この効果は、もっと広く確かめられているのでしょうか。
2018年、ビスラ、ウィンらは、自己説明をうながす研究をまとめたメタ分析を発表しました。メタ分析とは、たくさんの研究の結果をまとめて、効果の大きさを計算し直す方法です。集まったのは64の研究報告で、69の効果量が分析されました。
全体の効果量は0.55でした。教育の研究では、中くらいの、はっきりした効果とされる大きさです。問題を解く、例題を読む、文章を読むといった、いろいろな学習の場面で効果が見られました。著者たちは、自己説明をうながすことは、幅広い条件で強力になりうる方法だとまとめています。
2013年に勉強法の効果を評価したダンロスキーらの報告でも、自己説明は「中程度の有用性」と判定されています。最高ランクではありませんが、確かに使える方法の一つです。
一文ごとに「なぜ?」
原田英語のおすすめは、教科書の例題や解説を読むとき、一文ごとに止まって、自分に問いかけることです。「なぜこの式になる?」「この文は、前の文とどうつながる?」。声に出しても、心の中でもかまいません。
読むスピードは、確実に落ちます。でも、2回読むより1回説明するほうが、頭に残るものは多いはずです。説明に詰まったところが、まだわかっていないところです。
この記事に出てくる用語
- メタ分析
- たくさんの研究の結果をまとめて、全体として効果があるかを計算する方法。1つの研究より信頼できる。
- 効果量
- 効果の大きさを表す数字。目安は0.2で小さい、0.5で中くらい、0.8で大きい。
参考文献
Chi M., De Leeuw N., Chiu M., Lavancher C. (1994). Eliciting Self‐Explanations Improves Understanding. Cognitive Science, 18, 439-477.
doi.org/10.1207/s15516709cog1803_3✓ 実在と内容を確認済み
Bisra K., Liu Q., Nesbit J., Salimi F., Winne P. (2018). Inducing Self-Explanation: a Meta-Analysis. Educational Psychology Review, 30, 703-725.
doi.org/10.1007/s10648-018-9434-x✓ 実在と内容を確認済み
Dunlosky J., Rawson K., Marsh E., Nathan M., Willingham D. (2013). Improving Students’ Learning With Effective Learning Techniques. Psychological Science in the Public Interest, 14, 4-58.
doi.org/10.1177/1529100612453266✓ 実在と内容を確認済み
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