勉強法の常識No.S30
概念マップ(マインドマップ)を作るのは、思い出す練習より効果的って、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ウソ
教科書を見ながら図にまとめるより、本を閉じて思い出すほうが、理解を問う問題にも強くなりました。
ウソとは… 研究の結果、この常識は支持されません。逆効果のこともあります。
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最後のテストは「学んだ内容を概念マップにまとめなさい」。概念マップとは、大事な言葉を丸で囲み、線や矢印でつないで、関係を図にしたものです。
このテストで有利なのは、どちらだと思いますか。概念マップを作って勉強した人たちか、ただ本を閉じて内容を思い出す練習をした人たちか。
多くの人は前者と答えるはずです。ところが実験では、後者が勝ちました。
2つの勉強法の対決
2011年、アメリカの心理学者カーピックとブラントは、2つの勉強法を比べた実験を科学誌『サイエンス』に発表しました。
ひとつは、文章を読んだあと、教科書を見ながら概念マップを作るやり方です。内容を整理し、言葉どうしの関係を考えながら図にしていきます。こうした、意味を深く考えて知識を広げる勉強を、心理学では精緻化と呼びます。学校の授業でもよく使われる方法です。
もうひとつは、文章を読んだあと、本を閉じて、覚えている内容をできるだけ書き出すやり方です。これを検索練習、つまり思い出す練習と呼びます。手間がかからず、見た目には地味な方法です。
読んだのは、理科の教科書によく出てくるタイプの説明文でした。
理解を問う問題でも
思い出す練習は、ただの丸暗記には効くかもしれない。でも、本当に理解する力を育てるのは、図にまとめるような深い勉強のほうではないか。そう考える人もいるはずです。
ところが、思い出す練習の有利さは、理解を問う問題でも見られました。文章に直接は書かれていないことを推理して答える問題でも、思い出す練習をしたほうが成績が良かったのです。
そして冒頭のとおり、最後のテストが概念マップを作る問題だった場合でも、思い出す練習の有利さは変わりませんでした。概念マップで勉強した人たちは、自分の得意な形式のテストで負けたことになります。
カーピックらは、思い出す練習には、思い出すことそのものに特有の効き目があると考えています。内容を深く考えることの延長ではなく、記憶から引き出す行為そのものが学習を進める、という見方です。
図が悪いわけではない
ここで誤解しないでおきたいのは、この研究が概念マップそのものを否定したわけではないことです。
比べられたのは、教科書を見ながらマップを作ることと、教科書を見ずに思い出すことでした。教科書を見ながら作るマップは、書き写しに近くなります。頭の中から引き出す場面が、ほとんどありません。差を生んだのは、図にしたかどうかより、思い出す作業があったかどうかだと考えられます。
カーピックらは、教育の現場では精緻化のための活動がよく使われる一方、思い出す練習はあまり使われていないと指摘しています。
マップは、記憶から描く
原田英語のおすすめは、概念マップを作るなら、教科書を閉じて、白い紙に記憶だけで描くことです。描けるところまで描いたら、教科書を開いて、抜けていた言葉やつながりを別の色で書き足します。
これなら、図にまとめる良さと、思い出す練習の効き目を両方とれます。書き足した色の部分が、次に思い出すべき場所です。
きれいなマップより、思い出そうとして苦労したマップのほうが、頭には残ります。
参考文献
Karpicke J., Blunt J. (2011). Retrieval Practice Produces More Learning than Elaborative Studying with Concept Mapping. Science, 331, 772-775.
doi.org/10.1126/science.1199327✓ 実在と内容を確認済み
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