有名な勉強法を判定No.P06
白紙に覚えていることを書き出す(ブレインダンプ)と、記憶に残るって、ホント?

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?
先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。
判定:ホント
何も見ずに白紙へ書き出すのは、研究で効果が確かめられた「思い出す練習」そのものです。
ホントとは… 複数の研究でおおむね支持されている常識です。
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今日からできるやり方
- 1章読んだら本を閉じ、白紙を用意する
- 覚えていることを、順番を気にせず書き出す
- 本を開き、抜けや間違いを別の色で書き足す
- 数日後、同じ範囲をもう一度書き出す
教科書を見ながら、ことばとことばを線でつないで、きれいな図にまとめる。何も見ずに、覚えていることを白紙に書き出す。
勉強した手ごたえがあるのは、たぶん前者です。図はノートに残り、見返すたびに達成感があります。白紙のほうは、思い出せなかった所が空白のまま残るだけです。
ところが、この2つを1週間後のテストで比べると、勝ったのは白紙のほうでした。
白紙と図の勝負
2011年、アメリカの心理学者カーピキーとブラントは、大学生80人に理科の文章を学ばせました。学び方は4通りです。1回だけ読む。4回続けて読む。文章を見ながら、概念どうしを線でつないだ図(コンセプトマップ)を作る。そして、文章を読んだあと、何も見ずに思い出せるだけ書き出し、もう一度読んで、また書き出す。図を作る学生と書き出す学生の学習時間は、ぴったりそろえてあります。学んでいる段階で、図に盛り込めた内容の割合と、白紙に書き出せた内容の割合も、ほぼ同じでした。
1週間後のテストでは、書き出した学生の成績がいちばん良くなりました。文章にそのまま書かれた内容を問う問題でも、いくつかの概念を結びつけて考える問題でも、同じでした。一方、学生たち自身は、どの方法がよく覚えられるかを、ほとんど予想できていませんでした。差は、書き出したときの量ではなく、1週間たってから現れたのです。
2つ目の実験では、120人が参加しました。最後のテストを「何も見ずに図を作る」形にしても、書き出して学んだほうが良い成績でした。一人ひとりで見ると、120人のうち101人が、図を作ったときより書き出したときのほうが良い成績でした。それなのに、120人のうち90人は、図を作るほうが同じくらいかそれ以上に効くと考えていました。
問いがあったほうがいいのか
白紙に向かうと、何から書けばいいか迷う人もいるでしょう。それなら、問いを用意したほうが効くのでしょうか。
2016年、スミスらは、この点を2つの実験で調べました。参加者は教育的な文章を読み、2回、思い出す練習をします。一方の条件では、覚えていることを自由に書き出します。もう一方では、「この概念を説明して」のような問いに沿って思い出します。比べる相手として、読むだけの条件も用意しました。
1週間後のテストでは、どちらの思い出し方も、読むだけより良い成績でした。文章どおりの知識を問う問題でも、より深い理解を問う問題でも、差が出ました。そして、自由に書き出しても、問いに沿って思い出しても、効果は変わりませんでした。
それどころか、問いに沿う方法は、楽しさや面白さの評価が低めでした。最初の練習で思い出せた量も、自分のやり方で思い出したときがいちばん多くなりました。白紙に自由に書き出すやり方は、手軽なうえに、効き目でも引けを取らないということです。
思い出すたびに、記憶は変わる
なぜ、書き出すだけで記憶に残るのでしょうか。カーピキーは2012年の論文で、思い出すことは、記憶を確かめるだけの作業ではないと述べています。知識を思い出すたびに、その知識は変化し、次に思い出しやすくなる。思い出す練習は、その場かぎりの丸暗記ではなく、意味のある、長続きする学びを生む。それなのに、多くの学生はこの方法の価値に気づかず、十分に使っていない、とも書いています。
答え合わせまでがセット
ただし、書き出しただけでは、間違いや抜けには気づけません。カーピキーとブラントの実験でも、学生は書き出したあとに文章を読み直し、もう一度書き出していました。
原田英語のやり方はこうです。1章読んだら本を閉じ、白紙に、順番を気にせず書けるだけ書く。書けなくなったら本を開き、抜けていた所や間違えた所を別の色で書き足す。数日後、同じ範囲をもう一度、白紙から書き出す。
2回目の白紙で、前回別の色で書き足した所が自分の色で書けていたら、それが覚えたということです。
参考文献
Smith M., Blunt J., Whiffen J., Karpicke J. (2016). Does Providing Prompts During Retrieval Practice Improve Learning?. Applied Cognitive Psychology, 30, 544-553.
doi.org/10.1002/acp.3227✓ 実在と内容を確認済み
Karpicke J. (2012). Retrieval-Based Learning. Current Directions in Psychological Science, 21, 157-163.
doi.org/10.1177/0963721412443552✓ 実在と内容を確認済み
Karpicke J., Blunt J. (2011). Retrieval practice produces more learning than elaborative studying with concept mapping. Science, 331, 772-775.
doi.org/10.1126/science.1199327✓ 実在と内容を確認済み
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