有名な勉強法を判定No.P05

教科書は、何度もサッと読み流せば覚えられる(7回読み)って、ホント?

判定日 読了 約4分音声 5:21文献 2件

「教科書は、何度もサッと読み流せば覚えられる(7回読み)」のイメージイラスト

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?

先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:半分ホント

日をあけた読み直しには意味があります。ただ、読むだけでは細かい点や応用は残りにくいのです。

半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。

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今日からできるやり方

  1. 最初の数回は、見出しと太字で全体をつかむ
  2. 同じ日に続けず、日をあけて次を読む
  3. 読み終えるたびに本を閉じ、要点を書き出す
  4. 細かい知識は、問題を解いて確かめる

勉強法の良し悪しは、いつテストするかで入れ替わることがあります。

たとえば試験の前の晩に、教科書の同じ章を2回続けて読んだとします。翌朝のテストなら、1回しか読まなかったときより点が取れそうです。では、テストが2日後だったらどうでしょう。

教科書を細かく読み込まず、速いペースで何度も読み流す「7回読み」という勉強法があります。この名前の方法そのものを調べた研究は見つかりませんでした。ただ、その中心にある「読み直し」と「流し読み」については、研究があります。

2回読みの効き目は、2日で消えた

2005年、アメリカのローソンとキンチュは、大学生423人に文章を読ませ、読み方とテストの時期を組み合わせて比べました。

読み方は3通りです。1回だけ読む。続けて2回読む。1週間あけて2回読む。テストは、読んだ直後か、2日後のどちらかに行いました。

直後のテストでは、続けて2回読んだ人が、1回だけの人より良い成績でした。1週間あけて2回読んだ人は、1回だけの人とはっきりした差がありませんでした。

ところが2日後のテストでは、結果が入れ替わります。1週間あけて読んだ人は、1回だけの人を上回りました。続けて2回読んだ人は、1回だけの人と差がなくなっていました。

論文によると、読み直しは学生によく勧められ、学生自身もよく使う方法です。それなのに、それまでの研究は、読んだ直後のテストでしか効果を確かめていませんでした。実際の試験は、たいてい勉強した日から何日もあとにあります。論文の題名も、そのまま「読み直しの効果は、テストの時期しだい」です。

流し読みが残すもの

2009年、ダガンとペインは、時間が足りないときの流し読みを調べました。参加者に与えたのは、説明文の半分を読むのがやっとの時間です。

1つ目の実験では、全体を流し読みした人は、前半だけを読んだ人より、文章の大事な考えをよく覚えていました。けれども、細かい点の記憶や、書かれていることから推論する力は、伸びていませんでした。

2つ目の実験では、各段落の前半だけ、または後半だけを読むやり方と比べています。すると、流し読みの有利さは見られませんでした。視線の記録からは、流し読みをする人が、段落の始めのほうや、ページの上のほうに長く目をとめていたことがわかりました。ダガンらは、これを「ほどほどで満足したら次へ移る」読み方だと考えています。

3つ目と4つ目の実験では、文章をウェブサイトのように何ページにも分けて見せました。すると、流し読みの有利さは、ページどうしのつながり方、つまり行き来のしやすさに左右されました。見出しや構成がはっきりした文章ほど、流し読みはしやすいということです。

読むだけでは、細部は残りにくい

2つの研究を合わせると、読み流しの得意なことと苦手なことが見えてきます。

日をあけてくり返し読むことには、意味があります。同じ日に続けて読むと、直後のテストでは確かに点が上がるので、その場では効いている手ごたえがあります。けれども、その効き目は2日後まで続きませんでした。流し読みで全体をざっとつかむことも、大事な考えを覚えるのには役立ちます。

一方で、流し読みでは、細かい知識も、文章から考えを広げる力も伸びませんでした。また、ここで比べたのは1回と2回の読み方で、7回読んだ場合を調べた研究ではありません。何回も読めば細部まで頭に入る、という部分には、今のところ裏づけがないのです。

原田英語のおすすめは、読み流しを「全体の地図づくり」と割り切ることです。最初の数回は見出しと太字で全体をつかみ、読む日は同じ日に固めずにばらします。7回読むなら、試験前の1日で7回より、何日かに分けて読むほうが、研究の結果とよく合います。そして読み終えるたびに本を閉じ、覚えている要点を書き出してみる。細かい知識は、問題を解いて確かめます。

読んだ回数を数えるより、何日に分けて読んだか、閉じたあとで何が言えたかを数えましょう。

この記事に出てくる用語
想起練習(思い出す練習)
教科書を閉じて、自分で答えを思い出す勉強。小テストや問題を解くことも、これにあたる。

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参考文献

  1. Rawson K., Kintsch W. (2005). Rereading Effects Depend on Time of Test. Journal of Educational Psychology, 97, 70-80.

  2. Duggan G., Payne S. (2009). Text skimming: The process and effectiveness of foraging through text under time pressure. Journal of Experimental Psychology: Applied, 15, 228-242.

文献はCrossrefで書誌を確認し、記事の内容は要旨などと照合しています(判定の方法)。

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