有名な勉強法を判定No.P07

勉強は「アウトプット7:インプット3」がベストって、ホント?

判定日 読了 約3分音声 5:31文献 2件

「勉強は「アウトプット7:インプット3」がベスト」のイメージイラスト

読む前に予想この常識、あなたはどう思う?

先に予想してから答えを見ると、記憶に残りやすくなります(予想の効果の記事)。

判定:半分ホント

もとになった100年前の実験は実在します。ただ、最適な割合は覚える内容で変わり、「7:3」という割合は試されてもいません。

半分ホントとは… 条件つきで正しい、または言い過ぎの部分がある常識です。

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論文での効果意味のない音の列では、読むだけより数時間後の記憶が約4倍

今日からできるやり方

  1. 最初は読んで、全体をひと通りつかむ
  2. つかめたら早めに本を閉じ、思い出す練習へ
  3. 単語など丸暗記ものは、思い出す時間を多めに
  4. 文章の理解は、読む時間もしっかり取る

ジョン・クラーク。1867年6月4日、インディアナ州生まれ。外科を学び、フィラデルフィアで医師になる。ジョンズ・ホプキンス大学で教えた。イタリアとロシアを訪れたことがある。バンクーバーに兄弟がいる。

1910年代のアメリカ、カリフォルニア州オークランドの学校で、子どもたちがこんな人物紹介を覚えるよう求められました。8年生用の教材は、こうした紹介が5人分。持ち時間は9分間です。

「勉強はアウトプット7、インプット3がベスト」という話のもとになったとされるのが、この実験です。心理学者ゲイツが、1917年に報告しました。

9分間の使い方

ゲイツが調べたのは、決まった勉強時間のうち、どれだけを「読む」に使い、どれだけを「暗唱」に使うのがよいか、でした。参加したのは1年生から8年生までの子どもたちで、1クラスは40〜45人。大人でも同じような実験をしています。

読む時間には、紙から目を離さず、頭から終わりまでくり返し読みます。合図があると暗唱に切り替えます。紙を顔の前に持ち、その上越しに前を見ながら、見ないで言えるだけ言ってみる。詰まったら紙をちらっと見て、また続ける。そういうやり方です。

割合は、全部読むだけから、読む2割・暗唱8割まで、何通りも試されました。勉強が終わるとすぐに覚えたことを書き出し、3〜4時間後にもう一度書き出します。曜日や時間帯、教材の難しさの差が結果をゆがめないよう、組み合わせを入れ替える工夫もされていました。

意味のない音では、暗唱8割

覚える材料のひとつは、意味のない音の列でした。こちらでは、最初の2割を読み、残り8割を暗唱する方法が最も良い結果でした。読むだけの方法と比べ、直後のテストで約2倍、3〜4時間後には約4倍の量を思い出せました。読み始めて1分48秒たったら、早く暗唱に移るほど良い、というのがゲイツのまとめです。

意味のある文章では、読む4割

もうひとつの材料が、冒頭のような人物紹介でした。こちらでは結果が変わり、約4割の時間を読むのに使ってから暗唱に移るのが最も良い結果でした。読むだけの方法との差は、直後のテストで約27%。3〜4時間後のテストでは、その差がほぼ2倍に広がりました。

学年による違いもありました。低い学年では、暗唱を早く始めすぎると、かえって成績が下がりました。高い学年ほど、読む時間を多めに取る方法でもよく覚えられました。大人の実験では、暗唱の有利さは、意味のない音の列でいちばん大きく、単語のリストではそれより小さく、つながった文章や詩ではさらに小さくなりました。

つまり「7:3」は、この実験をおおまかに丸めた数字です。そもそもゲイツが試した割合の中に、暗唱7割・読む3割という組み合わせはありません。最適な割合は、覚えるものがばらばらの項目か、意味のつながった文章かで変わりました。どんな勉強にも当てはまる黄金比ではないのです。

90年ほどあとの答え合わせ

それでも、ゲイツの実験には揺らがない結論がありました。50人以上の大人を調べても、読むだけの方法が、暗唱を入れた方法に勝った人は一人もいなかったのです。

この方向性は、現代の研究でも確かめられています。2006年、ローディガーとカーピキーは、大学生に説明文を学ばせ、読み直すグループと、何も見ずに思い出して書くテストをするグループを比べました。5分後のテストでは、読み直したグループのほうが上でした。ところが2日後と1週間後には、思い出す練習をしたグループが大きく上回りました。読み直したグループは、自分は覚えているという自信だけが高まっていました。

原田英語のおすすめは、割合の数字にこだわらないことです。ひと通り読んで中身がわかったら、それが本を閉じる合図。単語のようなばらばらの暗記ものは早めに、文章の理解が必要なものは読む時間もしっかり取ってから、暗唱に移りましょう。

この記事に出てくる用語
想起練習(思い出す練習)
教科書を閉じて、自分で答えを思い出す勉強。小テストや問題を解くことも、これにあたる。

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参考文献

  1. Gates A. (1917). Recitation as a factor in memorizing. Archives of Psychology, No. 40.

  2. Roediger H., Karpicke J. (2006). Test-Enhanced Learning. Psychological Science, 17, 249-255.

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